健康・医療

《家族が認知症になる前にやっておくべきこと》病院選びはシビアに見極め、合わないと感じたら“チェンジ” 終末期の治療方針は“ふんわり”した見通しで充分 

家族が認知症になる前にやっておくべきこととは(写真/PIXTA)
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 寿命の延伸とともに認知症の患者数は年々増加。いまや80代以上の「3人に1人」が認知症、「4人に1人」が軽度認知障害を発症していると推計される。決して他人事ではなく、自分はもちろん親や配偶者がいつ認知症になり、介護する側になるかは、誰にもわからない。本人が元気なうちに知っておくこと、調べておくこと、そして時には協力して進めておくことをまとめた。【全5回の第1回】

 加速していく超高齢社会において認知症患者は増加の一途をたどり、1940年には人口の14.9%、約7人に1人が認知症を発症するという推計もある。もはや誰もが備えておくべき国民病だが、認知症は「ある日突然、突発的に発症して生活が成り立たなくなる」というものではない。初めは理解力の低下などの些細な違和感から始まり、徐々に思考力や判断力が下がっていく「グラデーション」があるのが特徴だ。だからこそ、配偶者や親など、身近な人が「認知症です」と診断を受ける前に準備をしておくことで、いざというときに家族の負担を大幅に減らすことができる。一方で、備えがなければ後悔だらけの最期を迎えることになりかねない。

認知症は人生の過ごし方に深くかかわる病気

 2023年に承認された「レカネマブ」や2024年に承認された「ドナネマブ」などの治療薬の進歩により、いま認知症は治せる病気になりつつある。だからこそ、早期発見と病院の受診は必須事項だといえる。だが、認知症の初期症状は、単なる加齢による物忘れと見分けがつきにくい。判断を見誤れば、不要な服薬でかえって症状が悪化してしまう可能性もある。病院を受診するタイミングについて、永寿総合病院がん診療支援・緩和ケアセンター長の廣橋猛医師が話す。

「認知症は一般的にイメージされているような“物忘れがひどくなる病気”とは少し違い“判断力が鈍くなる病気”と考える方が適切です。具体的には、前日の献立を思い出せないのは普通の老化ですが、家の鍵などの大切なものを何度もなくしたり、同じものばかり何度も買うようになったら、病院を受診するサイン。本人が“最近、なんだかおかしい”と自覚できているうちに受診しましょう」

病院を受診する際は、医師との相性が最重要(写真/PIXTA)
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 受診の際は、専門性が高い「認知症疾患医療センター」や「物忘れ外来」を選ぶのがいい。だが、物忘れ外来は、医師免許があれば誰でも掲げられるため、実情をチェックする必要がある。

「認知症は、その後亡くなるまでの人生の過ごし方に深くかかわる病気なので、患者本人の意向をしっかり聞ける医師に委ねるのが望ましい。何でもかんでも薬を処方するだけではなく、介護の相談に乗ってくれたり、介護にかかわる人たちと連携できるかも重要です。通院を始めてから合わないと感じたら、“チェンジ”しても構いません。

 病院選びに迷ったら、かかりつけ医から紹介してもらうのがいいでしょう」(廣橋さん・以下同)

 病院で認知機能を検査してもらうと同時にいまの服薬状況や持病、必要になったときの治療方針などを医師と共有しておこう。

 必要があれば、人生の最期を迎える際の終末医療についても話し合っておく。ただし「延命治療はしない」「胃ろうは拒否する」といった具体的な医療行為より、「最期はできれば家で過ごしたい」「あまり苦しいことはしたくない」など、“ふんわり”した見通しで充分だと、廣橋さんは言う。

「延命治療というと“全身を管につながれて死んでいく”“とにかく苦しい”といったイメージも多い。ですが実際は、食べられないときの点滴なども延命治療の一種なので、一概に“延命はしない”と決めてしまうと、実際に終末期を迎えたときに家族がつらい判断を強いられることになる。するかしないかではなく、どんな最期が嫌で、どんな最期を迎えたいのかを、ふんわりでいいので話しておくのがベストです」

「違和感」が増えたら病院ですること
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(第2回に続く)

女性セブン2026312日号 

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