
涼しい朝のうちに、できるだけのことはやっておきたいもの。しかも専門家によると、目覚めてから出かけるまでの過ごし方は心身の健康に影響するという。起床後、どう過ごすのが正解なのか。あなたの朝の習慣は果たして──!?
- やってはいけない【1】起床時間がいつも違う
- やってはいけない【2】朝もカーテンは閉めたまま
- やってはいけない【3】冷水を飲む
- やってはいけない【4】スマホを見る
- やってはいけない【5】激しい運動をする
- やってはいけない【6】テレビを見ながら歯磨き
- やってはいけない【7】朝食時に予定を決める
- やってはいけない【8】朝食を抜く
- やってはいけない【9】二度寝する
- やってはいけない【10】冷たいシャワーを浴びる
- やってはいけない【11】夜中に時刻を確認
- やってはいけない【12】起床時に頭を横にしたまま
- やってはいけない【13】「~しなきゃいけないんだった」と予定を確認
- 専門家が実践!一日を気持ちよく始めるためにマネしたい朝習慣
やってはいけない【1】起床時間がいつも違う
「早起きは三文の徳」というが、早起きするだけでは意味がなく、起きる時間とその直後の行動が重要だと、作業療法士の菅原洋平さんは言う。
体内時計が狂うと睡眠の質や体重に影響
「平日は朝6時に起床して、休日は昼まで寝ている、というように起床時間にバラつきがある人は、体内時計が乱れて睡眠の質が下がっている恐れがあります」(菅原さん・以下同)
脳は朝、目(網膜)を通じて光を感知することで「朝が来た」と認識して、体内時計をリセットする。毎朝、同じ時間に起床していれば体内時計が一定に保たれ、生体リズムが整う。
「人間の脳と体は、細胞内の時計遺伝子の働きにより、起床からの経過時間によって発揮される能力が予め決まっているので、起床時間を一定にすることで、仕事の効率や生産性が高まります」
脳は、起床後2時間まで決断力にすぐれ、4時間後に脳の覚醒度がピークに。その後、集中力は下がり、11時間後に再びパフォーマンスが上がる。そして起床から16時間後に眠気が訪れる周期となっている。
「起床時間がバラバラだと生体リズムが日ごとに違うので、眠たくないのに寝ないといけなかったり、眠りたいのに起きないといけなかったりなど、体内時計と異なる睡眠サイクルを強いられることになります」
睡眠時間のズレで体内時計が乱れる現象を“ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ぼけ)”という。
「ソーシャル・ジェットラグは、肥満やメタボリックシンドロームの罹患率を上げるなど、健康被害を招き、死亡リスクを高める要因になるとの報告もあります」
体にいい朝の習慣を実行する大前提として、起床時間を一定にすることが大切なのだ。どうしても寝坊したい日は、いつもの起床時間との差を2時間以内にとどめよう。

更年期の不調は朝の過ごし方で変わる
「更年期を迎えた女性にとって、朝の過ごし方は心身の不調を和らげるために非常に重要です」とは、富永ペインクリニック院長の富永喜代さんだ。
「日本人女性の平均的な閉経年齢は50.5才。一般的に更年期は、閉経をはさんで前後5年、合計10年間を指します。更年期障害の三大症状が、『ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)』『発汗障害』『不眠』で、特に朝の過ごし方が関係してくるのが不眠です」(富永さん・以下同)
更年期の女性に多くみられる不眠の症状としては、寝つきが悪い、夜中に何回も起きてしまう、疲れているのに眠れないなど。原因は主に、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量の減少による自律神経の乱れだという。
「自律神経が乱れると、日中の活動時に優位に働く交感神経が夜間にも働いて、脳が興奮状態になって眠れなくなります。寝不足が常態化すると、血圧の上昇や免疫力の低下などの健康被害を招きやすくなります」
対処法として、朝の起床直後にしっかりと太陽の光を浴びて「セロトニン」を生成することが大切。セロトニンは、良質な睡眠につながるホルモン「メラトニン」の材料となるからだ。

痛みを和らげるための起き方が1日を変える
50代以上になると、肩やひざなど、体に痛みがあるという人は多い。朝、痛みを感じながら起きると、「今日もやっぱり痛い」と負のイメージを一日中引きずることになり、外出が億劫になるなど、行動が制限される。それが日常化すると認知症の発症リスクを高めることにもつながる。
「痛みに支配されないためには、すっきり起き上がれるように工夫することが大切です。そのためには、目覚めてすぐに起き上がらず、布団の中で手足を伸ばすなどして、脳を起こしてからゆっくり起き上がるのがおすすめです」
痛みを気にせず、自分らしい一日を送れるかどうかも、起床後の習慣にかかっているのだ。そのほか、起床後にやってはいけないことも参考にしてほしい。
やってはいけない【2】朝もカーテンは閉めたまま
「朝、太陽の光を浴びると心を安定させるホルモン・セロトニンが分泌され、これが夕方以降に睡眠ホルモン・メラトニンへと変化します。睡眠導入のためにも、朝はカーテンを開けて光を浴びて」(精神科医・しょうさん)

やってはいけない【3】冷水を飲む
「内臓の温度である深部体温は起床の2時間前が最も低く、そこから徐々に上昇しますが、起床直後は完全に上がりきっていないため、内臓を冷やす冷たい飲み物を飲むのはダメ。常温か温かい飲み物にしましょう」(菅原さん)

やってはいけない【4】スマホを見る
起きてすぐスマホでSNSなどをチェックするのはNG。「情報が一気に流れ込み、脳が緊張モードに。ネガティブな話題を目にして朝から気落ちする可能性もあるので、まずは顔を洗うなど、自分と向き合う時間を優先しましょう」(しょうさん)

やってはいけない【5】激しい運動をする
「朝に運動すること自体は悪いことではありません。しかし、体温が上がりきっていない朝の運動は、体への負担が大きい。同じ運動量でも夕方に運動した方が脂肪燃焼効果が高いというデータもあるので、体を動かすなら夕方に」(菅原さん)

やってはいけない【6】テレビを見ながら歯磨き
「朝は『腰が痛い』などの負の感情を断ち切る習慣を盛り込むと◎。おすすめは歯磨き。ただし情報を遮断して、歯を磨くことに集中する必要があるので、テレビを見ながらなどの“ながら磨き”はNG」(富永さん)

やってはいけない【7】朝食時に予定を決める
「朝食時に頭の中で一日の予定を立てると悩みやストレスを断ち切れません。せめて食事中は食材の風味や香りなどを楽しみ、心を支配する問題から思考を切り離しましょう。そうすれば、ストレスに支配されにくくなります」(富永さん)
