旬を迎える梅は、食欲増進効果や疲労回復効果があるため、夏バテしやすい季節にぴったりだと野菜ソムリエプロの福島玲子さん。そこで、梅の詳しい栄養と、さまざまなアレンジができる梅シロップの作り方、さらにシロップを使ったポークジンジャーのレシピを福島さんから教えてもらった。
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梅は暑い季節にうれしい栄養素が豊富
梅は暑さにバテたときに、体を癒したり食欲を増進させたりとうれしい作用があるため、日差しが強い夏の時期にぴったり。さらに、抗酸化作用やむくみの解消など、女性にうれしい栄養素も含んでいるんです。
“キレート作用”で夏の疲れた体を癒やす
クエン酸やリンゴ酸などの有機酸をたっぷり含んでいる梅。有機酸は不足しがちなカルシウムや鉄など、ミネラル分の吸収を助けるキレート作用があり、疲労回復効果が期待できます。
さらに、クエン酸には細菌の増殖を抑える効果があるので、食中毒予防もできます。暑い時期のお弁当に梅干しが欠かせないのは、クエン酸の栄養効果によるものです。
また、梅の酸味成分には唾液の分泌を促し、食欲を増進させる働きがあるので、夏バテで食が細っているときにも効果的です。
抗酸化作用やむくみ解消など女性にうれしい栄養素も
梅には、抗酸化作用のあるβ-カロテンも含まれています。体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康、視力の維持、がんの予防、免疫力の強化、アンチエイジングなどの効果が期待できます。
むくみ解消効果のあるカリウム、抗酸化作用たっぷりのポリフェノールやビタミンEも豊富です。
梅干し、梅エキス独自の栄養素も体にやさしい
梅干しは植物性乳酸菌を含み、腸内環境を整える作用があるので、便秘予防やダイエット効果が期待できます。さらに悪玉菌を抑制する働きのあるカテキン酸も含んでいるため、植物性乳酸菌との相乗効果で高い整腸効果が期待できます。
ほかにも、梅の果汁を長時間に詰めて作る梅エキスには、血流を改善して、動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果があるといわれる、ムメフラールという成分が含まれています。
梅をおいしく食べるおすすめレシピ2選
梅はシロップにすることで、ジュースや梅ジャム、梅味噌など幅広くアレンジすることができます。そこで「梅シロップ」と、梅シロップのアレンジメニュー「梅香るポークジンジャー」のレシピをご紹介します。
「梅シロップ」のレシピ&アレンジ
《材料》(作りやすい分量)
青梅…1㎏ 氷砂糖…1㎏(青梅と氷砂糖は同量を使用)
《作り方》
【1】3〜4リットル入る保存瓶を熱湯消毒し、殺菌処理する
【2】青梅のへたを竹串を使って取り除き、よく洗ってからしっかりと水分を拭き取る
【3】瓶に青梅と氷砂糖を交互に入れて完成
1日経つと氷砂糖が溶けてシロップが上がってきます。毎日2〜3回上下に返して、なじませましょう。2〜3週間ほど経ったら、梅ジュースやかき氷のシロップとして使うことができます。
長期保存するときは冷蔵庫へ。浸してある梅は、取り出してそのまま食べてもいいですし、梅ジャムや梅味噌にするのもおすすめです。
梅ジャムは種を取り出し細かく切った梅100gに砂糖40〜100g(お好みの量)とレモン汁大さじ1を加えて煮込んで完成。梅味噌は、種を取り出し細かく切った梅100gに味噌大さじ4、酒大さじ2、みりん大さじ1を加えて煮詰めればでき上がります。
「梅香るポークジンジャー」のレシピ
《材料》(2人分)
生姜焼き用豚ロース肉…6枚、アスパラガス…3本、エリンギ…1個、片栗粉…大さじ1、塩・こしょう…少々、サラダオイル…大さじ1
【A】梅シロップ…大さじ2、しょうゆ…大さじ2、酒…大さじ1、すりおろししょうが…小さじ1、漬けた梅…1個(あれば)
《作り方》
【1】【A】の材料をすべて合わせておく。漬けた梅の実があれば、種を取り細かく刻んで【A】に加えてもよい
【2】豚肉に塩・こしょうをふり片栗粉をまぶす。アスパラガスは3cm長さ、エリンギはたてに割く
【3】フライパンにサラダオイルを引き、肉の色が変わったら裏返し、両面を焼く
【4】アスパラガスとエリンギを加え、蓋をして1分ほど加熱する
【5】【A】を加え、味をなじませて完成
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ