
冬が旬の春菊は、緑黄色野菜ではトップクラスの量の栄養を含んでいます。風邪対策など冬に役立つ栄養素も豊富です。その詳しい成分と、栄養をたっぷり摂れるおすすめレシピを野菜ソムリエプロの福島玲子さんに教えてもらいました。
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独特の香りに栄養がつまっている春菊
女性にうれしい美容に効果的な成分と、体調を崩しやすい冬場にぴったりの免疫力アップ効果が期待できる成分が多い、春菊の栄養について詳しく説明します。
春菊は皮膚や粘膜の健康を保つβ-カロテンがたっぷり
春菊の栄養成分でまず挙げたいのは、β-カロテンが豊富に含まれていることです。「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によれば、春菊は100gあたり4500μgのβ-カロテンを含んでいて、β-カロテン量が多いといわれる小松菜(100gあたり3100μg)やほうれん草(100gあたり4200μg)と比べても多いんです。

β-カロテンは高い抗酸化力を持ち、体内で必要な分だけビタミンAに変換されることで、免疫力や皮膚粘膜の機能をサポートしてくれる特徴があります。さらに皮膚などの代謝をアップさせ、肌のかさつきを抑えてくれます。抗酸化作用で風邪や感染症の予防効果もあります。
独特の香りの成分にさまざまな効果がある
春菊といえば独特の香りがありますが、この香り成分の一部はペリルアルデヒドというものです。免疫力を高めたり、胃腸の調子を整え、咳を鎮めたりする効果があるので、こちらも風邪や感染症の予防が期待できます。

春菊の香りにはα-ピネンという栄養も入っています。これはヒノキ精油などにも多く見られる成分で、副交換神経を高めてリラックスさせるなど自律神経の安定を助けてくれるもので、ストレスによる疲れ解消にも期待がもてます。
さらにもう一つの香り成分であるリモネンにも、リラックス効果に加えて、免疫力アップ効果、自律神経や胃腸の調子を整える働きがあります。
緑黄色野菜のうれしい栄養価も豊富
緑色の野菜に多い色素成分であるクロロフィルは、コレステロール値を下げる効果、デトックス効果、貧血を予防するなどの健康効果があると言われています。
ほかにも、春菊には皮膚や粘膜の健康を保ち、風邪予防にも重要なビタミンC、骨の形成に必要なカルシウム、貧血予防に役立つ鉄分や葉酸もたくさん含まれています。
野菜ソムリエプロおすすめ春菊レシピは炒めもの
春菊というと、すき焼きや鍋、おひたしや和え物などが定番ですが、炒めものにするのもおすすめです。油で炒めると脂溶性ビタミンのβ-カロテンが、より吸収されやすくなります。

春菊を炒め物にするならば、同じくβ-カロテンを多く含むにんじんを細切りにして、ベーコンなどと一緒に塩こしょうやしょうゆでさっと味付けして炒めるのがおすすめ。さっぱりとした味わいに仕上がって、おいしくいただけます。
同じく春菊とにんじんをさっとごま油で炒めてから、水を加えてスープにするのもいいですよ。最後に溶き卵を入れたら、彩りもよい一品のできあがり。味付けは中華だしなどシンプルにすると、春菊の香りが楽しめます。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ