女優・大塚寧々さんが、日々の暮らしの中で感じたことを気ままにゆるっと綴る連載エッセイ「ネネノクラシ」。第39回は、寧々さんが冬によくやっていたという「スキー」について。
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冬といえば、学生の頃はスキーによく行った。友達とスキーに行くのは、本当に楽しかった。スキーに行ったのに、友達と炬燵に入って心地よすぎて出られず、結局一回も滑らないで帰ってきたこともあったが…それはそれで楽しかった。みんなでワイワイと行っていた頃が懐かしい。
そういえば、誰が言い出したのか山形の月山に日帰りでスキーに行った事もあった。夜の間ずっと車で走って、明け方に着いて車で仮眠して午前中だけ滑って帰ってきた。若かったなあ~、というか今思えばあまりにも無謀だったなあ。 冬になりラジオからワムの『ラストクリスマス』やユーミンやエンヤが流れてくると スキーに行っていたときの事をよく思い出す。
子供が小さい頃も、よくスキーに行った。友達が長野に住んでいるので、泊めてもらって子供達はスキーを教えてもらい雪合戦をしたり、雪だるまを作ったりして楽しそうだった。
私が大好きなのは、スキーの林間コースだ。もう何回でも林間コースだけを滑っていたい。決してスキーが上手ではないので、コブとかがあると腰がひけてしまうし、ドキドキしてしまうし“無理”と思ってしまう。それに比べて林間コースはなだらかで、スピードもそんなに出ないので安心である。
ここでやらないと年齢を重ねたらもっとやらなくなりそう
そしてとにかく風を感じられる、適度なスピードがなんとも気持ちがいい! 今シーズンこそは、またスキーに行きたいなあ~。長野の友達に先日会った時、最近はスキーやってる?と聞いたら友達は腰が痛くてもう全然やってない~と言い、旦那さんもあんなに好きだったのにやはり腰が痛いと言っていたらしい。
ここでやらないと、年齢を重ねたらもっとやらなくなりそうだし、 最近の板は短くて滑りやすいから、レンタルしてちょっと久しぶりに滑るか~と話した。出来るのだろうか? ちょっと、いや、かなり自信がない。
そもそもリフトに上手に乗れるのだろうか? スキーも楽しいが、ストーブで温かい家の中から、雪景色を見てコーヒーを飲むのも幸せな時間だし、冷たい空気の中を散歩するのも、寒いけれど幸せだ。友達と一緒に料理を作るのも楽しい。
山の、冬の凛とした空気が私は大好きだ。自然の匂いを、大きく吸い込むと体の中が綺麗になっていくような気がする。
◆文・大塚寧々(おおつか・ねね)
1968年6月14日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部写真学科卒業。『HERO』、『Dr.コトー診療所』、『おっさんずラブ』など数々の話題作に出演。2002年、映画『笑う蛙』などで第24回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第57回毎日映画コンクール主演女優賞受賞。写真、陶芸、書道などにも造詣が深い。夫は俳優の田辺誠一。一児の母。出演映画『Dr.コトー診療所現在』が公開中。