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Uゾーンにできる吹き出ものの原因は?漢方医学の考えを知って大人ニキビにアプローチ

あごを触る女性
Uゾーンにできやすい大人ニキビ
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頬や顎などのUゾーンと呼ばれるところに発生することが多い大人ニキビ。吹き出物のケアは清潔にすることが第一ですが、漢方医学に詳しい薬剤師の碇純子さんによると、漢方医学の視点からニキビにアプローチする方法もあるそうです。あわせて、ニキビにいいとされる栄養素、おすすめレシピも教えてもらいました。

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「漢方医学」における大人ニキビとは?

老廃物が盛り上がってできる白っぽいニキビや、炎症を起こしている赤いニキビなどやっかいなニキビですが、漢方医学では、「皮膚は内臓の鏡」という考え方があります。これは皮膚の状態が内臓の健康状態を反映するという意味です。つまり、内臓の調子を整えることが、ニキビの予防につながるということなのです。

5つの丸で分類した漢方医学の考え
漢方医学の考え方
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漢方医学の考えでは、4つの要素がニキビの原因としてあげられます。

「脾胃」「肺」の乱れ

1つ目は「脾胃(ひい)」と「肺(はい)」です。

飲食の不摂生は胃腸を司る脾胃を乱し、大腸に熱を発生させます。その熱が皮膚を司る肺にも影響することで、ニキビが発生しやすくなると考えられています。

肝の機能の弱まり

2つ目は「肝(かん)」です。

肝は全身に気(エネルギー)を巡らせ、循環や代謝、解毒などをコントロールする役割があります。ストレスなどで肝の機能が弱まると、気の流れが阻害されて熱を持ちやすくなります。こちらも脾胃と同様に、熱が皮膚に影響を与えます。

「腎」の機能の弱まり

3つ目は「腎(じん)」です。

ホルモンの分泌を調節する腎。加齢や睡眠不足などで腎の機能が弱まると、ホルモンバランスが乱れ、皮膚のバリア機能や新陳代謝が低下します。これが、ニキビの発生にも影響すると考えられています。

「血」の巡りが悪い

4つ目は「血(けつ)」です。

血は栄養をあらわし、皮膚や髪など体のあらゆるものの原料になります。血の巡りが悪くなると老廃物の排出がうまくいかなくなり、皮膚に炎症が起こる原因になります。

漢方医学で大人ニキビにアプローチ

大人ニキビの対策には、スキンケアに加え、体の内側からのアプローチも欠かせません。漢方医学の考えをもとに、ニキビ改善に役立つツボと漢方薬について解説します。

大人ニキビに効果的なツボ押し

体の健康と美肌作りに寄与するツボである「足三里(あしさんり)」、「太衝(たいしょう)」、「関元(かんげん)」の位置と効果を解説します。

・「足三里」

「足三里」の図解
「脾(ひ)」に働きかけるツボの「足三里」
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ひざの下(指幅4本分)のやや外側に位置する「足三里」は、体全体のエネルギーを高め、消化吸収を司る「脾(ひ)」に働きかけるツボです。新陳代謝が活発になり、皮膚の健康状態を改善します。

・「太衝」

「太衝」の図解
肝の働きをサポートするツボの「太衝」
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足の親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼんだところに位置する「太衝」。ストレス解消の効果があるといわれ、肝の働きをサポートするツボです。また、血の巡りを改善して、皮膚の新陳代謝を高めます。

・「関元」

「関元」を図解
全身の血(けつ)の巡りをよくするツボの「関元」
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おへその下(指幅3本分)に位置し、体全体のエネルギーを高め、全身の血の巡りをよくするツボが「関元」です。血の巡りがよくなることで、細胞に十分な栄養を届け、老廃物の排出を適切に行えるようになるため、健やかな肌を保つのに役立ちます。

1日1〜2回各ツボを6秒間押し、これを3〜5回繰り返しましょう。ただし、強く押しすぎると痛みを感じることがあるので、心地よいと感じる程度に優しく刺激することが大切です。

大人ニキビに効果的な漢方薬

漢方薬のなかには、「ニキビ」に効果が認められているものもあり、自然由来の医薬品として皮膚科でも処方されています。

大人ニキビの対策には、「ホルモンバランスの乱れを整える」「肌の新陳代謝をよくして毒素を出す」などの働きのある漢方薬を選びます。

スプーンにのった生薬
大人ニキビに効果的な漢方薬2つ
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・清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)

皮膚の炎症を抑える作用があり、膿を伴う赤いニキビや痛みのあるニキビの治療に使われます。体内にこもった余分な熱を排出することで、ニキビの改善を助けます。

・桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)

血の巡りをよくして、肌に栄養をいきわたらせるとともに、水分代謝を正常化する働きがある漢方薬で、皮脂過剰でニキビをくり返しやすい人に向いています。

漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

大人ニキビ対策には大豆イソフラボンが有効

漢方薬はハードルが高いと感じる人は、普段の食事で体の内側からニキビにアプローチする方法もあります。

ニキビの原因は、内臓不調のほかに、脂質の過剰摂取やホルモンバランスも関係しています。

ほほを触りながら鏡を見る女性
男性ホルモンが増えると肌にも変化が
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とくに閉経後の女性は、男性ホルモンの「アンドロステンジオン」の分泌が増えます。アンドロステンジオンは、体内の脂肪組織から分泌される酵素の働きで女性ホルモンのエストロゲンに変換されますが、その変換率は3%程度と少なく、残りのアンドロステンジオンは男性ホルモン作用を示します。

このように男性ホルモンが増えると、角質層の柔軟性が失われたり、皮脂分泌が増えたりして、毛穴が詰まりやすい状態になり、ニキビが発生しやすくなります。

そこで、女性ホルモンのエストロゲンの働きを補う効果が期待でき、大豆製品に多く含まれる「大豆イソフラボン」を摂取してみましょう。

大豆イソフラボンの摂取量目安は納豆1パック

大豆イソフラボンは1日あたり70~75mgを目安に摂取するとよいでしょう。(食品安全委員会「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」https://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-singi-isoflavone_kihon.pdf)

豆腐、おから、大豆、納豆
大豆食品から摂れる大豆イソフラボンの量は?
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食品の例をあげると、納豆1パック(50g)には約65mg、豆腐1/2丁(110g)には約55mgの大豆イソフラボンが含まれています。(総合南東北病院「大豆イソフラボン」https://www.minamitohoku.or.jp/kenkokanri/200607/mame.htm)

また、脂っこいものもニキビの原因になります。つい、揚げ物や脂質の多いものを食べてしまうという人は、毛穴の詰まりの原因となる過酸化脂質を抑える効果があるお酢を使った「大豆の甘酢漬け」が最適です。

「大豆の甘酢漬け」のレシピ(2~3人分)

【1】 水を切った大豆の水煮150g、酢150mL、砂糖小さじ1、5mm幅に切った乾燥昆布を保存容器などに入れて混ぜ合わせる。

【2】 ふたをして冷蔵庫で半日寝かせて完成。

大豆の甘酢漬けは、サラダにトッピングすると食べやすいです。なお、大豆の水煮150gからは約65mgの大豆イソフラボンが摂取できます。

◆教えてくれた人:薬剤師・碇純子さん

白衣を着た女性
薬剤師の碇純子さん
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いかり・すみこ。薬剤師。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)で情報発信を行っている。

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