油断せず早めに動物病院で診てもらおう
動物病院での治療は、服薬が中心です。
「細菌に効果のある抗生剤だったり、対症療法として咳止め、痰を切る薬などを処方することもありますね。喘息の治療などに使われるネブライザー(吸入器)を使ったり、点滴をしたりすることもあります」
内山さんは、「飼い主さんには、早めの病院受診を心掛けてほしい」といいます。
「風邪とはいえ、こじらせるとやっぱり厄介です。治療が遅れると長引いたり重症化したり、なんらかの合併症にかかったりする可能性があるので、早く治してしまいましょう」
人間の風邪薬には犬に与えてはいけない
なお、人間の風邪薬には、犬が摂取してはいけない成分が含まれている場合があるので、犬に与えてはいけません。あくまで、犬用の薬を与えるべきです。ただし、薬をそのまま与えてもほとんどの犬は飲んでくれないので、ご家庭ではフードに混ぜ込んだりして飲ませることになります。
「粉末タイプの薬を処方してもらったり、処方された錠剤をくだいたりして、ウェットタイプのフードに混ぜれば飲んでくれると思います。ドライタイプのフードに錠剤を混ぜただけで飲んでくれる子がいるとしたら……、その子はかなりいい子ですね(笑い)」
薬を与えてしっかり栄養や睡眠を取っていれば、ケンネルコフはさほど怖い病気ではなく、問題なく回復することがほとんどだといいます。早めの受診で、愛犬の健やかで楽しい生活を取り戻しましょう。
◆教えてくれたのは:獣医師・内山莉音さん
獣医師。日本獣医生命科学大学卒業(獣医内科学研究室)。動物病院を経て、アニコム損害保険(株)に勤務。現在もアニコムグループの動物病院で臨床に携わる。
取材・文/赤坂麻実