「最優先の断る理由」を伝えよう
こういうお互いのコミュニケーションのズレは結構ありますよね。
結論から言えば、Aさんが「スケジュールの見込みがつかないから行けない」ということをはっきりと伝えていないので、「Bさんが押しつけがましく感じる」という展開になってしまったのだと思います。
Aさんにとっては、「毎週同じ時間に通うのが難しい」ということが、優先順位の高い理由のはずです。視力改善だろうがなんだろうが、突発的な仕事が多くて予定が組めないのですから。
だからその後にBさんが「視力改善」の話をしていた時が、はっきりと断るチャンスだったと思います。「肩こりだろうが視力改善だろうが、突発的に仕事があるから日時が決まったスケジュールは無理なんだよね」という話をAさんがしたら、それで済んでいたんです。
それなのに、視力の話をしたBさんに対して「疲れちゃって、あまり気が乗らなくて」と、肝心のスケジュールとは全然ズレた話をAさんがしているのも伝わらない原因です。
Bさんはたぶん、いい人ですね。いわゆる、お節介焼きです。「Aさんの悩みを解決してあげたい。だから、行ったほうがいい」と思っている。それなのに、AさんはBさんを、ウザイな、と思って終わってしまっています。すごく残念なコミュニケーションになっている気がします。
問題点と改善点をビフォーアフターで考えてみましょう。
〈Before:ここがダメ〉
B:いくつかスタジオがあるみたいで、ほら、Aさんが住んでいるところの最寄り駅にもスタジオがあるよ。
A:毎週決まった時間に通うところでしょ? 突発的な仕事もあるから難しいんだよね。
(※なぜ難しいのか、優先順位の高い理由をきちんと伝えよう)
B:それに、最近視力が落ちてきたって言ってたじゃない。そこでは視力改善の運動もやってるんだよ。絶対行くべきだよ。
A:疲れちゃって、あまり気が乗らなくて。
(※話がズレている。「こういう条件じゃないと行けない」とはっきり言えばよかった)
B:試しに行ってみなよ。いつもやりたいって言って動かないじゃん。私も行動して失敗することがあるけど、結局動いたほうが得るものは大きいんだよ。
先に言っておけばよかったことは?
「どんなところだとしても、定期的に通うのは無理」ということを、先に言っておけばよかったと思うんです。
そしてもし自分が情報をほしいと思っているのであれば、「空いている時間にふらっと行けるような場所しか行けないから、それで知っているところがあれば教えて」と、条件設定をきちんとして聞けば、Bさんみたいなお節介焼きの人は、適切な場所を紹介してくれたかもしれません。そういった展開になれば、Aさんのほうも、Bさんの好意を受け取ってお礼を言う気持ちのゆとりができたはずです。
〈After:ここが変わった!〉
B:いくつかスタジオがあるみたいで、ほら、Aさんが住んでいるところの最寄り駅にもスタジオがあるよ。
A:毎週決まった時間に通うところでしょ? 突発的な仕事もあるから難しいんだよね。気が向いた時に行けるようなところならいいんだけど、そうじゃなきゃ無理かな。
(※早めに「行けない」最大の理由と、条件を明確に伝える)
B:じゃあ、今度その人の動画を送ってあげる。私も大分改善されたから役に立つと思うよ。
A:教えてくれてありがとう。
(※お礼を伝える余裕が生まれる)
ここでのPointは「優先順位の高い理由を早めに伝える」です。
◆教えてくれたのは:ひろゆき(本名:西村博之)さん
1976年生まれ。東京都北区赤羽で育つ。1996年、中央大学に進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「相手の人格を否定すること」を禁じた新たなSNSサービス「ペンギン村」をリリース。2021年、自身のYouTubeチャンネル(登録者数160万人。2023年10月25日現在)での生配信を元にした「切り抜き動画」が話題になり、1か月の総再生回数は3億回を超えた。主な著書に、『論破力』(朝日新書)、『1%の努力』(ダイヤモンド社)、『自分は自分、バカはバカ。』(SBクリエイティブ)、『日本人でいるリスク』(マガジンハウス)などがある。