家事・ライフ

薄井シンシアさんが語る「空の巣症候群」、娘がいなくなって「何もやることがない」そのときどうしたのか?

「ママは専業主婦になって損をしていない」と娘に見せたかった

彼の話を聞いた娘は家に帰るなり、私に「ママ、ごめんね。専業主婦にならなかったら、あの人みたいにバリバリに働いてたんだろうね」と言ったのです。

私は嫌だなと思って、「別に。だってママは、ママになりたかったんだもん。これで全然ママはよかったんだもん」と答えました。

薄井シンシアさん
娘を安心させたかったというシンシアさん
写真6枚

でも、その会話はずっと頭の片隅に残りました。仕事を再開したとき、娘に「ママは専業主婦になることによって、なーんにも損をしていません」と見せたくなりました。むしろ「母親になることでいろんなスキルが身についたから、もっといろんな可能性が増えたよ」と彼女を安心させたかった。実際に働き始めたら仕事も順調で、「私って、できるじゃん!」と自信がつきました。

歳をとればとるほど、誰もあなたを求めなくなる

ずっと家にいると刺激が無くて、自分がダメになってしまう。時間を無駄にして、怠惰に暮らしていれば、そのうちに娘から本気で相手にされなくなると思います。私は娘に相手にしてもらいたいから、自分をアップデートし続けます。

歳をとればとるほど、誰もあなたのことを求めなくなる。だからこそ、自分から動かないと。そのためには、毎日を忙しくしたほうがいい。

私がこういうことを意識し始めたのは60代になってからです。子育ても終わったし、「勉強をしなくちゃいけない」「仕事をしなくちゃいけない」というすべての「しなくちゃいけない」というしがらみが無くなったとき、どう生きるのか。60代にもなって、子供も巣立てば、自分のことぐらいわかるでしょう?

◆薄井シンシアさん

薄井シンシアさん
薄井シンシアさん
写真6枚

1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当に就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社し、イベントマネジャーとして活躍中。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia

撮影/小山志麻 構成/藤森かもめ

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