健康・医療

高血圧に悩むなら何をどう改善すべき? 運動と生活習慣、そして意識してとりたい食材

血圧計
高血圧を改善するためにやるべきこととは?
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「高血圧は放置すると動脈硬化を引き起こす可能性がある疾患です。とても怖いですが、生活習慣を見直すことで数値が改善できる場合があります」と話すのは、漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さん。そこで、小原さんに高血圧の基準と改善のための生活習慣、症状の緩和に役立つ食材や漢方薬について教えてもらいました。

【目次】

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高血圧の基準値と症状

高血圧の基準は病院と家庭での測定時で異なります。日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会「高血圧の話」(https://www.jpnsh.jp/data/jsh2014/jsh2014_gen.pdf)によると、以下のようになります。

【病院の診察時測定】
収縮期血圧が140mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧が90mmHg以上

【家庭での安静時測定】
収縮期血圧が135mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧が85mmHg以上

診察時は緊張などの理由で血圧が高くなる傾向があるため、家庭での測定値と合わせて診断します。

なお、高血圧は目立った自覚症状がないため注意が必要です。放置すると動脈硬化や脳血管疾患、心疾患、慢性腎不全などにつながる危険があります。家庭での測定数値が高めの場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

高血圧の原因

高血圧になる要因は大きく2つに分けられます。

ひとつは遺伝や生活習慣が原因の本態性(ほんたいせい)高血圧で、高血圧患者の約90%が該当するといわれています。もうひとつは、他の病気が原因で血圧が高くなる二次性高血圧です。原因となる疾患が軽快すると、高血圧も改善されます。

高血圧の対策方法

高血圧の治療の基本は生活習慣の改善と薬物療法です。診断直後は服薬による治療が必要でも、生活習慣を改善することで服薬が不要になるケースもあります。特に塩分の摂りすぎと運動不足に気をつけましょう。

大さじ1のしょうゆ
高血圧の予防・対策は減塩がカギ
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塩分摂取量を1日6g以下にする

「日本人の食事摂取基準」(2020年版) によると、日本人の食塩摂取目標量は女性の場合に1日6.5g未満とされていますが、日本高血圧学会は高血圧治療のためには1日6g未満にすることを推奨しています。(https://www.jpnsh.jp/general_salt_02.html)

0.5g程度であれば、減らすことができそうですが、令和元年国民健康・栄養調査(20歳以上)をみると日本人女性の食塩平均摂取量は1日あたり9.3gなのだそうです。

日本食品標準成分表2020年版を参照すると、大さじ1(15ml)あたりの食塩相当量は、薄口しょうゆ2.9g、濃口しょうゆ2.6g、淡色辛みそ2.2gとなっています。3.3gの減塩をする場合、しょうゆ大さじ1以上の塩分を減らす必要があります。

小皿に入ったスイートチリソース
調味料は小皿に出して
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たとえば、しょうゆやソース、ドレッシングなどの卓上調味料を「かける」のではなく、小皿などに出して「つけて」食べるようにするだけでも塩分摂取量を減らすことができます。

また、しっかりと出汁が効いていれば塩味が薄くても満足感を得られますし、お酢を使って塩分の多い調味料を減らす工夫をすることもできます。無理のないところから始めて、徐々に目標に近づけるようにしていきましょう。

ただし、減塩しているから大丈夫と安心せずに、他の生活習慣の改善も同時に心がけることが必要です。

1日30分の有酸素運動をする

継続的な運動で高血圧が改善できるとの報告があります。具体的には、ウォーキングやステップ運動などをややきついと感じる程度に毎日30分以上行います。

運動不足の人がいきなり運動を始めると体に負担がかかるため、雑巾がけをする、目的地に徒歩や自転車で行くなど、日常生活のなかで活動量を増やすことから始めるといいでしょう。

ただし、高血圧の分類(程度)により、運動療法を始める時期が異なります。また、発症している合併症によっては、運動が症状を悪化させる可能性もあります。高血圧と診断されている人は、運動を始める前に必ず主治医に運動の可否を確認してください。

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