健康・医療

片頭痛と緊張型頭痛で違う原因と対策 症状を緩和するには?ヨガインストラクターが紹介するストレッチ、食べ物

目に手を当てている女性
頭痛の種類によって対策も変わる
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つらい頭痛は治療薬に頼ることもひとつの手段ですが、ヨガインストラクターの高橋かなこさんは「体操や食材、漢方薬でも痛みの予防・緩和が期待できる」と話します。片頭痛や緊張型頭痛などがある頭痛の悩みと、それぞれの対策を詳しく教えてもらいました。

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頭痛の種類と症状

頭痛にはいくつか種類がありますが、とくに悩んでいる人が多いのが「片頭痛」や「緊張型頭痛」です。片頭痛は頭の片側(両側の場合もある)にズキズキと脈打つような拍動性の痛みが起こり、吐き気や嘔吐、光や音に過敏になるなどの症状が伴うことがあります。

一方、緊張型頭痛は頭の両側に圧迫されたり、締め付けられたりするような、非拍動性の痛みが起こるのが特徴です。

頭痛の原因

片頭痛と緊張型頭痛は、症状も違いますが、痛みの原因も異なります。

頭に手をあてる女性
頭痛の種類は大きく分けて偏頭痛と緊張型頭痛の2つ
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片頭痛

片頭痛は主に「頭の血管の緊張(収縮・拡張)」が原因です。精神的ストレスや環境的要因、食事など、何らかの刺激が神経に加わると、頭の血管に緊張が起こり、血管の周囲に炎症が起こったり、血管が神経を圧迫したりして、痛みが発生します。

また、これらの神経の圧迫や痛みなどの刺激が脳に伝わることで脳が興奮状態となり、吐き気や嘔吐などの症状が起こると考えられています。

ちなみに、女性ホルモンの「エストロゲン」は、減少する際に体内の神経伝達物質のバランスを変化させます。その影響で頭の血管が拡張し、神経を圧迫するため、女性は月経時や更年期に片頭痛の発現が多い傾向にあります。

逆にエストロゲンがほとんど分泌されなくなる閉経後には、片頭痛が解消されることが多いようです。

頭を抱える女性
片頭痛は閉経後に解消されることも
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緊張型頭痛

緊張型頭痛の原因には「血流の滞り」が挙げられます。精神的ストレスや身体的ストレス(無理な姿勢の維持や長時間のデスクワークなど)によって、筋肉が緊張し、血流が悪くなると、首や肩に疲労物質がたまります。これが神経を刺激することで、痛みが発生するのです。

頭痛の緩和には、体を動かすのが効果的です。片頭痛と緊張型頭痛に効果的な短時間でできる体操やストレッチを実践してみましょう。

腕を伸ばしている女性
運動は頭痛の緩和に効果が期待できる
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片頭痛の予防・緩和に有効な体操

片頭痛の予防に効果があるとされる体操(一般社団法人 日本頭痛学会「1日2分の頭痛体操」https://www.jhsnet.net/pdf/zutu_taisou.pdf)を実践してみましょう。

首の後ろの筋肉をほぐし、脳の痛みを調節する機能によい刺激を与え、片頭痛が予防できるとされています。

肩を回す体操

両手を肩に当てている
肩を回す運動のやり方1(Ph/高橋かなこ)
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【1】指先を肩に置いて、ひじを曲げる。

肩に手を乗せ、ひじを前に突き出している
肩を回す運動のやり方2(Ph/高橋かなこ)
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【2】リュックサックを背負うようなイメージで、ひじを外側から内側に回す。
【3】洋服を脱ぐようなイメージで反対回しも行う。

【2】【3】をそれぞれ6回ずつで1セット。1日1セット程度実践しましょう。

頭の位置がブレないようにし、慣れてきたら肩を大きく回すのがポイントです。

上半身をねじる体操

【1】背筋を伸ばして立つ、もしくは座る。

水平にした手の指先を胸の前で合わせている
上半身をねじる体操のやり方1(Ph/高橋かなこ)
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【2】両腕を胸の前まで上げて、肩の力は抜く。

腕を床と平行にしたまま、体を左にねじっている
上半身をねじる体操のやり方2(Ph/高橋かなこ)
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【3】顔は正面に向けたまま、上半身を左右交互にひねる。

1日1回、2分程度行いましょう。

こちらも頭の位置がブレないように、上半身をひねりましょう。

緊張型頭痛に効果的なストレッチ

緊張型頭痛には、首や肩甲骨まわりをほぐして、血流をよくするストレッチが有効です。

首のストレッチ

【1】あぐらをかいて背筋を伸ばして座る。

手を使って首を横に倒している
首のストレッチのやり方1(Ph/高橋かなこ)
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【2】左腕を伸ばして床に手をつき、右腕は頭の上を通して左耳の上あたりに手を添える。
【3】右腕を使って首を右に倒す。
【4】反対も同様に【2】~【3】を行う。

両手で頭を前に倒している
首のストレッチのやり方2(Ph/高橋かなこ)
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【5】顔を正面に戻して両手を重ねて後頭部に当て、首を前に倒す。

両手を鎖骨にあて、頭を後ろに倒している
首のストレッチのやり方3(Ph/高橋かなこ)
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【6】顔を正面に戻して両手を重ねて鎖骨にあて、首を後ろに倒す。

1日1回、それぞれ10秒ずつ行います。手の重みを頭に預けて、首筋をしっかり伸ばしましょう。

肩甲骨のストレッチ

【1】あぐらをかいて背筋を伸ばして座る。
【2】両手を胸の前で組む。

あぐらをかき、腕を前に伸ばし上半身を前に倒している
肩甲骨のストレッチのやり方1(Ph/高橋かなこ)
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【3】背中を丸めながら両腕を前に伸ばす。このとき、大きな風船を抱えるようなイメージでひじを伸ばしきらない。
【4】体を起こし、両手を背中の後ろで組む。

あぐらをかき、腕を後ろで組んで胸を反らせている
肩甲骨のストレッチのやり方2(Ph/高橋かなこ)
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【5】左右の肩甲骨を寄せ合うようにして、胸を反らす。

【3】と【5】をそれぞれ30秒ずつキープします。1日1回行うことで、肩甲骨周りをしっかり動かすことができます。

頭痛を予防・緩和する食材

片頭痛には、血管の緊張を和らげる「マグネシウム」や頭痛の頻度や持続時間の減少に効果があるとされる「ビタミンB2」が有効です。「わかめ」と「鶏卵」はマグネシウムとビタミンB2の両方を含むので、スープにして飲むとよいでしょう。

わかめと卵のスープ
偏頭痛にはわかめと卵の組み合わせがおすすめ
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緊張型頭痛には、血流をよくする「ビタミンE」が豊富な食材として「アーモンド」がおすすめです。スライスアーモンドをサラダなどにトッピングすると、毎日の食事にも手軽に取り入れることができます。

サラダ
スライスアーモンドをトッピングに使えば手軽に取り入れられる
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なお、赤ワイン、チーズ、チョコレートなどには、片頭痛を誘発する可能性がある物質が含まれているので摂りすぎには注意してください。

頭痛を緩和する漢方薬

痛みが強いときには我慢せず、自然由来の生薬からできており、一般的に副作用が少ないといわれる漢方薬などを服用するのもひとつの方法です。

また、漢方薬は根本的な体質改善を得意とするため、起きている痛みの緩和だけでなく、頭痛を繰り返しやすい人の予防としても効果が期待できる可能性があります。

頭痛を緩和するには「体を温めて冷えを取り除く」「血流をよくする」「筋肉の緊張を和らげる」といった働きのある漢方薬を選びましょう。

おすすめの漢方薬

・呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

頭痛によるズキズキとした痛みや吐き気などがある人に用いられる漢方薬です。体の表面の血管を拡張させて発汗を促し、体の表面を温めることで、頭痛に働きかけます。

→呉茱萸湯について詳しく知る

・葛根湯(かっこんとう)

全身や局所の血流をよくし、体の中心部の冷えを取り除くことで、頭痛に働きかける漢方薬です。また、筋肉の緊張を和らげることで首や背中の緊張をほぐし、肩こりの改善にも効果が期待できます。

漢方薬を始める際の注意点

漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれたのは:ヨガインストラクター・高橋かなこさん

白いスポーツウェアを着た女性
ヨガインストラクターの高橋かなこさん
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たかはし・かなこ。RYT200(全米ヨガアライアンス認定)修了インストラクター。企業での事務経験から、デスクワークで疲れた部位や崩れた姿勢のためのレッスンを得意とする。自身のダイエット成功経験から、美しい体を作るためには食と思考が大切だと痛感し、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp)などで精力的に情報発信を行っている。

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