健康・医療

悪い姿勢の体への影響は?猫背による肩こりなど弊害、デメリットとその治し方&改善法

「なくて七癖、あって四十八癖」のことわざにもあるように、人は誰しも、多かれ少なかれ癖がある。しかしそれが、健康や美容に影響を与えるとまではゆめゆめ思わないだろう。知らず知らずのうちにやっていて、実は怖い病気の原因にもなる癖とその直し方を専門家に教えてもらった。

脚を組むことのデメリット──ヘルニアや坐骨神経痛など

オフィスの椅子で足を組む女性
写真/ゲッティイメージズ
写真7枚

《こんな症状が!》

●椎間板ヘルニア
●坐骨神経痛
●腰部脊柱管狭窄症
●骨盤のゆがみ
 など

「脚を組んでいる人は次に挙げる症状に一歩ずつ近づいていることを知ってほしい」

そう語るのは、竹谷内医院院長で整形外科医の竹谷内康修さんだ。

「脚を組むと、自然と姿勢が前屈みになります。すると、腰への負担が大きくなり、腰の病気になりやすいんです。具体的には椎間板ヘルニアをはじめ、お尻から脚にかけて痛みが走る坐骨神経痛、歩行時や立っている時に下半身に痛みやしびれが出て、長距離を歩けなくなる腰部脊柱管狭窄症などです」(竹谷内さん)

さらに、脚をよく組んでいると、骨盤もゆがむという。

「右の骨盤の上には肝臓がのっています。ですから、そもそも右の骨盤の方が下がりやすいんです。それなのに右脚を組む癖をつけてしまうと、右側の骨盤が大幅にずれてしまいます。特に右利きの人は右脚を組みがちなので、注意しましょう」(さつま骨格矯正鍼灸整骨院総院長・薩摩宗治さん)

【正しい姿勢への治し方】組むなら足首を!

 

椅子に腰かけて足首をクロスしている女性のイラスト
写真7枚

脚を組みそうになったら、上のポーズを。

脚を組みそうになったら、意識して足首をクロスして、両ひざをぴったりくっつける。片方の足ばかり上にするのではなく、左右均等にクロスすることも心掛けて。

「足首をクロスして、両ひざをつけます。すると骨盤が内側にきゅっと締まり、骨盤の位置を整えられるんです」(薩摩さん)

猫背のデメリット──肩こり、首こりなど

スマートフォンを手に首を押さえて苦しそうな女性
写真/ゲッティイメージズ
写真7枚

《こんな症状が!》

●肩こり
●首こり
●腕のしびれ
●首の骨の変形(頸椎症)
●腰部脊柱管狭窄症
 など

スマホの画面を見る時、姿勢は前屈し、猫背になりがちだ。

「本来、人の背骨(脊椎)はS字に弯曲しています。そうすることで、重い頭部の荷重を分散して支えているのです。しかし、猫背になると、背骨が全体的に丸まり、S字ではなくなります。この癖を直さなければ、首の骨・頸椎が変形する頸椎症の原因にもなります。最近では、スマホを見るために頭を下げ、猫背になる患者さんが増えています」(前出・竹谷内さん・以下同)

頭は5kg前後の重さがあり、首を30度下げると頭の重さが約18kgに、60度下げると約27kgもの負荷になる。そうなると、頸椎を支える首や肩の筋肉が張って首や肩がこる。これが、頸椎症の初期症状だ。さらに悪化すれば手の感覚がなくなり、手術を要することもある。

「猫背は腰にも負担をかけます。背骨にある神経の通り道・脊柱管が圧迫されて狭くなるため、腰部脊柱管狭窄症にもかかりやすくなります」

こうなる前に、背筋を伸ばす習慣を。歩く時は胸を張り、スマホや本を見る時も、目の高さに合わせること。また、以下の体操は腰部脊柱管狭窄症の症状を和らげる。スマホの見すぎで姿勢が悪い人は実践を。

猫背による腰部脊柱管狭窄症を緩和する体操

【1】寝て脊柱管を広げる

ひざを抱えて寝ている女性のイラスト
写真7枚

痛む方の脚を上にして、両ひざを曲げて横向きに寝る。両手で両ひざを抱え、ひざを胸につける。こうすると腰が丸まり、脊柱管が広がる。

【2】椅子を使って脊柱管を広げる

椅子に座ってひざを90度に保った状態で上半身を足にくっつけている女性のイラスト
写真7枚

いすに深く座り、両足の裏を床につける。上体を前に曲げて、両手で両足首を抱える。【1】と同様、腰が丸まり、脊柱管が広がる。

片足重心のデメリット──骨盤や顔のゆがみなど

《こんな症状が!》

●骨盤のゆがみ
●顔のゆがみ
 など

立っている時、つい片方の足にだけ重心をかけてしまうことはないだろうか。この癖を続けると、骨盤だけでなく顔の骨格もゆがみ、“ブス”になるという。

「体と顔は、つながっています。全身は一枚の筋膜という膜で覆われていますし、骨盤と肩甲骨と頭蓋骨は連動しています。片足重心を癖づけると、骨盤が前に出てゆがむため、連動して顔もゆがむのです」(薩摩さん・以下同)

片方にだけ重心がかかっているかどうか見極めるには、靴底を見よう。両方とも同じくらい減っていたら問題ないが、例えば、左の靴底だけがすり減っていたら右足に重心がかかっている証拠。左のかかとに重心がかかっていないと、左足だけ引きずって歩くことになり、左の靴底がすり減るのだ。

「他にも、いつも片方の腕でばかりかばんを持つ癖があると、同様のゆがみが生じます」

普段から体の左右対称を意識し、1つの部分に力や重心が偏らないようにすることが、この癖を直すポイントに。また、体のバランスを整えて顔のゆがみを解消する下のエクササイズも効果的。試してみて。

【正しい姿勢への治し方】骨盤と顔のゆがみを解消する体操

直立した状態で舌を上に出し片方の手で反対の手首を握って下に向かって引っ張っている女性を横と後ろから見たイラストが並んでいる
写真7枚

ひざを伸ばし、胸を張って立ち、肩甲骨を寄せる。舌筋群を鍛える体操(コチラの記事で紹介)をしながら、片方でもう片方の手首を引っ張り30秒キープ。反対の手首も同様に行う。

ため息と貧乏ゆすりにデメリットない?意外な効能とは?

「つくと幸せが逃げる」とされるため息だが、予防医学が専門の虎の門中村康宏クリニック院長・中村康宏さんは推奨する。

「ストレスがたまっている時は、交感神経が優位になって呼吸が浅くなりがち。そこで、吐き切れていなかった息を一気に吐き切るためにため息が出るんです。逆にため息をがまんすると、呼吸が浅くなりストレスも発散できません」

ちなみに、息を吸った時に2、3秒止めてから、一気にふーっと深く吐き切ると、リラックス効果が高まるという。

一方、行儀悪く見られがちな貧乏ゆすりも健康にいい。銀座医院の整形外科医・齋藤吉由さんは、足を縦に小刻みに動かすのは、変形性股関節症の改善に効果的だという。変形性股関節症とは、加齢や歩きすぎることで股関節の軟骨が徐々にすり減り、骨が変形する病気。脚の付け根が痛んで歩行が困難になり、さらに悪化すると、人工関節に換える手術をすすめられることが多い。

しかし、貧乏ゆすりを続けたことで、手術をしなくても痛みが取れた患者が続出したという。

「足を動かし続けることで、軟骨まわりにある関節液などの循環がよくなります。すると栄養が全身に行き渡り、すり減った軟骨が再生するようです」(齋藤さん)

足の血流がよくなれば、むくみも解消される。むしろ癖にしよう。

正しい貧乏ゆすりのやり方

椅子に腰かけた女性がかかとを上下させているイラスト
写真7枚

足の裏がつく高さのいすに座り、ひざを90度以内に曲げる。つま先を床につけたまま、かかとを小刻みに上下させる。疲れたら止め、楽になったら再開を。

イラスト/つぼゆり

※女性セブン2019年3月21日号

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