
多忙を極めた20代を経て、30代から旅をしながら、世界の「音」を体感するプロジェクト『LISTEN.』を立ち上げ、2023年にはYouTubeもスタート。進化し続ける山口智子さんは今、60歳。その声、表情、しなやかな動き、誰もが惹き込まれる魅力の原点に迫る。エイジレスに輝く50~60代女性に向けた、すぐに役立ち毎日を前向きに過ごすヒントが詰まった実用ムックシリーズ『reShine春号』から山口さんのインタビューを一部抜粋して紹介する。
60年間まとい続けた重い鎧を脱いだように今、心はスッキリ爽快!
還暦を迎えてから最初に出る『reShine』の撮影で、「新しい扉を開けたかった」と話す山口さん。
「還暦という言葉を辞書で引くと、一巡して生まれ直す年だと。 素敵だなと思って。これまでの自分の大切な思い出、出会い、経験を自信に変えたうえでの原点回帰。生まれ変わって『さあ、どこからでも来い!』という気持ち。まさに今、気力、体力、知力すべてに力が漲って、絶好調の体感。凝り固まった思い込みや狭い視野を捨て、肩の力をふわっと抜いて、60年間まとい続けてきた重い鎧を脱ぎ捨ててごらんと、神様から素敵な許可をいただいたような気がして。
今日の撮影を、そんな再スタートの一歩にしたかった。60年の歳月を経て、自信と誇りに満ちた素の私を見ていただきたかったので、信頼する撮影チームと納得いくまで話し合いました」

スピードを落としてゆっくり歩むことで見えてくる景色がある
多くの人が写真で“素”を見せること、さらには年齢を重ねることをリスキーに捉えがちですが…。
「人生の変化、バリエーションを楽しむという意味で、年齢を重ねるってすごく素敵なことじゃないですか。世界を旅しながらたくさんチャーミングな人々に出逢いますが、特に村の長老的存在のおじいちゃん、おばあちゃん達が素敵でした。話がユーモア抜群で、民族ダンスを踊らせたら村一番だったり、人生で磨かれた歌声が感動ものだったり。10代、20代ではとても出せない深い味わいを醸し出していて、年齢を重ねたからこその誰にも真似できない渋み、奥深さに心から憧れます。
もちろん若い頃はピチピチで、がむしゃらで前のめりで、それはそれで楽しかったけれど、血気あふれる体と未熟な心のバランスがうまくとれずに、焦りや怒りや不安というネガティブ要素をうまく操れずに、エネルギーをやたら消費しすぎてちょっとしんどかった。学びながら一生をかけて進化してゆきたいので、一日でも過去には戻りたくない。今この瞬間から続く未来の方に集中したいです。

年齢と共に多少体にガタはきてますが、 その分スピードを落として、ゆっくり歩むことで見えてくる景色があって、それがまた刺激的。この地球にさまざまな民族、生き方、個性があるのと同じで、人生にも色とりどりのバリエーションがある。その色彩をじっくり味わうことがとても楽しい。自分ならではの個性で、豊かなバリエーションで日々を彩るチャレンジは、人生の嬉しい責任ですよね」
◆山口智子
1964年10月20日生まれ。1988年、NHK朝の連続ドラマ小説『純ちゃんの応援歌』でデビュー。俳優として数々の映画、ドラマで活躍する一方で、30代の頃から旅をライフワークとし、2010年には、世界の音楽文化を映像ライブラリーに収めるプロジェクト 『LISTEN.』を立ち上げる。また、この長年のプロジェクトをまとめた書籍『LISTEN.』 (生きのびるブックス)では、二次元コードから音楽映像を体感できる。2023年にYouTubeをスタート。日本再発見の旅を綴るチャンネル『山口智子の風穴!?』も好評配信中。
撮影/伊藤彰紀(aosora)、スタイリスト/服部昌孝、ヘア/hiro TSUKUI(Perle management)、メイク/早坂香須子、構成・文/滝沢裕子
ドレス3万7400円/Graphpaper(グラフペーパー トーキョー)
『reShine春号』では、山口智子さんが表紙を務める。インタビューでは山口さんが60歳からのリ・スタートについて語る。また、リアルに交友のある著名人同士<岸谷香さん×久保純子さん><木佐彩子さん×佐々木明子さん>らが、今だからこそできる日々の楽しみ方や自分アップデート法を本音でトーク。一方、「ソロ活でアラカンはもっと輝く!」をテーマに、子供が巣立った亜希さんのおひとり様レシピ、富岡佳子さんの自分の時間を豊かにするソロ活も紹介。白髪と薄毛完全対策、60歳からがかっこいいパリマダム式ヘアメイクなどの特集も掲載している。
※『reShine』2025年春号