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犬と猫は真逆?獣医師が教える「ペットと仲良くなる方法」、犬は飼い主のタイミング&猫は猫のタイミングで遊ぶ

犬と猫は真逆?獣医師が教える「ペットと仲良くなる方法」とは?(Ph/イメージマート)
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愛犬や愛猫と今よりもっと仲良くなりたい!と願うのはペットを飼う人のさがだと思います。言葉が通じないなかで、犬や猫とどのようにコミュニケーションを取っていくと、絆を育んでいけるのでしょうか。獣医師の山本昌彦さんに聞きました。

犬の嫌がることをしない

まずは犬と仲良くなる方法について。山本さんは、「こうすれば絶対に大丈夫という万能の策はないのですが、まず大事なことは、愛犬の性格を理解することです」と話します。

「のんびりしているのか、怒りっぽいのか、臆病なのか。特に、その子が苦手にしていること、嫌だなと感じることを知って、対策をすると信頼関係を結びやすくなります」(山本さん・以下同)

例えば、とてもフレンドリーな犬でも、尻尾を触られるのだけは本当に嫌で、そのときだけ低くうなるというようなことがあります。そういう場合はもちろん、今後なるべく尻尾に触れないのが一番です。

犬
犬の嫌がることをしないで(Ph/イメージマート)
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「耳掃除が苦手な子の場合は、ペットサロンや動物病院でお願いして、飼い主さんはやらない。花火がダメな子は花火大会の夜は抱っこして落ち着かせてあげる。そうやって、嫌がることをしない。苦手なことはフォローしてあげると、犬は飼い主さんのことを信頼します」

飼い主さんがリーダーであり続ける

もちろん、愛犬の好きなことを一緒に楽しむのも仲良しへの近道です。ほとんどの犬はそもそも飼い主さんのことが好きで、一緒に散歩したり遊んだりしたいと思っています。犬の心身の健康のためにも散歩は欠かさず、遊びも短時間でいいので毎日するようにしましょう。

「遊ぶときに気を付けてほしいのは、飼い主さんが主導権を持ち続けることです。犬はかつて群れで行動していた動物で、飼い主さん家族のことも群れの仲間のように見ています。群れの中での順位に敏感なので、犬に『自分のほうが偉い』と誤解させないことが大切です」

負けてあげるのはよくない

具体的には、遊びは飼い主さんのタイミングで切り上げること。もしも犬が興奮して攻撃的になるようなら、遊びを即やめても構いません。また、ロープ状のおもちゃなどを引っ張りっこして遊ぶ場合、最後は必ず犬におもちゃを放させて、飼い主さんがおもちゃを回収することが肝要です。負けてあげるのはよくありません。

「散歩のときも、犬の好きな方へ歩かないで、飼い主さんが決めたコースを歩いてください。『力まかせにぐいぐい引っ張ったら自分の思い通りになった』ということを続けてはいけません」

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散歩のときも、犬の好きな方へ歩かないで(Ph/イメージマート)
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このほか、食事の順番も要注意。飼い主さん家族がまず食べて、犬にはそれからフードを与えること。飼い主さんにとってはどうとも思わないことでも、犬にとっては食事の順番は順位付けの重要な根拠になってしまいます。

「いろいろ言いましたが、犬は猫ほど気分にムラがなく、基本的には人間を好いてくれます。しっかりお世話をして時間を積み重ねていくと、仲良くなれると思います」

猫を過度に構ってはいけない

では、猫と仲良くなるには、どうしたらいいのでしょうか。

「猫と仲良く、とは考えない方がいいかもしれません。猫は単独行動を好むので、犬のように人とべったり仲良くなれるわけではないことを理解しておきましょう。逆に言えば、愛猫にそっけない態度を取られても、あまり気にしないほうがいいです。猫にはよくあること、普通のことです。それでも、猫にとって『安心できる存在』『一緒にいて楽しい存在』になることはできるので、適切にお世話をしていい関係を築きたいですね」

大事なのは“仲良くなる”というよりも、猫に嫌われずにいて、猫が飼い主さんの存在をストレスに思わない関係性を築くことだといいます。

「犬の場合とは逆で、猫には過度に干渉しないほうがいいです。遊びも、『在宅仕事が一段落したから猫と遊ぼう』など、飼い主さんの都合でタイミングを決めたところで、猫はノッてきてくれないし、飼い主さんのことをわずらわしく感じてしまうかもしれません。猫が遊びに誘ってくるタイミングで、飼い主さんが応じられるときに応じるのが一番です」

猫の気分を察して合わせよう

猫に嫌われないためには、猫の都合や気持ちに、飼い主さんのほうから合わせる、寄り添うという姿勢が求められるようです。では、猫の気持ちは、どのようにして読み取ることができるでしょうか。

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猫の気分を察して合わせよう(Ph/イメージマート)
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「猫もいろいろサインを出してくれます。喉をごろごろ鳴らすとか、足にすりすりしてくるとかは分かりやすいですよね。鳴き声で心理状態が分かることもありますよ。ニャッとかニャオとか短く鳴くときは構っても大丈夫。ニャーンと長めに鳴くときは、何か訴えたいことがあるかもしれないので、猫の身体やトイレやフードボウルなどに異変がないか、確認してください。シャーとかフーとかうなり声のときは当然、近寄らないのが吉です」

鳴き声と同様に、尻尾もまた猫の感情がよく表れる部分です。

「犬は尻尾をぶんぶん振っているときは喜んでいることが多いですが、猫は大きくぱたぱた尻尾を振って床をたたいたりしている場合、不機嫌のことが多いです。そっとしておきましょう。尻尾をくにゃりくにゃり動かすときや、ピンと立てているときは遊びたいと思っていたり機嫌がよかったりするときだと考えられるので、スキンシップを取ってみましょう」

嫌いなニオイや大きな音もNG

大きな音や猫が嫌うニオイを飼い主さんが発しないようにすることも嫌われないコツだといいます。日頃からドアの開け閉めや足音など、生活音が大きいタイプの人は、気を付けないと知らない間に猫から敬遠されているかもしれません。

「猫の前でタバコを吸わないのはもちろん、吸った後、タバコのニオイが残っている間は猫に近づかないほうがいいですね。香水をつける人は洗い流してから。柑橘類やハーブの香りも苦手な猫が多いです。のら猫が庭に入らないようにする忌避剤などに使われているぐらいですからね。生活用品にこれらが含まれていたら、無香のものに変えられないか検討してみてください」

◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん

山本
獣医師・山本昌彦さん
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獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/

取材・文/赤坂麻実

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