ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(66歳)は昨年10月、「卵巣がんの疑い」で手術を経験。その後、境界悪性腫瘍と診断された。それから約1年、体調はどう変化したのか? オバ記者が振り返る。
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この数年の激動は初めての経験
昨年の今ごろは…。そもそも過去を振り返る習慣がない私は、昔の写真も滅多に見ないんだけど、さすがに今年はスケジュール帳をめくったわよ。いや、紙の手帳じゃなくてスマホを指で弾いて「昨年の今ごろは…」と振り返ったわよ。
ライターを45年続けているというと、その間、波乱万丈だったと思われがちだけど、実際のところ、この数年ほどの激動は経験してなかった気がするの。
なにせ一昨年の秋は母ちゃんの帰省介護で、茨城の実家でシモの世話の日々。
昨年の今ごろは「卵巣がんの疑い」で大学病院に入院して、開腹手術の前後だもの。しかも診断は開いて患部を取り出してみないと「がん」かどうかもわからないというあやふやなもの。その手術のために5週にわたり週3回ずつ、あらゆる検査を受ける。
まぁ、われながらよく乗り越えたよね。手術の直前、担当医から「おそらくステージ1のがんでしょう」と断言されて手術室に送り出されたんだから。
「卵巣がん疑い」手術のあとは「体が借り物」
で、6時間に及ぶ手術の結果は、境界悪性腫瘍という、がんのようでがんではない。かと言ってがんの一種と言えなくもない、という診断。
だから結果だけみれば、「まあまあ、よかったじゃない」だけど、問題は術後だよね。私にすればずっと自分の体だけど、どっか借り物、かぶり物なんだよね。
そもそも60すぎてから心臓の不調が出て血液サラサラになる薬とコレステロール値を下げる薬を処方されていて、早い話、むちゃはできない身体なのよ。そこにきて開腹手術。
何が違うかというと、ひと言で言えば持続力の低下だね。頑張り、踏ん張りが効かない。疲れやすい。1日、おお、調子いいじゃない!と思って動き回ると翌々日あたりに起き上がれなくなる。
この翌々日っていうのがイヤらしいじゃない? 忘れかけたころにドカンって、高利貸しじゃないんだからさ。
もっと要注意なのがお酒よ。まるきりダメじゃないけど、飲み方次第で持病の心房細動の発作が出て、数時間、心臓の痛みと息苦しさにのたうち回る。それを思うと、「かんぱーい」なんて気にならないって。そんなわけで、この一年は酒席から遠ざかっていたの。