いざ病気になってしまったときにはもう遅い、医療保険の見直し。医療の進歩や、保険タイプの変化に合わせて、自分に合った保障を万が一に備えて選びたいものです。
山本学医師監修、医療アドバイザーの御喜千代さんが著した『大切な人が入院・手術になったときの病気の値段がわかる本』(アスコム)では、医療保険の費用対効果が解説されています。昔加入した医療保険では、給付を受けるための条件がよくないケースもあります。
保険の賢い活用法を知って、この機会に見直しをしてみてもいいかもしれません。
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医療保険を上手に活用する方法は?
高額療養費制度など、公的な医療保険は負担する金額をある程度まで下げてくれますが、医療費がゼロになるわけではないですよね。そこで、入院にかかるさまざまなお金を抑えたり、仕事ができなくなることによる収入減の問題を解決したりするために、保険会社が提供する民間の医療保険も活用したいところ。
けれど保険ってよくわからないし、どういうものがあるのかもあまり知らない…という人へ向けて、まずは保険の基礎知識を紹介します。
主契約は大きく分けて2つ!
医療保険のおもな契約は、「手術給付金」と「入院給付金」の2つ。さらにオプションとなる「特約」についても知っておくと、見直すときに役立ちます。
◆主契約1:手術給付金
手術給付金は、手術を受けたときに給付される保険金のこと。
ただし、どんな手術でも給付されるわけではなく、約款に記載された手術が対象で、保険商品のタイプや契約した時期によっても給付内容が異なります。最近では、健康保険の適用となっている手術が1000種類ほどあるので、それらが給付の対象となる商品が主流となっています。
◆主契約2:入院給付金
入院1日につき支払われる保険金の入院給付金。最近は日帰り入院でも給付対象となっている医療保険も多いです。
世帯主が加入している医療保険の入院給付金は、日額平均で1万円ほど。入院時にかかる1日あたりの自己負担額は平均あたり2万3300円なので、費用の半分ほどをカバーできます。
◆入院で給付される金額にはルールがある
医療保険では、1回の入院で最大何日まで入院給付金が受け取れるかを定めた、入院支払限度日数が決まっています。限度日数は30日、40日、60日、120日などがあり、保険商品や契約内容によって異なります。
医療保険の入院給付金には、初回の手術の退院日から180日を過ぎていれば、同じ病気であっても再度給付金が受け取れる「180日ルール」があります。逆にいえば、入退院から180日以内に同じ病気が再発して再入院となった場合は、給付金が思ったよりも受け取れない場合もあるということ。もしものときのために、頭に入れておきましょう。
◆がん保険や、特約も知っておくと便利
民間の医療保険には、さまざまな特徴を持った商品があり、代表的なものにがん保険が挙げられます。また、一般的な医療保険の特約に、がん特約というものも。
がん保険は、がんの手術や入院にかかる治療費、入院費に加えて、退院後の通院にかかる費用を保障してくれるもの。一般的な医療保険との違いは、対象となる病気ががんに限られている点、さらに多くの商品では診断されたときに一時金(診断給付金)が支払われる点の2つです。診断給付金は保険によって50~200万円ほどとなっています。
一方のがん特約は、医療保険のオプションとして掛け金を追加することで、がん治療に重点的に保障をつけることができるというものです。がん保険ほど保障内容が厚くないこともあるので、契約を考えるときは、よく確認しましょう。
また、医療保険のオプションを指す特約は、がん以外にも入院に必要な出費に条件なく使える入院一時金特約や、認知症や介護が必要になったときの費用を補填するもの、最近では新型コロナウイルスの入院にかかる費用を保障するものなども登場しています。