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《心血を注いだ》杉咲花、映画『市子』は生涯の代表作のひとつに 壮絶な人生を生きた女性を覚悟を持って表現

無傷でいてはいけない

本作について、“私たち観客も無傷ではいられない”と先述しました。いや、正確には、『市子』を観て無傷でいてはいけないと思うのです。

映画『市子』場面写真
(C)2023 映画「市子」製作委員会
写真11枚

これは、愛する人にも真実を告げられないほどの秘密を抱えて生きる女性の物語で、フィクションです。私たちはすぐに他者のことを分かった気になり、決めつけてしまいがちではないでしょうか。ネット上にはそういった言動が散見されます。

しかし誰にだって蓋をしておきたい過去や、絶対に口外できない秘密というものがあるはず。他者が傷ついていることを敏感に察し、自らも一緒に傷を負えるように生きたいと思うばかりです。たとえそれが何の救いにならなかったとしても。

◆文筆家・折田侑駿さん

文筆家・折田侑駿さん
文筆家・折田侑駿さん
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1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。https://twitter.com/yshun

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