欧米、アジアなどでのブームを経て、世界中でも“定番”となりつつある抹茶。日本では鎌倉時代から飲まれているなじみのお茶だが、最近、「美容と健康」にも効果的であると注目を集めている。
ーこの記事は4分で読めますー
【目次】
・そもそも抹茶とは?緑茶との違いは?
・抹茶がすごい【1】腸内フローラを改善し、お腹を守ってくれる
・抹茶がすごい【2】肌の血流アップと保湿効果を高め、肌を守る
・抹茶がすごい【3】心理的ストレスの影響を軽減し、心を守る
・抹茶の効果、パワーを感じられる飲み方は?
ネスレ日本と京都府が設立した「抹茶と健康研究会」によると、抹茶の飲用が、「腸内フローラの改善」、「肌の血流アップと保湿効果の発揮」、「心理的ストレスの影響の軽減」に効果を有する可能性があると新発見された。
そもそも抹茶とは?緑茶との違いは?
「抹茶と健康研究会」のメンバーで、農業・食品産業技術総合研究機構食農ビジネス推進センター・センター長の山本(前田)万里氏が、抹茶に関する概要と機能性研究について解説。抹茶の特長として、以下の3つが挙げられるという。
【1】 アミノ酸(テアニンやうま味成分のグルタミン酸など)が豊富
【2】 茶カテキン(ポリフェノール)が煎茶の約2倍
【3】 茶葉をまるごと摂取するので、煎茶の抽出液にはないルテイン(カルテノイド)などを含む
茶カテキンは抗酸化作用、テアニンはリラックス効果、ルテインは加齢黄斑変性など目の病気も予防するとされる成分だが、驚くべきはその含有量。
茶カテキン、テアニンは煎茶にも含まれるが、お湯で出した抽出液だけを飲む煎茶に比べ、挽いた粉をそのまま飲む抹茶の含有用はそのおよそ2倍になるという。
そこで、「お腹」「肌」「心」への効果が見込まれてさまざまな研究が行われ、新たな発見が続々と明らかになった。
抹茶がすごい【1】腸内フローラを改善し、お腹を守ってくれる
京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 講師の井上亮氏は、抹茶が腸内フローラにどんな影響を与えるのかを研究。
腸内には、100兆個以上の細菌が存在。それが、腸内フローラを形成していて、そのバランスが近年、便秘、肥満、がん、糖尿病、ストレス・精神疾患、心疾患などの生活習慣病、アレルギーなどとも密接な関係があることがわかり、注目を集めている。
そんな腸内フローラは、生活地域、食生活、年齢、病気、薬などの要因で変化するが、抹茶を飲むことによっても腸内フローラの構成に変化があることが今回わかったそう。
1日2回(朝夕)、1~2週間の飲用で、大腸炎、大腸がんの発症・悪化と関係するとされる悪玉菌が大幅に減り、逆に酪酸という腸内によい酸を作る善玉菌が大幅に増加。こういった結果から、抹茶の継続的な摂取が腸内環境を良好にし、下痢や便秘、軽度の不調の改善が見込めるそう。
研究を行った井上氏も「ここまできれいに腸内細菌叢(そう)を変える素材はあまりない。かなり有望な素材なのでは」と期待を寄せている。
抹茶がすごい【2】肌の血流アップと保湿効果を高め、肌を守る
株式会社ANBAS代表取締役で大阪大学名誉教授の永井克也氏は、抹茶が肌に与える影響を研究。
肌は、外界との接点として自分の体を守る重要な臓器とされ、若々しさを保つことは美容のみならず、健康面でも大事なこと。
自律神経と身体機能の研究の第一人者である永井先生によると、抹茶の飲用(お湯70mlに2.5gの抹茶)が皮膚の交感神経を抑制。そのことで肌の血流を増加させ、水分の蒸発を抑制、保湿効果を生み出すことが動物実験で示されたという。
具体的には、動脈血管、血流、酸素・栄養素の供給、保湿度、育毛、創傷治癒といった項目すべてで、よい結果が出た(特に血流の増加は顕著)という。さらに、抹茶の摂取方法を、ミキサーでかくはんしたものと、昔ながらの茶せんでかくはんしたものを比べると、どちらも交感神経の抑制効果はあるものの、なぜか茶せんを使用した方が効果は高かったそうだ。
今回の実験はラットやマウスだったが、永井氏は、「以前、乳酸菌の一種の実験を行った際、ラットでも人でも同じ結果が得られたので、抹茶も同様のデータを人で発揮するものと考えています」と話している。
抹茶がすごい【3】心理的ストレスの影響を軽減し、心を守る
抹茶は、精神的な素養が重要となる茶道で用いられてきたが、農業・食品産業技術総合研究機構の物部真奈美氏らの研究により、抹茶にストレスの影響を軽減する作用がある可能性があることがマウスを使った実験で示された。
ストレスがかかり、探索行動に出なくなっていたマウスに抹茶を2週間飲ませたところ、ストレス耐性が上がり、探索行動の増加が認められたという。
抹茶には、うま味成分であるアミノ酸のテアニン、集中力を高めるカフェインが含まれるが、テアニンだけ、カフェインだけを含む条件では効果が得られず、このことから、テアニンとカフェインをバランスよく含むことが、ストレス耐性効果を発揮する上で重要だと、初めて示された。
今回は上記の3つに関しての新発見だったが、ほかにも、「筋肉トレーニング時の筋力の増加、疲労感の低減」「視覚に与える影響」「睡眠・覚醒サイクルに与える影響」といった抹茶と健康に関連する研究が大学・研究機関で行われており、今後、さらなる新発見にも期待が寄せられている。
抹茶の効果、パワーを感じられる飲み方は?
では、実際にどのくらい飲用すると、効果を感じられるのか? もっとも効果的な飲み方3つを、井上先生、永井先生が教えてくれた。
●抹茶2~2.5gを80ml程度のお湯(40~60°)で、茶せんで泡立てて飲む
●タイミングはいつでもいいが、1日2回、昼食後、夕食後だとリラックス効果を感じられる
●お湯で飲むのが飽きた場合には、牛乳に混ぜたり、ヨーグルトなどにかけてもOK
また、『キットカット 抹茶のちから』など、お菓子でもしっかり抹茶を含有しているものなら効果は期待できるとのこと。まずは、身近なところから試してみるのもありかも。
【データ】
「抹茶と健康研究会 公開セミナー」
取材・文/鈴木知子
●大坂なおみ選手にもおすすめ!ダイエット中に食べたい「抹茶アイス」4選
●食前の緑茶コーヒー、きゅうりが有効!25㎏減の医師が“食”の【痩せグセ】を解説
●【緑茶コーヒーダイエット】効果的な方法と注意点は?実践して25kg減量した医師が解説
●【緑茶コーヒーダイエット】のアレンジ術、「1日3杯」を続けるためのコツ
●冷え、風邪、便秘、ダイエットに!お茶のパワーを15の種類別に解説