コロナ禍で『愛の不時着』や『梨泰院クラス』を見て久しぶりに韓国ドラマにハマり、「次は何を見よう?」と悩んでいる人も多いのでは? そこで、韓ドラ初・中級者のかたにぜひ見てほしいおすすめのドラマを、長年、韓国エンタメを追いかけるライター・田名部知子がご紹介!
今回ご紹介する作品は、高麗王朝時代に実在した武骨な武将と、その時代にタイムスリップさせられたじゃじゃ馬女医の時空を超えた壮大なファンタジー・ラブロマンス時代劇『シンイ-信義-』です。
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韓国での視聴率はいまひとつでも、日本では人気の“時空を超えた時代劇”
タイムスリップという奇抜な設定と、武骨な武将と仕事はできるけれど生意気でじゃじゃ馬な女医の禁断の恋、異なる時代を生きてきた男女が愛を知り、何度も殺されかけながら、お互いを信じ守りあう姿は、『愛の不時着』のカップルと重ね合わせて見ることができるかもしれません。
トップ俳優のイ・ミンホとキム・ヒソンを主演に据えたにもかかわらず、実は韓国での視聴率はいまひとつでした。正統派の時代劇とは一線を画す、ファンタジー要素のある新ジャンルは、既存の時代劇ファンには受け入れられなかったのかもしれません。
ところがこの時空を超える時代劇というのは、ユチョン主演の『屋根部屋のプリンス』(2012年)や、ユ・インナ主演の『イニョン王妃の男』(2012年)などと同様、日本女性が大好きなジャンルで、本作でも多くの“シンイ廃人” を生み出しました。個人的にも、私の「人生韓国ドラマ」ベスト3に入るほど惚れ込む作品です。
《あらすじ》
高麗時代末期、幼少期から元の人質となっていた高麗第31代王・恭愍(コンミン)王一行が帰国する途中、刺客の襲来にあい、王妃が重傷を負ってしまいます。王妃の命を救えるのは天界にいる神医のみという侍医の話に加え、天門を見たという側近が現れ、王室近衛隊隊長チェ・ヨン(イ・ミンホ)は王命のもと、神医を探しに天門に入っていきます。
ところがたどり着いた先は、2012年のソウル・江南。そこが天界だと信じるヨンは、学会に参加している美容整形外科医のユ・ウンス(キム・ヒソン)を見つけ、半ば拉致のような形で、高麗時代にウンスを連れ帰ってしまいます。
どこに連れてこられたのかもわからないまま戸惑うウンスですが、王妃の命を助ければ元いた場所に帰すと言われ、現代から持ち込んだ数少ない器具を使って王妃を治療し、回復させます。
ところが現代に帰れるはずの天門が閉じてしまい、ウンスは帰ることができなくなってしまうのです。
【見どころ1】イ・ミンホの熱い目力…いつまでも見ていたい美しいアクションシーン
イ・ミンホは、『花より男子〜Boys Over Flowers』(2009年)や『相続者たち』(2013年)、『青い海の伝説』(2016年)、『ザ・キング:永遠の君主』(2020年)などで主演を務め、出れば必ず大ヒットする、非常に作品に恵まれた俳優です。高い演技力はもちろん、抜群のスタイルと彫りの深い顔立ちで、日本でも新韓流四天王の1人として高い人気を誇っていますが、本作が時代劇初主演となりました。
◆有名な武将をイ・ミンホが抜群のスタイル、完璧なビジュアルで魅せる!
チェ・ヨンは、高麗最高の剣客と言われた実在の人物で、韓国の小中学校の教科書にも載る有名な武将。王や部下へのまっすぐな「信義」を貫き、本作では雷を操る内攻(体内から生み出される特殊な能力)の持ち主となっています。
そんなヨン将軍を、イ・ミンホは長身で抜群のスタイル、完璧なビジュアルで魅せてくれます。甲冑と濃紺の袴でしなやかな体を覆い、ゆるふわウェーブの髪を無造作に束ね、長剣を軽やかに振り回して敵をバッサバッサと切り倒します。その袴の足さばきの美しいことといったら。
時代劇のアクションシーンは普通、つい倍速にして見たくなるものですが、イ・ミンホの高さのある回し蹴りやワイヤーを駆使した華麗なアクションは、むしろ延々と見ていたくなるほどです。
◆イ・ミンホの大きな目で表現するさまざまな感情表現にキュン
笑顔が素敵なイ・ミンホですが、今回は笑うシーンや美しい笑顔はほぼ封印。だからこそ、ごくごくたまに出てくる数少ない笑顔シーンの尊いこと! 21話でウンスに対してニヤけるシーンがあるのですが、そこはもう変態的にリピートしてしまいます。
セリフもグッと少なめで、その分大きな目で表現する喜怒哀楽のさまざまな感情表現に、“キュン”が大暴走。怒りに震える顔、ウンスの突飛な行動に戸惑う顔も萌えポイント。セリフなくウンスを見つめるシーンでは、ヨンの鼓動まで聞こえてきそうなほどなのです。
◆思わず目をそむけたくなるような回想シーンも
ヨンには過去に所属していた赤月隊(特殊部隊)で、先々代の王の浅はかな行動によって師匠と恋人を失うという、つらく悲しい事件がありました。守るべきものが何もなくなったヨンにとって、「生きること」とは「死なないこと」。以来、心を閉ざし、いつ死んでもいいという刹那的生き方をしています。
この事件の回想シーンは見ているほうも精神的につらく、思わず目をそむけたくなるようなむごたらしさは韓国の時代劇ならでは。ある意味もっとも印象的なシーンとなっています。
【見どころ2】こんなセリフを言われたい!――「必ずお守りいたします」
「武士の名に賭けて、この命に替えても、必ず(天界=現代)お帰しすると約束いたします。それを果たすまでは死なせません。私がお守りするので、黙って側にいてください」――「お守りいたします」という決めゼリフはふんだんに出てくるのですが、毎回本当に新鮮で、ドキドキさせられます。