女性は生理周期によっても自律神経が変化する
低気圧女子を悩ませる低気圧と女性ホルモンの関係を見ていきましょう。
低気圧が接近してきて(気圧ダウン&気温アップ)の気象条件になると、副交感神経が優位に働き、眠気や倦怠感、片頭痛の症状が出やすくなります。
副交感神経優位の生理中から排卵前の卵胞期までに低気圧の接近が重なると、わずかばかり残されていたやる気まで削がれ、「もう、ゴロゴロしている以外、何にもしたくない」という状態になってしまう人もいるでしょう。
交感神経が優位な排卵後から生理前の黄体期にまで低気圧が接近してくると、副交感神経がほどよく働いて、PMSのイライラなどが緩和される人もいるかもしれません。しかし、気圧に敏感に反応するタイプの方では、気圧が下がり始めたことを体がキャッチするとそれがストレス源となり、より交感神経の働きを高めてしまうケースもあるようです。
低気圧の通過後、症状が強まる
低気圧の通過中は、気圧と気温の変化が大きく、雨によるストレスも重なって自律神経は乱れやすくなり、副交感神経優位による眠気、倦怠感、片頭痛、交感神経優位による腹痛、イライラ、便秘・下痢、肌荒れ、どちらの症状が出ても不思議ではありません。
低気圧の通過後は(気圧アップ&気温ダウン)の気象条件となり、交感神経が働きやすくなります。ただでさえ交感神経が優位になりやすい黄体期に低気圧が重なると、PMSの症状である頭痛や腹痛をひどくしたり、イライラを抑えきれなかったり、肩こりや関節痛など痛み系の症状も強まりそうです。
このようにPMSの症状の出方は天気によってさまざま。さらに、PMSの症状は200種類以上もあるといわれ、食欲が増す人もいれば食欲不振に陥る人もいて、まさしく千差万別です。そのうえ、生活環境や精神的・身体的ストレスの強弱、心配事の有無など同じひとりの女性であっても取り巻く環境は毎月異なるため、PMSや生理痛の症状の出方や重症度を事前に知ることはほぼ不可能でしょう。しかし、不快な症状をそのままにしておいてはいけません。
女性が天気と上手に付き合っていく方法とは
月経周期にまつわるトラブルは我慢するものではなく、積極的に解決していくものです。まず、もっとも手軽にできるのは、PMSおよび生理の時期と天気の関係を明らかにしていくこと。
どんな季節、天気のときに、どんな症状が出やすくなるかを把握することが大切です。症状が出たときが生理前に雨が降ったときなのか、曇りだった場合なのかを記録しましょう。
これを続けることで、「月経期にくもりの日が多いと下腹部痛がキツくなるな」とか「生理前のシトシト系の雨は気持ちが塞ぎ込むな」など、生理前や月経期にどんな天候だと体調が悪くなるのか、自分の傾向が見えてくるはず。
苦手とする天気がわかれば、天気は事前に天気予報で把握できるので、『天気に負けないカラダ大全』で紹介しているお天気別の自律神経サポート法を生活に取り入れてみましょう。
女性の体は、季節、自律神経、月経周期、3つの変化に対応しなければならないことはすでに述べた通りですが、そのどれもが細い線でつながっていたりもします。無理をせず、できることをコツコツと取り組むというのが、いつでも快適な心身で過ごすための近道でもあるのです。
◆教えてくれたのは:産婦人科医・内山心美さん
産婦人科医、『のぞみ女性クリニック』院長。1999年昭和大学医学部卒、昭和大学産婦人科学教室入局。水戸赤十字病院、昭和大学藤が丘病院、昭和大学病院、佐野厚生総合病院などを経て2014年昭和大学江東豊洲病院 助教。2018年まつしま病院 常勤。2020年昭和大学江東豊洲病院 兼任講師。2020年9月、のぞみ女性クリニック開業。