
ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(66歳)。昨年10月、「卵巣がんの疑い」で手術を経験。その後、境界悪性腫瘍と診断された。そんなオバ記者は最近、体力の低下を感じる場面が増えた。特に「階段」だという。
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ビックリするほど体が動かない
小学生、中学生の国会見学が再開されて、私の国会案内のアルバイトも再始動。というのは簡単だけど、見学が完全に休止されて約3年。63歳だった私は66歳になって、いやぁ、もう参ったわ。前とくらべてビックリするほど体が動かないんだもの。
階段が上れない。前は小学生といっしょに地下から4階まで途中から手すりにしがみついたりしても、とにかくなんとかよじ上ったわけ。日に2回、という日もあったわけ。それが階段を前にしてギブ! どうしても上れるとは思えないの。それで衛視さん(国会議事堂などを警備する職員のこと)に断ってエレベーターを使用している。

それだけじゃない。国会議事堂前、築地、秋葉原、上野、御徒町、日暮里。私がよく利用する駅のエレベーターとエスカレーターの場所が即座に浮かぶんだわ。足の筋肉を動かすよりも脳細胞のいくつかを動かした方がずっと楽だもんねぇ。
そんな私でもエスカレーターの横の階段をスタスタと上がっていく同世代を見かけたときの敗北感といったらなくて、そのときは強烈に思うわけ。もっと動ける体を手に入れたい、と。
心臓の調子がいい。時間を見つけてヨガへ
幸い、ここのところ心臓の調子がいいのよ。ちゃんと薬を飲んでいるせいか、朝目覚めたときに心臓が波打ったりしないし、軽く息切れしてもちょっと休めばすぐに動けるしね。お腹がふくらんできていたのもすっかり消えて、つい半月前の心配がウソのよう。

昨年秋に婦人科の病気で手術をした前後より、ずっといい感じなの。それで時間を見つけて神田駅前にある区のスポーツセンターでヨガをしているの。

で、先日はその後、梅雨の晴れ間に気をよくして、自宅から徒歩15分の日本橋三越まで歩いて行って、買い物をしたらまだ歩き足りない。それで歩き出したら40分後にはわが家についていましたとさ。
パワースポットで“元気の階段”を上った?
気分がいいといえば、先日、男友達から「どこでもお連れしますよ」とドライブに誘われて、真っ先に思い浮かんだのが茨城県日立市にある御岩神社だ。ここは大昔から山岳信仰で有名なところだったそうだけど、最近はパワースポットとして名をはせていて、私も昨年の夏から何回目かしら。

それにしてもふだん、オカルトチックなことはまったく言わない男友達が、鳥居をくぐった瞬間から、「なんですか、この濃い空気は! わぁ、ビンビン来ますね」と言い出した時は、ちょっと引いた(笑い)。
で、お参りをした後は、近くのお豆腐屋さんに寄ってバカウマのお豆腐を買い、その庭から湧きだしている名水を汲んで帰るのがここのところの定番コースなんだけどね。この日はその水でコーヒーの野点(のだて)なんかしちゃって、山の空気をたっぷり吸ったのがよかったのかしら。“元気の階段”をまた一段上った気がするんだわ。

階段を上るポイントは「後ろ足」
で、話を最初に戻すと、問題はリアル階段よ。先日、ネットで主に高齢者向けのエクササイズを配信している人がアルバイト先の議員会館にいらしたので、「国会見学しますか?」と誘ったの。時間がなくてショートコースだったけれど、さすがはその道のプロよね。見学帰りに、「階段、上るの大変ですか?」と言われたんだわ。
「コロナ禍の3年ですごく苦手になりました」と言うと、彼はうんうんと大きくうなずいて、「前に出した足で上ろうとしないで、後ろに残した足を伸ばすことを意識するといいですよ」と教えてくれたの。「このほうが前かがみにならず良い姿勢を保てます」とも。
それからよ。小さな階段を見つけると、「後ろ足をピン、後ろ足をピン」と心の中で繰り返しながら、ゆっくり上り出したわけ。

目標は東京駅などの大階段をスタスタと上ることだけど、一度落ちた筋肉はそう簡単につかないのね。正直、階段を見ただけでくじける日もあるし、上り出したとたん後悔する日もある。ま、のん気にあきらめずにやるしかないね。
◆ライター・オバ記者(野原広子)

1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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