
家庭料理に欠かせない“酢”だが、その種類は幅広い。毎日の料理に どのように使い分けると効果的か、酢に詳しい料理研究家・岩崎啓子さんが伝授!
酸っぱい3つの効果
・食欲増進
酸味には食欲を刺激する効果が。食欲不振に陥ると筋力が衰え、熱中症にもなりやすい。
・疲労回復
酢に含まれる酢酸、レモンや梅干しに含まれるクエン酸には、疲労回復効果がある。
・消化吸収UP!
酸っぱいものには胃酸の分泌を促進し、消化吸収を助ける働きが。胃もたれなども改善。
家庭料理には5つの酢があれば十分
「家庭料理では、穀物酢、米酢、黒酢、白ワインビネガー、バルサミコ酢、この5つがあれば充分です。どれも味が異なるので、料理に合わせて使い分けるのがポイント。大きく分けると、穀物酢と白ワインビネガーは酸味が強く、米酢とバルサミコ酢は酸味がマイルド。黒酢は国産と中国産で酸味の強さが違うので、好みの味を選んで」(岩崎さん)
穀物酢で
米以外の穀物(小麦やとうもろこしなど)が主原料でさっぱりとした酸味がある。加熱すると旨みになり、酸味が和らぐ。

「豚肉とセロリの山椒酢炒め」のレシピ
炒めて酸味がマイルドに。山椒の香りが刺激的。
《作り方》(2人分)
【1】豚切り落とし肉200gはひと口大に切り、塩・こしょう各少量を振る。
【2】セロリ大1本は筋を取り、茎は斜め切り、葉は2~3cm長さに切る。
【3】フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、【1】を入れて中火で炒め、豚肉の色が変わったら、セロリの茎を加えてさっと炒める。
【4】砂糖小さじ1、塩小さじ2/3、穀物酢大さじ3、セロリの葉を加えて炒め合わせ、仕上げに粉山椒少量を振る。
米酢で
米の旨みと甘みを感じるまろやかな酸味が特徴。酸味がマイルドなので加熱しなくても使いやすい。和食と相性抜群。

「ピーマンとしらすの酢浸し」のレシピ
プチプチと種ごと味わう夏の常備菜。保存期間は冷蔵で2日。
《作り方》(作りやすい分量)
【1】耐熱容器にだし汁1/2カップ、みりん大さじ1、しょうゆ小さじ1/2、塩小さじ1/5を入れ、ラップをせずに電子レンジ(600W)で1分加熱してから混ぜ合わせ、米酢大さじ2を加える。
【2】ピーマン5個は縦半分に切る。
【3】フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱し、切り口を下にして【2】を並べ、中〜弱火で両面を2~3分ずつ焼く。
【4】熱いうちに【3】を【1】に入れ、すりおろししょうが1片分、しらす30gを加え、さっと混ぜ合わせ、冷蔵庫で30分ほど漬ける。
黒酢で
玄米を長期間かけて発酵・熟成させるため、黒褐色で、深いコクが出る。国産はまろやか、中国産は刺激的な酸味がある。

「黒酢入り担々風油そば」のレシピ
スピード和え麺は夏ランチに最適。濃厚なピリ辛味が黒酢でさっぱり。

《作り方》(2人分)
【1】にら1束は細かく刻む。
【2】大きめのボウルにみじん切りにした長ねぎ4cm分、すりおろしにんにく1/2片分、黒酢大さじ3、しょうゆ大さじ1と1/2、練りごま大さじ1、ごま油小さじ2、豆板醤小さじ1/2を入れ、よく混ぜ合わせる。
【3】中華麺(太麺)2玉は表示時間通りにゆで、水気を切って熱々のうちに【2】に入れ、よく和える。
【4】器に半量ずつ盛り、【1】を半量ずつ散らし、卵黄を1個ずつのせる。小さめのフライパンにごま油大さじ2を熱し、にらにそれぞれ回しかける。好みで粉山椒・黒酢各適量を足しても。
白ワインビネガーで
白ワインを原料とした酢。キリッとした酸味とフルーティーな香りが特徴で、マリネや魚介料理、洋食などと好相性。

「なすとトマトのカポナータ」のレシピ
完熟トマトで作ると本格的!冷やしても美味。保存期間は冷蔵で2〜3日。

《作り方》(作りやすい分量)
【1】玉ねぎ1/2個は2cm四方の角切り、完熟トマト大1個はざく切り、にんにく1/2片は薄切り、なす4本は縦4等分に切り、さらに横3等分に切る。
【2】鍋にオリーブオイル大さじ1、にんにくを中火で熱し、香りが立ったら玉ねぎを入れて炒める。しんなりしたら、オリーブオイル大さじ1を足し、なすを加えて炒める。
【3】なすに油が回ったら、トマト、干しぶどう20g、ローリエ1枚、バジルの葉1枝分(あれば)を加えて混ぜ合わせる。ふたをして弱火で10分煮る。
【4】ふたを取って火を強め、混ぜながら煮汁を飛ばし、砂糖小さじ2、塩小さじ1/2、こしょう少量、白ワインビネガー大さじ2を加えて混ぜ合わせる。
「キャベツのハーブ漬け」のレシピ
清涼感のある甘酸っぱさと香りの虜に。保存期間は冷蔵で2日。
《作り方》(作りやすい分量)
【1】キャベツ5枚(300g)は太めのせん切りにする。塩小さじ3/4を混ぜ、10分ほどおいて水気を絞る。
【2】ディル6本は1.5cm長さに刻む。
【3】大きめのボウルに白ワインビネガー大さじ3、はちみつ小さじ1を入れて混ぜ溶かし、オリーブオイル小さじ2、こしょう少量、【1】、【2】を加えて混ぜ合わせる。
バルサミコ酢で
ぶどう果汁を煮詰めて、木樽で熟成させた果実酢。豊かな香りと甘酸っぱい濃厚な旨みが個性的。肉料理におすすめ。

「カリカリチキンソテー バルサミコソース添え」のレシピ
芳潤なソースがエレガント隠し味のしょうゆでコクを。

《作り方》(2人分)
【1】パプリカ(赤)1/4個は細めの乱切り、オクラ4本はがくをむき縦半分に切る。
【2】鶏もも肉大1枚(300g)は厚みが均一になるように開き、塩小さじ1/3、こしょう少量を両面にすり込む。
【3】フライパンにオリーブオイル小さじ1を熱し、【2】の皮目を下にして入れ、中〜弱火でカリッとするまで8分ほど焼く。裏返して、薄切りにしたにんにく1/2片分を入れ、8分ほど焼く。途中でオリーブオイル小さじ1を空いているところで熱し、【1】を焼く。
【4】【3】を取り出し、赤ワイン大さじ3を入れ、煮立ったらしょうゆ小さじ2、砂糖小さじ1、バルサミコ酢大さじ2、バター(有塩)10g、粗びき黒こしょう少量を入れて混ぜ合わせ、ひと煮立ちさせる。
【5】鶏肉を食べやすく切り、焼いた野菜と一緒に器に盛り、【4】をかけて食べる。
◆教えてくれたのは:酢の達人・岩崎啓子さん

料理研究家、管理栄養士。著書に『しっかり食べてカラダの中からキレイになる! お酢レシピ』(河出書房新社)など多数。
撮影/菅井淳子 取材・文/岸綾香
※女性セブン2025年8月14日号