おウチで料理をする人が増え、飲食店ではさまざまなテイクアウトメニューが登場。なかなか会えない遠く離れた友人とも気軽に飲める「リモート飲み会」なんていう新たなスタイルも人気で、いまや家飲みする人が増えている。
管理栄養士の菊池真由子さんは、家飲みは制限がないため外で飲むより飲みすぎる傾向にあると言う。菊池さんに、飲みすぎによる不調を軽減する食材と食べるタイミングを教わった。
「しじみ」が二日酔いにいいのはなぜ?
「お酒を飲んだときに食べてほしいのがしじみです。しじみには、肝臓の働きを助けるタウリンとグリコーゲンが豊富に含まれています。タウリンには飲みすぎて弱った肝機能をサポートする働きがあります。
さらに、サプリメントでよく耳にするオルニチンも重要な栄養素。アミノ酸の一種であるオルニチンは、肝臓の解毒作用を高めて分解を促進します。すると、早くアルコールが排出されて二日酔いの予防に有効です」(菊池さん・以下同)
◆おすすめの食べ方は味噌汁
では、しじみはどう料理して食べるのが効果的?
「しじみの身とエキスを丸ごと摂れるのが味噌汁。1人分の味噌汁に10~15個入れるのが適量です。味噌もアミノ酸の含有量が高いので、タウリンとともに肝機能の働きをサポートしてくれます。栄養素はすべて汁に溶け出すので、汁までしっかり飲むのが栄養を効率的に摂るコツ。だしが出た身にも栄養素はあるので残さず食べましょう」
しじみは冷凍でも効果に変わりはないが、食べるときの注意も。
「貝の口が自ら開くものだけを食べてください。中途半端に開いたものや手でこじ開けないと完全に開かないものは貝が死んでいる状態で、食中毒になる危険性もあるので食べないようにしましょう」
“解毒”に効果的な「しじみ」のタイミング
お酒のダメージを軽くするには、しじみの味噌汁をいつ食べればよいか?
「お酒飲んだあとでも翌朝でもどちらでも構いませんが、早くリカバリーしたいならお酒を飲んだあとがベター。また、あらかじめたくさん飲むことがわかっていれば、夕食時など先に食べておくのも手。うっかり飲みすぎてそのまま寝てしまったら、翌朝に」
また、味噌汁は水分として血中アルコール濃度を下げる役目も。
「体に水分をとり込めば、アルコール濃度が薄まるとともに、余分な水分も排出してくれます。体から抜けた水分にはアルコールも含まれていますから、翌日にお酒が残りにくい」
◆お酒の飲みすぎは体にどんな影響?
いずれにしても、お酒の飲みすぎは体に大きなダメージを与えると、菊池さんは言う。
「お酒は体にとっては毒。飲みすぎると体が疲れるうえ、毒を体から排出するために肝臓には大きな負担がかかります。それをわかったうえで、お酒はストレス解消には最強ですから、飲んで気持ちが晴れやかになる量なら構いません。
ただし、自分がどれだけ飲んだかわからなくなる、飲めるだけ飲む、イライラしたから腹が立ったからつい飲んでしまった。こんな飲み方では肝臓を傷めるだけです」
注目すべきはアルコール度数
コロナ禍で菊池さんへ寄せられる相談者のお酒の飲み方には変化が生じているという。
「ストレスが溜まっているのもあると思いますが、飲む量が増えているのとお酒の種類が変わったという人が増えています。種類が変わった人に多いのが、以前より度数の高いお酒を飲んでいるという点。度数が上がればそれだけアルコールの量が増えるわけですから、肝臓への負担も大きくなります。今までより度数の高いお酒を飲むようになった人は要注意です」
◆お酒を飲みすぎてしまったらどうしたらいい?
さらに、お酒には食欲増進効果があり、ここにも落とし穴が…。
「コロナ太りの中には、お酒のおつまみで太ってしまった人もいるのでは? ただでさえ、閉じこもって運動不足なうえ、度数の高いお酒に合わせておつまみを食べすぎれば間違いなく太ります! 肝臓を休めるためにも週2日はお酒を控える。食べすぎた翌日から3日間は1日に食べる量を通常よりも減らす。デブの仲間入りをしないための鉄則です」
さらに、お酒を飲みすぎるとアルコールの利尿作用で、トイレに行きたくなるなどの生理現象が起こりやすくなる。当然、夜中に目が覚め、睡眠が浅くなってしまう。
「睡眠不足になると、疲労回復はできません。その日の疲れをその日のうちにとるためにも、安眠を心がけてお酒はほどほどに。ちなみに、のどが渇き目覚めてしまう、自分が思った時間よりも早く起きる、二度寝する、これらの3つの症状のうちどれか1つでも当てはまれば睡眠不足の可能性があります」
リモート飲みで、やめどきがわからずついつい飲みすぎてしまう人は、飲む前にお酒の量を決めるのがおすすめ。飲み切ったらお酒の代わりにしじみの味噌汁をチャージしよう。
この人に聞きました:管理栄養士・菊池真由子さん
管理栄養士・健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部(現・保健センター)、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部(現・予防検診部)を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。『食べても食べても太らない法』(三笠書房・以下同)が10万部超えのヒット。『図解 食べても食べても太らない法』、『食べれば食べるほど若くなる法』、『図解 食べれば食べるほど若くなる法』もベストセラー。
取材・文/佐々木めぐみ
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