ヘルシーな生活のために注意したいことと聞いて、「コレステロール」という言葉を思い浮かべる人もいるでしょう。今回は、体重78kgから1年間で24kgのダイエットに成功、その後、トータルダイエットカウンセラーとして活動し現在ヘルスフードサイエンス研究家として活動中の大西ひとみさんに、コレステロールのコントロール方法や正しい知識について教えてもらいます。
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コレステロールは体に欠かせない
コレステロールとは、体内に存在している脂肪分の1つで、細胞膜・各種のホルモン・胆汁酸などを作る材料となり、体に必要な物質です。「コレステロールは体に悪いもの」と思われがちですが、コレステロールは私たちが生きていく上でなくてはならない物質です。
肝臓でつくられたコレステロールは血液によって全身に運ばれ、余分なものは血液として肝臓に戻ってきます。またコレステロールは2~3割が体外からとり入れられ、残りの7~8割は糖や脂肪を使って肝臓などで合成され、その量は体内でうまく調整されています。
食品から摂取するコレステロールは、ホルモンの原材料になります。例えばステロイドホルモンと呼ばれるホルモンは、副腎皮質、精巣、卵巣、胎盤を正常に機能させるために必要です。女性にとってはうれしい「痩せホルモン」とも呼ばれるホルモンエストロゲンをつくりだす源ともなるのも、コレステロールです。
コレステロールには2種類ある
コレステロールには2種類あります。1つが「LDLコレステロール」で、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ働きがあり、増えすぎると動脈硬化を起こすため“悪玉コレステロール”と呼ばれています。
もう1つは「HDLコレステロール」で、余剰なコレステロールを回収するコレステロールで、“善玉コレステロール”と呼ばれます。 通常、血液中のLDLとHDLは一定量に保たれています。
コレステロールは一定の基準量を体内にキープすることで健康維持に役立ちます。なので、LDLコレステロールとHDLコレステロールは多くても少なくてもダメなんです。
誤解【1】「コレステロールの多い食事をすると体内のコレステロール値が上がる」
「コレステロールの多い食事は控えましょう」という注意喚起をよく耳にします。また健康診断などでコレステロール値が高いと指摘されると、なるべくコレステロールが多く含まれる食材は食べないように意識するかたも多いのでは?
では、コレステロールの多い食事をすると、体内(血中)のコレステロール値に影響はあるのでしょうか。答えは「NO」です。コレステロールを食事から多く摂取すると肝臓でのコレステロール合成量は減少し、逆に食事から摂取する量が少ないとコレステロール合成量が増加します。これは、体のすみずみまでコレステロールが行き渡るようにするためです。
こういった誤解が生じている理由は、「血中コレステロール」と「食品中のコレステロール」が同じ「コレステロール」と認識され世に広がってしまったため、この2つの物質が同じものだと考えられてしまったことにありそうです。
そもそも血中コレステロールはさまざまな栄養素の影響を受けていて、食事に関していうと、食品中のコレステロールよりも食品に含まれる飽和脂肪酸の影響を大きく受けます。
このようなことから、コレステロールが多く含まれている食材ばかりを避けることが数値改善の最善の対策法ではないことがわかります。
誤解【2】「卵はコレステロール値が高いので控えた方がいい」
卵はコレステロールを正しく理解する上で、とてもいい例です。卵はコレステロールが多く含まれていていることから避ける人もいますが、含有しているコレステロールの量は私たちが体内で日々作っているコレステロールの量よりはるかに少なく、それどころか卵にはコレステロール値を下げる効果がある栄養素が多く含まれていることがわかっています。
いずれにしても大切なことは「適量」を守ること。成人であれば、卵は1日に1個から3個程度の摂取は問題ないという見解を持っている専門家が多いです。ご自身の食生活のバランスを考えながら、上手に取り入れてくださいね。