「梅雨はメンタル不調を引き起こす条件がいくつも重なっている」と、漢方薬にも詳しい管理栄養士の小原水月さんは話します。メンタルの不調を感じたときや予防のためには、規則正しい生活習慣を心がけることや食事で摂る栄養、漢方薬に効果が期待できるそうです。そこで、メンタルを健やかに保つための方法を教えてもらいました。
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梅雨にメンタル不調を感じやすくなる原因
梅雨どきは気温や湿度から計算される「不快指数」という数値が高くなる傾向にあることや、日照時間の減少で睡眠不足も引き起こしやすくしたりする季節です。その影響から自律神経を乱れさせ、メンタルや体にさまざまな不調があらわれます。以下に、自律神経の乱れや日照時間の減少がどのように心身の不調を引き起こすのか、詳しく解説します。
ストレスによる自律神経の乱れ
自律神経は脳を司令塔に、体のさまざまな器官の働きをコントロールしている神経です。活動モードの交感神経とリラックスモードの副交感神経からなり、このバランスが整っていることが心身の健康につながります。
梅雨時は不快指数の高まりや新年度からの環境や人間関係の変化によって、ストレスを抱えやすい時期です。
たとえば、仕事で嫌なことがあって「つらい」と感じたとしても、理性によってその本能的な感情を抑えようとします。それが長期間続くと、感情や行動を本能的に司る大脳辺縁系と、理性や理論的な考え方を司る大脳新皮質が不自然にコントロールされ続け、情報の伝達がうまくいかなくなります。これら大脳辺縁系と大脳新皮質は視床下部に影響をあたえ、視床下部を最高中枢とする自律神経も影響を受けて乱れてしまうのです。
そのような負荷が自律神経に長期間かかると、交感神経が優位となり、副交感神経がうまく働かず、リラックスができない状態となり、心身にさまざまな不調をもたらします。
日照時間の減少が睡眠に影響
梅雨時は日照時間が減少するため、睡眠ホルモンの「メラトニン」の材料となる「セロトニン」の合成がうまくいかず、メラトニンの分泌量が減りやすい季節です。メラトニンの分泌が減ると、睡眠の質が下がったり、睡眠不足になったりすることがあります。
睡眠不足では体や脳の疲労回復が十分にできません。それが長引くと脳機能の低下につながり、自律神経が乱れ、心身にさまざまな不調があらわれます。
こんな症状があったら要注意
メンタル不調の症状には、心配事が頭から離れず考え続ける、悲しく憂うつな気分になる、集中できない、考えがまとまらずうまく思いを伝えられない、などがあります。そのほか、やる気が出ない、周りの人の言葉を否定的にとらえる、安静時に動悸がする、寝つきが悪いなどの症状があらわれることもあり、それらの症状は、うつ病の入り口ともいえる心配な状態です。症状が2週間以上続く場合は、迷わず心療内科や精神科を受診してください。
自宅で簡単に自分の現状を知るには、厚生労働省の「5分でできる職場のストレスセルフチェック」(https://kokoro.mhlw.go.jp/check/)などを活用するといいでしょう。
なお、初期のメンタル不調であれば、セルフケアでの回復も期待できます。症状が起こる前に予防として意識してみるのもいいでしょう。
自律神経を整える生活習慣
自律神経の乱れには、生活リズムを整えるのが有効です。1日のなかで、交感神経が働く時間帯と副交感神経が働く時間帯を一定に保つことがポイントです。起床時には交感神経が優位に働き、就寝時には副交感神経が優位に働く性質があります。
このことから、起床時間と就寝時間を毎日同じ時間に設定するだけでも、交感神経と副交感神経が働く時間帯が一定に保たれ、自律神経の乱れが起こりづらくなります。
また、自律神経を整えるには適度な運動もリラックス効果があるため、副交感神経を活性化させることができます。
厚生労働省「こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスケアサイト~(https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_01.html)」によると、「運動には、ネガティブな気分を発散させたり、こころと体をリラックスさせ、睡眠リズムを整える作用があります」としています。とくに有酸素運動が効果的で、1日20分を目安に軽いランニングやウォーキングを日常生活に取り入れるといいでしょう。
睡眠の「質」を向上させる
睡眠時間を確保していても目覚めがすっきりしない、夜中に何度も目が覚める、という状態は睡眠の質が低く、体や脳の疲労回復が十分にできずに脳機能の低下を引き起こす懸念があります。
睡眠の質を高めるためには、自分に合う枕を使うことが重要です。敷布団やマットレスに対して、首の角度が約5度になる高さが理想と言われているのでチェックしてみてください。また、頭部をしっかりと支えられる弾力があることや、寝返りや横向きで眠ることも考慮して、肩幅程度の大きさがあること、発汗時の吸湿性や放湿性のよい形や素材であることもよい枕の条件です。