爪とぎは爪とぎ、爪切りは爪切り
猫の爪は薄い層がいくつも重なった構造になっていて、内側から新しい層ができていき、一番外側の層から剥がれていきます。爪とぎで剥がれた外側の爪が室内に落ちているのを、飼い主さんは見かけることがあるかもしれません。このように代謝ができている様子を目にすると、日頃から爪とぎをおこたらない猫なら、爪切りをしなくてもいいのかなと思ってしまいそうですが……。
「それは誤解です。猫は爪を短くしようと思って爪とぎをしているわけではないので、爪の長さが爪とぎによって適正な長さ になるということは期待できません。むしろ武器として役立つように爪の先を尖らせたりしていると思うので、カーテンやじゅうたんなどに爪を引っかけて折ってしまうかもしれません。爪とぎは爪とぎで自由にさせてあげて、爪切りは爪切りで飼い主さんの責任で定期的に行いましょう」
高齢の猫やあまり爪とぎをしない猫の場合には、爪が伸びて肉球に刺さってしまったり、自分で耳などをかいたときに爪が長いせいで傷つけてしまったりすることも。
「成猫の場合で3~4週間に1回、子猫の場合には1~2週間に1回、猫用の爪切りを使って切ってあげてください」
◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん
獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/
取材・文/赤坂麻実
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