不調改善

心臓病対策に医師がすすめる食事術「毎日食べてほしい」5つの食材とは?

サバ
毎日食べたい”心臓リハビリフード”を紹介(Ph/photoAC)
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健康とは切っても切り離せない食事。そして、健康な食事のためにははまず自分の適性エネルギーを知るところから、と話すのは、『医師がすすめる自力でできる弱った心臓を元気にする方法』(アスコム)を上梓した東北大学名誉教授で医師の上月正博さん。適正エネルギーの算出方法に心臓を元気にするための食事療法の秘訣、毎日食べたい“心臓リハビリフード”を教えてもらいました。

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肥満の人は要注意!食事療法の重要性

心臓の健康においても食事療法は非常に重要です。心臓の健康に重要な運動療法は、必要摂取カロリーと必要食事バランスをとることが前提であるうえ、食事と運動のバランスが崩れて起きるサルコペニア(加齢により筋肉量が減少および筋力が低下した状態)やフレイル(心身の活力が衰えた状態)も予防が大切です。また、心不全の第1ステージとされる高血圧や糖尿病の予防にも食事の見直しは必須です。

和食
まずは食事の見直しから(Ph/photoAC)
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「とくにお伝えしたいのは、肥満気味の方に対してです。肥満は糖尿病、高血圧、心筋梗塞などの生活習慣病をもたらす“万病のもと”。わが国で肥満の基準とされるBMI25超の方は、食生活の改善(=食事療法)に努めてください」(上月さん・以下同)

まずは適正エネルギーを知ることから

人間には適正体重を維持するために摂取すべき、一日あたりの「適正エネルギー」があります。自分の適正エネルギーを知ったうえで、毎日の食事内容を見直すことが大切です。

「多くエネルギーを摂取すれば太り、少なければやせていくわけです。当然、肥満気味の方は日々摂取するエネルギーをセーブしていかなければなりません」

適正エネルギー摂取量の算出方法

適正なエネルギー摂取量は「標準体重×身体活動量」で算出できます。標準体重は「身長(m)×身長(m)×22(BMI値)」、身体活動量の目安はデスクワーク主体の人が25~30kcal/kg、立ち仕事が多い人が30~35kcal/kg、力仕事が多い人が35~40kcal/kgです。

「この基準をオーバーしている方は要注意です。摂取するエネルギーを抑える努力をして、体重を標準値に近づけるようにしてください。肥満が是正されれば、血圧が下がり、血糖や血清脂質も正常にコントロールされるようになります」

食事療法成功の秘訣は3つ

上月さんは食事療法成功の秘訣は3つあると言います。1つ目は「1日3食+間食の内容をしっかり記録すること」。食事内容の自己管理を上手に行うと、何が多くて何が少ないか、客観的に判断できるようになります。2つ目は「起床後と就寝前に体組成計に乗って測定すること」。毎日同じ時間に体重と体脂肪率を記録し、これを見返すことで「食べ方の是非」がわかるようになります。同時に血圧も測定すれば万全です。そして3つ目は、「急激な減量はしないこと」。

「肥満解消は大歓迎ですが、大切なのは着実に行うこと。急激な減量はリバウンドを引き起こしやすいです。1か月に1~2kgを目安にして、じっくりと体重を落としていきましょう」

医師がすすめる体にいい食べ物とは

では、具体的にどんなものを食べればいいのでしょうか。「心臓病対策という観点を最優先にするならば、もっともおすすめなのは『食物繊維が豊富な食品』です」と上月さん。食物繊維は腸内で便のかさを増す役割を果たし、排便を促してくれることに加え、糖質の抑制、コレステロールや中性脂肪の減少にも役立つためです。また、食物繊維が豊富な食品はお腹がふくれやすくなるという特徴があり、満腹感を得やすいのもメリットです。

「その結果、肥満の解消につながり、糖尿病や脂質異常症の予防に効果を発揮します。ほかでは、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった不飽和脂肪酸が多く含まれた食品もおすすめです」

毎日食べたい“心臓リハビリフード”【1】ネバネバ食品

これらを踏まえ、上月さんが毎日食べることをすすめる“心臓リハビリフード”の1つは「ネバネバ食品」。オクラやモロヘイヤ、アシタバ、ジュンサイ、ツルムラサキなどのネバネバ野菜は水に溶けやすい水溶性食物繊維が豊富で、食後の血糖値の上昇を抑えます。また、食材独自のねばり気によって胃腸内をゆっくり移動するため、空腹感が抑えられ、食べすぎを防ぐことができます。

納豆
水溶性食物繊維が豊富なネバネバ食品(Ph/photoAC)
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「野菜以外では、大豆製品の納豆、なめこやキクラゲなどのきのこ類、モズクやメカブなどの海藻類も、おすすめできるネバネバ食品の一員です。野菜と同じ効果が期待できます」

毎日食べたい“心臓リハビリフード”【2】青魚

2つ目は「青魚」。サバやイワシに代表される青魚にはEPAやDHAが多く含まれています。

「動脈硬化や高血圧を予防し、中性脂肪の上昇も抑えてくれるので、積極的に食べるようにしましょう」

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