制度をしっかり使うことが大切
このほかにも、介護に役立つお金の制度がいくつかあります。医療費に関して言えば、医療機関や薬局で支払った医療費が1か月で上限額を超えた場合に、上限額を超えた分が支給される制度である「高額療養費制度」や、1年間に自分や扶養家族のために支払った医療費が10万円を超えた場合に、超えた額から高額療養費等を差し引いた額の所得控除を受けられる「医療費控除」の制度があります。
介護費に関しては、「高額介護サービス費」や「高額医療・高額介護合算療養費制度」、「介護保険負担限度額認定制度」、「介護休業給付金」などがあります。住宅補助・控除系では、「高齢者住宅改修費用助成制度」や、介護施設への入居などで自宅を売却する際に使える「3000万円の特別控除の特例」、売却した自宅の所有期間が10年を超えている場合に一定の要件に当てはまれば適用される「長期譲渡所得の軽減税率」などの仕組みがあります。
「介護・医療の経済的負担を軽減できるように、国による制度に加え、市区町村も独自の制度や補助金を用意しています。利用条件を満たしていれば、申請するだけで自己負担額の払い戻しや所得税控除などを受けられますので、利用しない手はないはずです」
◆教えてくれた人:看護・介護ジャーナリスト・坪田康佑さん
つぼた・こうすけ。2005年慶應義塾大学看護医療学部1期卒業。国際医療福祉大学医療福祉ジャーナリズム分野博士課程在籍。米国Canisium大学MBA取得。ETIC社会起業塾を経て、無医地区への医療提供体制づくりや、問看護師向け雑誌などでの連載、高齢者向け新規事業開発に取り組む。著書に『老老介護で知っておきたいことのすべて』(アスコム)など。