女優・大塚寧々さんが、日々の暮らしの中で感じたことを気ままにゆるっと綴る連載エッセイ「ネネノクラシ」。第21回は、寧々さんの「お花見」エピソードについて。
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子供の頃は、母がお弁当を作ってくれて父が車を運転して、群馬や長野、山梨などにお花見に行った。
人が集まっている場所やお店があるところではなく、なんとなく“ここら辺にしよう”という感じでやっていた気がする。外で食べるお弁当は本当に美味しくて、陽の光や、そよ風の感じ、れんげの花やクローバーの花の香りとかを、今でもふとした瞬間に思い出す事がある。
つくしやわらびを見つけるのも楽しかった。大人になった今も、人混みが苦手な私は、静かな場所に咲いている桜が好きだ。学生時代とかは、みんなでワイワイと飲みながらのお花見も、それはそれで楽しかったが…だいたい誰かが飲みすぎて、大変な事になっていた気がする。
何年か前は、太極拳を一緒にやっているみなさんとお花見して盛り上がった。太極拳を早めに切り上げて、食べたり飲んだりしてお話しするのは、またいつもと違う発見が あったりして、笑いが絶えずとても楽しかった。(桜の木がない場所だった気がしますが!)しかし、ここ数年はそれも出来ずにいる。早くまたみなさんとお花見がしたいと切に思う。
花粉症? モチもクシュン!クシュン!
最近は私も家族も花粉症なので、お花見としてわざわざ出かける事はほとんどない。モチ(トイプードル・女の子)の散歩の時に、桜が咲いている所を通るくらいだ。
しかし、この時期は花粉で夫もクシュンクシュンしているし、私も目がショボショボしているので、いつもよりも散歩の時間が短くなる。数日前、散歩をしていたらモチが、クシュン!クシュン!とくしゃみらしきものをしている。ん…これは、もしかしてモチも花粉症になっちゃったのかと焦った。
抱き上げたら、盛大に私の顔にハックション!と吹きかけた。モチ~何も抱き上げた時に大きくくしゃみしなくても…と思うが仕方がない。犬も花粉症になるのだろうか? 考えてみたら、小さいぶん、顔も地面に近いし、ほこりも顔にかかりやすいかもしれない。昨年までは大丈夫だったから、今年モチも花粉デビューしてしまったのだろうか? 心なしか、涙目のような気がする。
とにかく、いつもよりも丁寧に顔を拭くしかない。花粉がない時に、桜が咲いてくれたらいいのになあ~と、どうしようもないことを、花粉でぼお~っとした頭で考える。
◆文・大塚寧々(おおつか・ねね)
1968年6月14日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部写真学科卒業。『HERO』、『Dr.コトー診療所』、『おっさんずラブ』など数々の話題作に出演。2002年、映画『笑う蛙』などで第24回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第57回毎日映画コンクール主演女優賞受賞。写真、陶芸、書道などにも造詣が深い。夫は俳優の田辺誠一。一児の母。現在、出演映画『軍艦少年』が公開中。