健康・医療

介護ジャーナリストが考える「いい介護」とは? 介護をするときにまず知っておきたいこと

車椅子と介護をする人
「いい介護」とは無理せず続けられる介護のこと(Ph/photoAC)
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いい介護とは、借りられる助けを借り、使えるものをしっかりと使って、楽をしながら無理せず続けられる介護のことだと看護師で看護・介護ジャーナリストの坪田康佑さんはいいます。そこで、介護を助ける制度や仲間について、『老老介護で知っておきたいことのすべて』(アスコム)を上梓した坪田さんに詳しく教えてもらいました。

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地域包括支援センターは介護の強い味方

介護で大切なのは、自分ですべてをしようとしないこと。介護をするときにまず頼るといいのが「地域包括支援センター」です。地域包括支援センターは、いわば高齢者のための「よろず相談所」です。

ガッツポーズをする二人
地域包括支援センターには社会福祉士や保健師などが在籍(Ph/photoAC)
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「社会福祉士、保健師(看護師)、主任ケアマネジャーが在籍していて、高齢者が住み慣れた地域でその人らしい生活を続けられるように、介護や介護予防、日常生活、認知症などに関する相談に無料で応じてくれています」(坪田さん・以下同)

対象地域の65歳以上の高齢者が対象

さまざまな相談への対応に加え、介護保険を利用する際に必要な要介護認定の申請窓口なども担っている地域包括支援センター。利用できるのは、対象地域に在住する65歳以上の高齢者、またはその支援や介護に携わっている人です。

「高齢者本人からの相談はもちろん、家族や友人、近所の方がその方の介護や気になることについての相談にも応じています」

相談できるのは高齢者本人が住んでいる地域のセンター

市区町村の介護関連課に問い合わせをするか、インターネットで市区町村のホームページを確認すると、自分の住んでいる地域の地域包括支援センターがどこにあるかを知ることができます。

「本人が相談するのを拒んでいるなら、パートナーや家族、友人が本人に代わって相談できます。ただし、高齢者本人と離れて暮らしている場合も、相談先は高齢者本人が済む地域の地域包括支援センターなのでご注意ください」

介護保険が強い味方になる

介護においては、介護保険も強い味方です。介護保険は、65歳未満は健康保険料に上乗せされる形で、65歳以上は基本的に年金から控除される形で介護保険料を支払っており、原則40歳以上の国民すべてが加入しています。65歳以上の第1号被保険者は、要介護・要支援の認定を受けると、収入に応じて1~3割の自己負担額で介護サービスを利用できます。

介護保険のブロック
介護保険は介護の強い味方(Ph/photoAC)
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「40歳以上65歳未満の第2号被保険者は、初老期における認知症や脳血管疾患など、特定疾病が原因で介護や支援が必要になった場合に限り、介護保険が適用されます」

介護保険の3つのサービス

介護保険は大きく分けて「居宅サービス」、「地域密着型サービス」、「施設サービス」の3つがあります。老老介護において日常的に利用する機会が多いのは居宅サービスで、これは訪問介護やデイサービスなど、要介護・要支援者が居宅に住み続けながら受けられる介護サービスです。

地域密着型サービスは、高齢者が住み慣れた自宅や地域で生活し続けられるように支援するサービスで、訪問・通所・短期入所を組み合わせたサービスなどがあります。居宅サービスと異なり、原則としてサービスを提供する事業者の所在地と同じ市区町村に住んでいる人しか利用できません。

3つ目の施設サービスは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに入所した高齢者に提供される介護サービスです。

介護士と女性
自分たちにあった介護サービスの利用も検討を(Ph/photoAC)
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「介護保険のサービスは、手続きなしですぐに利用できるわけではありません。利用するためには、居住する市区町村に要介護認定を申請する必要があります(手数料不要)。そこがわかりづらいところであり、なかには面倒くさく思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、このひと手間が介護をする5年、10年を大きく変えることだけはぜひ覚えておいてください」

介護保険を使うにはまず申請

介護保険を使うためにはまず、地域包括支援センターか市区町村の介護関連課に要介護認定の申請をする必要があります。その際、申請の前後1~2週間に医療機関を受診し、主治医に「申請する」または「申請した」ことを伝えます。その後、訪問調査が行われ、その内容と主治医の意見書などをもとに判定された認定結果が通知されます。

「訪問審査のとき、よく見せようと介護を受ける側が頑張りすぎる嫌いがあります。『普段通り』は難しいかもしれませんが、『いつも通りに振る舞わないと、きちんとした審査ができない』ことを、念押ししておくとよいでしょう」

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