健康・医療

進化する「更年期のフェムテック」医療で心と体の悩みは解決できる「性欲低下」も

自分からパートナーを誘うことも必要

また、更年期を迎えてテストステロン(男性ホルモンの値)が減少し、意欲がなくなることもあります。無理にする必要はありませんが、したいと思うことは年齢に関係なく、おかしなことではないといいます。

「日本では特に、表面上は夫婦ともにセックスをしたくないと言い、婚姻関係を続けているという人が多い。でも、そうはいっても男性はテストステロンが女性の4〜10倍あるので、セックスをしたいという気持ちがあるのが正常です。女性は、パートナーからの刺激がなくてもときどきはしたいと思う人も正常ですし、普段はしたいとはまったく思わないのも正常です。

だから、男性から『したい』と言われて応えることは、いくつになっても正常なことで、安心していいんです。しかし中高年になると体調で、男女ともしたい時としたくない時があります。もしパートナーに一度拒否されたとしても、2~3か月に一度くらいは『そろそろしない?』と言ってみましょう。時間が経てばパートナーの気持ちが変わることもありますし、言ってみないと始まりません。言わないでずっと離れたままで、もうしないということが、一番よくないことです」もちろん、しばらくしたくなくても、したいと思った時は、女性のほうから誘うことも必要です。

背中合わせでベッドに寝る男女
パートナーとのコミュニケーションを振り返ってみて(Ph/photo AC)
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意欲の低下には医療やグッズなどで解決を

性欲が落ちている女性は、テストステロンが減少していることが多いそうです。意欲が湧かないことに問題を感じているのであれば、テストステロンの投与治療で回復する可能性が高いと関口さんは話します。また、性交痛により性交渉を避けている人にも解決の糸口があるのだとか。

「性交痛があって性交渉ができずにいる人は、無理にするのではなく、痛みの緩和につながるグッズを利用してもいいと思います。痛いのを我慢して無理やり性交渉をしていると、だんだんとしたくなくなってきますよね。だからこそ、きちんと性交痛を直してから性欲に関する治療をしないと、性的意欲は上がりません。まず痛みがなくなるのを前提として、意欲を上げたいという人は、それから治療の相談をしてみましょう」

◆教えてくれたのは:一般社団法人日本フェムテック協会代表理事・関口由紀さん

一般社団法人日本フェムテック協会で代表理事をつとめる医師の関口由紀さん(アタリデータ)
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女性医療クリニックLUNAグループ理事長、(株)フェムゾーンラボ社長、女性泌尿器科医師、医学博士、経営学修士、横浜市立大学客員教授、日本泌尿器科学会専門医、日本東洋医学会専門医、日本性機能学会専門医、日本排尿機能学会専門医。2006年に横浜元町女性医療クリニック・LUNAを開業。2022年に女性のためのインターネットサイト「フェムゾーンラボ」を開設し、『女性のからだの不調の治し方』(徳間書店)など著書も多数。www.luna-clinic.jp

撮影/小山志麻 取材・文/イワイユウ

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