
皇室のあり方が、大きな曲がり角を迎えている。ガラスの天井を破った女性リーダーが先頭に立ち、プリンセスの未来を揺るがそうとしているのだ。皇室典範改正をめぐる波乱の数々と、その内幕を詳報する。【全3回の第1回】
相次いだ“だまし討ちだ”の指摘
「賛成の諸君の起立を求めます」
議長の呼びかけに、集まった議員たちが続々と腰を上げていく。
「賛成多数、よって本案は可決いたしました」
議場が拍手に包まれると、高市早苗首相は満足げに目を閉じ、天を仰いだ。
7月10日、皇室典範改正案が衆院を通過した。
「改正案の柱は《【1】女性皇族が結婚後も皇室に残る》《【2】旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える》の2点。参院でも可決される公算が高く、17日の今国会の会期末までに成立する見通しです(7月14日現在)」(政治部記者)

賛成多数で可決となったものの、野党からは批判の声も上がった。
「そもそも今回の改正へ向けた議論の出発点は“皇族数の確保”であり、今後の皇位継承とは分けて議論するとされていました。ところが政府が作成した改正案では、養子本人には皇位継承権はないものの、『養子に男子が生まれた場合、皇位継承権を有する』と明記されたのです。これは各党が話し合って取りまとめられた『立法府の総意』にはなかったことで、“だまし討ちだ”との指摘が相次ぎました」(前出・政治部記者)
かねて各党で意見が割れていた女性皇族の「夫や子の身分」についても、急転直下、結論が出されることになった。
「当初、夫や子の身分については今後の議論に委ねる方針とされていたにもかかわらず、改正案では夫や子に合わせ、女性皇族に『住民基本台帳法』を適用するとされました。夫や子は一般人のままとすることが前提とされた仕組みが、突如として盛り込まれた形です。
夫や子を皇族にすれば、将来、母方の祖先を天皇とする『女系天皇』につながりかねないとして、保守派が強く反対してきた経緯がある。高市政権の、男系男子での皇位継承の流れを確かなものにしたいという強固な思いが透けて見えます。同時に、愛子さまの人気の高まりとともに多くの場面で盛り上がりをみせるようになっていた、愛子天皇論を封じる思惑もあったのではないか。愛子さまの即位の可能性は議論すらされませんでした」(前出・政治部記者)