
ライター歴30年を超えるベテランのオバ記者こと野原広子(66歳)。昨年10月、「卵巣がん」の疑いで手術、入院を経験。その後、境界悪性腫瘍と診断された。それから半年、体調はすこぶるいいという。一時は階段が上れないほど落ちた体力をどう回復させたのか――。
* * *
「ぐんぐん体力が上向いている」
見ようによっては大きな桃? 卵巣と子宮を摘出する大手術の後も6か月もたつとだいぶ落ち着いてきたみたい。ゴリンゴリンに固まっていたお腹も真ん中のメス跡以外はふわふわに柔らかくなってきたの。体調もかなり上向きで、ああ、やっとここまできたかというのが実感よ。

どのくらい体調が上向いてきたかというと、先日なんか某大臣にインタビューをしたかと思えば、私自身、某新聞からインタビューを受けたりして、その少し前には雑誌の企画でオバ記者として自転車を乗り回したかと思えば、別の日には原稿を書いたり。手術前よりずっと忙しいんだわ。もちろん家に変えればバタンキューだけど、とにかくぐんぐんと体力が上向いている感じ。で、今回は手術後、私がした体のケアの話をしようと思う。

まず、手術後、実感したのは体がバランバランという感覚。マリオネット人形の糸がいくつか切れたみたいといったらわかってもらえるかしら。そんな私がどうやって“体調良好”になっていったのか。あくまで私の個人的な感想だけど、まあ、聞いて。

手術後の体の声は「私の体、誰かどうにかして」
いま振り返ると“復活の3段階”だったなと思うのよ。まず手術後の体の声は「私の体、誰かどうにかして」だね。自分では動けないマリオネット人形の私が、退院後、担当医から入浴が許された直後に出かけたのがリンパマッサージ。これを120分受け、さらに以前から通っていたタイ古式マッサージでたっぷり130分。

あのね。今だから言えるけど、ふつうの体だったらこんな長時間、人に体を任せられないって。リンパマッサージは、その名の通り、体全体に巡っているリンパを刺激して体全体を活性化するもの。タイ式古式マッサージは自分では動かせない部位を動かしてもらういわばストレッチだね。これを受けると体がスーッと軽くなるんだわ。これを月に3セット受けたんだわ。費用だってバカにならないわよ。
ヨガは自分に内蔵しているエンジンで体を回す感じ
とはいえこれでマリオネット人形の切れていた糸がつながったんだね。その次にやったのがヨガなの。ひと口にヨガといっても「お年寄りむき?」と思うほどゆったりしたのもあれば、ポーズのキツさ、長さに、「いい加減にしてくんないかなっ」と怒りたくなりそうなものまでいろいろだけど、私の住んでいる千代田区のスポーツセンターでは、会員になるといろんな教室に参加できるんだわ。(月謝は区民以外は5000円。区民4000円。区民60才以上3000円)

で、私が選んだのが前にも通っていた日曜日朝の「ソフトモーニングヨガ」と、「モーニングヨガ」の2教室よ。9時10分から10時50分まで、途中15分の休憩を入れてぶっ続けでやるとさすがに疲れたけれど、人に動かしてもらうのと自分で動くのとはこんなに違うのかと思ったね。
何か違うか。まあ、言葉にするのは難しいけれど、マッサージが外からエンジンをつけて回してもらうとしたら、ヨガは自分に内蔵しているエンジンで体を回す感じ。自分に備わっているエンジンが回り出すとよく眠れるし、目覚めもいい。
「毎朝のトマト」、ブロッコリー、小松菜も
もちろんいきなり“全開”というわけにはいかないし、手術前のように階段が上れなくなったんだよね。エスカレーターが故障中で仕方なく上ったりすると、すぐに息が上がっちゃう。何より足がキシキシして重い荷物を持って転がり落ちるんじゃないかと思うと怖くて。
ところが教室で教わったヨガを自宅でもやったりしたら、“階段怖い”が改善しているんだから、ヨガってすごいよね。私が家でやっているのは仰向けに膝を立てて寝て、膝をそろえて右、左。倒すだけ倒したらそこで深い呼吸を数秒。これだけでも足のこわばりがゆるんできたわけ。

でね。実は私、今すごく忙しいのよ。ふと気が付くと、会食の機会も増えて、けっこうなハードスケジュールをこなすようになっていたんだわ。そのきっかけは食。これが第3段階だね。
まず毎朝トマトを食べる。ブロッコリーや小松菜も即効性を感じるんだわ。食べると体にピンと筋が通るみたい。あと、若い友人からすすめられて植物エキスを15滴、水に溶かして1日2回飲んだり、野菜中心の食生活に変えたりと、まあ、いろいろよ。要はエンジンを回すためのガソリンの質を良くしている感じ。

で、結論だけど、くずれた体調を回復させるには、体の声を聞いて、体がしたいことをすることだね。人によって体の声が大きい人と小さい人がいるみたいだけど、よーく耳をすまして聞き取ろうとすること。66歳の体をだましだまし使うってこういうことなんだと思う。とにかく体が自由に動かないと明るく楽しい終活にならないもんね。
◆ライター・オバ記者(野原広子)

1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
【344】「葬式は“人任せ”にする」と決めている 「葬式、墓はいらない」なんて言ったら遺された人が苦労するだけ