健康・医療

《炭水化物は最後に》健康に役立つ“食べる順番” 管理栄養士が指南する「年代によって食べる順番を変えた方がいい」

朝食を食べる若い女性の手元
全世代共通のおすすめは“炭水化物は最後に食べる”こと(写真/イメージマート)
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ダイエットはもちろん、血糖値の上昇を抑えられると、食事の最初に野菜を食べる“ベジファースト”がすっかり定着。ところが昨年10月に公表された『日本人の食事摂取基準(2025年版)』には、それまでに記載があったベジファーストの項目が削除された。この削除の真相を探るとともに、最新の研究で判明した年代によって違う“本当に正しい食べる順番”を専門家に大調査。食べる順番のシン常識をチェックしよう。

お茶&汁ものファースト

「全世代におすすめしたいのは“炭水化物は最後に食べる”こと。それまでの順番は世代によって違います」(菊池さん)

水分で胃を膨らませ、食べすぎを防止

管理栄養士の菊池真由子さんの持論は「年代によって食べる順番を変えた方がいい」というもの。
40~50代のメタボ対策におすすめなのが、お茶・汁ものファーストだという。

「食事の最初にお茶や汁ものを、コップやお椀1杯分飲みます。水分で胃が膨らむので、食べすぎを防げます」(菊池さん・以下同)

お茶なら、濃い緑茶を選ぶのがいい。

「渋みや苦味の成分・カテキンには、体内に入ってきた脂肪の分解を抑えて吸収を防いだり、脂肪を燃焼させたりする効果があるとされています。また近年では、認知症やがんの予防効果も期待されています」

ただし、濃い緑茶は刺激が強いので、胃が弱い人などは水や白湯、ブレンド茶などでもいい。お茶や汁ものの次は、野菜をよく噛んで食べる→肉・魚→主食(炭水化物)の順が、50代までには適しているという。

炭水化物をゼロにしてはいけない

60才を過ぎたら、ダイエットよりも老化予防に重きを置いた方がいい。

「60才以降は、たんぱく質の吸収率が落ちます。また、50代までと同じ食事内容では食べきれず、栄養が不足して老化を招く要因に。たんぱく質を確保するため、“肉・魚ファースト”に変えましょう」

つまり、肉・魚→野菜→炭水化物の順だ。

「糖質の摂りすぎは要注意ですが、減らしすぎもよくありません。低炭水化物の食事が、寿命を最大4年縮める可能性を示唆する研究結果もあるくらいです」

糖質は摂りすぎも減らしすぎもよくない。順番を意識してバランスよく食べることが大切だ。

シニアの食事法:老け込まないために食べたい食品

魚を週5回以上食べるようにする

「魚を週5回以上食べると、認知症の発症リスクが下がるという研究報告があります。揚げるより、生(刺し身)、煮る、焼くの方が無駄なく栄養を摂れるのでおすすめです」

緑黄色野菜を積極的に摂る

「時間的余裕があるのに料理を作るのが億劫になるのは、老化のサイン。そんな老化に対抗するためにも、緑黄色野菜を積極的に食べましょう。緑黄色野菜には体の老化と闘ってくれるβカロテンが豊富なので、老化予防が期待できます」

プレート法

「プレート法なら60代以上の正しい食事の種類と量が身につく」(大坂さん)

ベジファーストにこだわる必要はない

糖尿病専門医の大坂貴史さんは、ベジファーストはもちろん、食べる順番自体にこだわりすぎる必要はないと話す。

「ベジファーストはあくまで米を先に食べることと比較して、野菜を先に食べた方がよいというもの。どんな野菜を何g食べればよいのかは明示されていません」(大坂さん・以下同)

野菜を先に食べることでどこまで健康になるかは、はっきりしていないという。

見た目で食べる量を把握しよう

専門家が勧める健康的な食事法のプレート法の説明イラスト
プレートの内訳(イラスト/なか)
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「大事なのは食べる順番より量とバランス。それが自然とできるようになる方法として“プレート法”があります。左図のように皿を、炭水化物とたんぱく質が4分の1ずつ、野菜を2分の1に3分割して、その割合にあった量を食べます」

食べる量が視覚的にわかりやすくなっておすすめだ。

◆教えてくれたのは:管理栄養士・菊池真由子さん

お茶を持った管理栄養士の菊池真由子さんのイラスト
(イラスト/なか)
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ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人以上に栄養を指導。『1週間で勝手に-10歳若返る体になるすごい方法』(日本文芸社)など著書多数。

◆教えてくれたのは:糖尿病専門医・大坂貴史さん

糖尿病専門医の大阪貴史さんのイラスト
(イラスト/なか)
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綾部市立病院内分泌・糖尿病内科部長。糖尿病と筋肉、糖尿病運動療法が専門。著書に『血糖値は食べながら下げるのが正解』(KADOKAWA)など。

取材・文/鳥居優美

※女性セブン2025年5月22日号

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