健康・医療

更年期以降は避けたい「糖質制限」 肌はボロボロ、髪にツヤなし…むやみにやると“老け”のもとに

糖質制限と書かれた積み木とフォーク
むやみな糖質オフに警鐘(Ph/イメージマート)
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ダイエット経験者でなくても「糖質」はダイエットの大敵というイメージを持っている人は多いはず。でもダイエット研究で活躍し、自身もダイエットに成功した管理栄養士の三田智子さんはむやみな糖質オフに警鐘を鳴らしています。著書『食べたいものを食べて一生スリムをキープする食事のすごい黄金バランス』(青春出版社)でも負担のないダイエット法を紹介している三田さんに、その理由を教えてもらいました。

極端な糖質制限は、脂肪のつきやすい体のもと

三田さんのところに相談に来る人たちのほぼ全員に共通しているのが、「ごはん(穀物などの主食)を食べていないこと」だそうです。それも「夕食主食抜き派」と「朝ごはん食べない派」に大きく分かれるのだとか。たんぱく質はどれだけ摂ってもいいけど、糖質は悪と思い込んでいる人が多く、このダイエットの常識を破壊するのが仕事だと三田さんは言います。

お腹の見える白い服にジーンズをはいた女性がお腹の贅肉を触っている
極端に糖質制限してしまうと、脂肪がつきやすい体になってしまう(Ph/イメージマート)
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「もちろん、しっかりと糖質オフをして結果が出ている人もいます。糖質制限をきちんと実践すると、たしかに体重は落ちます。ただ、糖質をむやみやたらに抜いてしまうと、体ははいってきた糖質を貴重なものと捉え脂肪としてため込もうとします。つまり極端に糖質制限してしまうと、脂肪がつきやすい体になってしまうのです」(三田さん・以下同)

特に更年期以降は避けたい糖質制限

三田さんのもとには更年期に間違ったダイエットをして、失敗した人が続々と訪れるそうです。

「更年期以降の女性の場合、むやみに糖質制限すると、体調が悪くなってしまう人が少なくありません。また何より、『きれい』から遠ざかってしまいます。『デコルテから上はげっそり、老けてしまっているのに、下半身は太いまま』の人は、ほとんどが糖質制限している人でした。

私が導き出した“黄金バランス”は『日本人の食事摂取基準(2020年版)』を元に、30種類以上の栄養素の推奨量(推奨量がないものは、目安量または目標量)以上をすべて摂取できるようにプログラムしたもの。この黄金バランスの食事をすると、下半身から痩せていきます。でもそれも体験しないと気づくことはありません」

主食を減らし体内のバランスが崩れると老けにつながる

主食を減らすことでのダイエットは、体内のバランスが崩れ、結果体重が減っても美しさを損ない老けてしまうそうです。

手にクリームを塗る女性の首から下
主食抜きダイエットは、肌はボロボロ、爪はガタガタ、髪にはツヤがない…老けにつながることも(Ph/イメージマート)
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「主食を抜いたり減らすダイエットで体重を落とすことには成功しても、肌はボロボロ、爪はガタガタ、髪にはツヤがない。これではダイエット成功とは言えません。大事なのは食事のバランス。ごはんを減らして必要な量の糖質が摂れずに、体内の栄養バランスが崩れると、体が甘いものや添加物を欲するようになるのです。主食の量は減らしても知らず知らずのうちにお菓子を食べてしまっているというケースもよく見られます。

私のすすめるモデル体型ダイエットでは、糖質はもちろん、脂質もたんぱく質もビタミン、ミネラルも必要量をしっかり摂取することが重要。これらがすべてそろうことで、脂肪から減って筋肉は増える代謝モードにスイッチがはいります。その結果、効率的にいらないお肉から削ぎ落とされて、きれいな体型をキープすることができるのです」

目的がダイエットならファスティングはリバウンドのもと

ファスティング(断食)は何日間も行う本格的なものから、16時間行う手軽なものまで、さまざまなものがあり、実践している人も多いようですが、このファスティングもダイエット目的ならおすすめできないと三田さんは言います。

「ファスティングは消化器官を休ませるというメリットもあり、それ自体は否定しませんが、ダイエットのためにするなら注意が必要です。なぜなら、ファスティングによって体が飢餓状態になると、体は危機的状況だと判断して、脂肪をため込む方向に向かうからです」

ファスティングによって体は省エネモードに

ファスティングで短時間に一気に体重が落ちるとリバウンドの可能性が高くなるそうです。

「過激なダイエットにより栄養が減ると、体は“飢餓状態にある”と認識して、脂肪をため込んだり、エネルギーをなるべく消費しないようにと、省エネモードに切り替えてしまう働きをします。

ファスティングをして短時間で急激に体重が落ちると、脂肪をため込む方向に働くため、リバウンドしてしまう可能性が高くなります。また、ファスティング中に筋肉が落ちてしまうと、基礎代謝が落ちて痩せにくい体にもなってしまいます。つまりファスティングはダイエット目的で行うべきではないのです」

◆教えてくれたのは:管理栄養士・三田智子さん

管理栄養士の三田智子さん
管理栄養士でモデル体型ダイエット塾を主宰する三田智子さん
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2010年モデル体型ダイエット塾をオープン。ダイエット研究のために女子栄養大学短大へキャリア入学し、卒業後、栄養士の資格を得て一般社団法人日本栄養バランスダイエット協会を設立。同時にモデル体型ダイエットインストラクター養成講座を開講。さらに、2020年58歳で「管理栄養士国家試験」に合格。著書に『食べたいものを食べて一生スリムをキープする食事のすごい黄金バランス』(青春出版社)がある。https://modeltaikei.com

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