
夏といえば、ビールに枝豆という人も多いかもしれませんが、枝豆にはアルコールをたしなむ人に摂ってもらいたい栄養素が含まれているそうです。そう教えてくれた野菜ソムリエプロの福島玲子さんに、枝豆から摂れる栄養やおすすめの食べ方について聞きました。
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夏にぴったりの枝豆の栄養素
枝豆は栄養価が高く、豆と野菜の両方の栄養素を含んでいるのが特徴です。
ビールに枝豆!は理由があった
たんぱく質や脂質が豊富で、ビタミンB1、食物繊維、カルシウム、鉄分などのビタミン類やミネラル類も含まれています。
枝豆に特に多く含まれるのはビタミンB1です。糖質をエネルギーに変える助けをします。ビタミンB1は水溶性のビタミンなので汗を多くかく夏には流出してしまいます。ゆえに夏バテのときこそ、このビタミンB1を多く摂るといいと言われています。またビタミンB1は疲労回復に効果的で、枝豆は夏にピッタリの野菜ですよ。

また、おつまみは味の濃いものが多いですが、枝豆と一緒にを食べると、枝豆に多く含まれるカリウムの利尿作用によって塩分が排出されやすくなります。
さらに、枝豆は必須アミノ酸の一種であるメチオニンも含んでいます。これはアルコールの分解を促すので、二日酔いを予防する効果が期待できます。お酒のおつまみとして枝豆を食べるのは、とても理にかなってるんですよ。
枝豆は豆と野菜のいいとこ取り

枝豆は成熟すると大豆になりますが、大豆は豆類、枝豆は野菜類と、実は分類が異なります。体内での働きに基づいて食品を色分けする「三色食品群」の考え方でも、大豆は体を作るもとになる赤、枝豆は体の調子を整えるもとになる緑のグループに分類されています。
枝豆には、野菜類に多いビタミンCやβ-カロテン、葉酸などの栄養素を含んでいますが、ビタミンCやβ-カロテンは大豆にはほとんど含まれていない成分です。一方で、たんぱく質やイソフラボンなど豆類の特徴的な栄養素は、大豆も枝豆もともに豊富に含まれています。
このように、枝豆は豆類と野菜類両方の栄養的特徴をあわせ持った、いいとこどりの食材なんです。
野菜ソムリエプロおすすめの枝豆レシピ
普段は捨ててしまうことの多い枝豆のサヤ。実は、食物繊維やβ-カロテンが豊富に含まれているので、活用したいものです。
サヤごと調理で皮の栄養が油に溶け出す「ペペロン枝豆」
イタリアンのお店などで見かけるようになった「ペペロン枝豆」もおすすめです。

中火で熱したフライパンにオリーブオイルをひき、ニンニクと鷹の爪輪切りを入れて、生の枝豆をサヤのまま加え、塩を振りかけ、蓋をして4~5分、ときどき混ぜ合わせながら焼いたらでき上がり。皮ごと食べることはできませんが、皮からβ-カロテンなどが油に溶け出すので、枝豆の栄養をより摂ることができます。
食べ終わったあとのサヤを調理する方法
豆をとったサヤを煮込んで栄養を煮出せば、スープや煮込み料理などに活用できるベジブロスを作ることができます。他の野菜くずなどと一緒に煮て、出汁を活用しましょう。
また、サヤのかたい筋を取ってから素揚げや唐揚げにして、枝豆チップスにするのもおすすめです。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ