春になると、売り場に新じゃがいもが登場します。この時期ならではの味覚ということで、じゃがいもとの違いやおいしく食べるポイントを知っておきましょう。そこで野菜ソムリエプロの福島玲子さんから、新じゃがいもも含めたおいしいじゃがいもの選び方と、正しい保存の方法を教えていただきました。
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じゃがいも、新じゃがを買うときは皮をチェック
春に掘りたての状態で選果し出荷され、市場に出回る新じゃがいも。収穫後に貯蔵され熟成させた通常のじゃがいもとは違い、皮が薄くてやわらかく、みずみずしい食感が特徴です。
まずは、新じゃがいもも含めた、おいしいじゃがいもの見分け方からお話しします。
おいしいじゃがいもを見分けるポイント
じゃがいもは、ふっくらして凸凹が少なく、ハリのある重いものが良品です。表面がしなびておらず、色味が明るいものを選びましょう。新鮮なものは皮が薄く、しっかりとかたいのが特徴です。
また、皮が緑化していないかも見極めるポイント。栽培中や収穫後に日にあたったじゃがいもは、皮が緑色になる緑化という現象が起きます。緑化すると、ソラニンやチャコニンといった有害物質が発生している可能性があるので、避けてください。芽が出ているものも同様に有害物質を含んでいる恐れがあります。
もし買い置きしたじゃがいもから芽が出てしまったときは、芽とその周囲、皮が緑色になった部分をしっかり取り除けばOKです。
新じゃがいもは皮が薄いものが◎
新じゃがいもを選ぶときは、表面の皮が指ではがれそうなくらい薄いものがよいです。皮が薄いのは収穫してから時間が経っていない証拠。古くなるにつれて皮が厚くなり、剥がれにくくなる傾向にあるからです。
ちなみに、新じゃがいもは水分を多く含み、皮が薄く柔らかいので、皮付きのままいただくのが特におすすめです。水洗いするときは、強くこすると皮が剥けてしまうので、たわしなどを使って洗うときは軽く当てるのがコツです。
じゃがいもの保存方法|冷凍のポイント
じゃがいもは冷蔵や冷凍に不向きな野菜です。それではどう保存するべきか、正しい方法を知っておきましょう。
じゃがいもは冷暗所へ!光・暑さ・傷に気をつける
じゃがいもを保存するときは、新聞紙や紙袋に包んで風通しのよい冷暗所に置きましょう。冷蔵すると低温障害を起こすので、冷暗所に置いてください。寒さが苦手ですが、温度が高すぎると芽が出やすくなるので、夏場にどうしても暑くなってしまったときのみ、野菜室に入れるとよいです。
また、じゃがいもは光に弱い野菜です。日光だけでなく、蛍光灯なども含めて光を当てると、皮が緑色に変化し、有毒物質が生成されてしまいます。傷がついた場合も同様に、有害物質が増えるので気をつけましょう。特に皮が薄い新じゃがいもは光に反応しやすく、傷も付きやすいのでできるだけ丁寧に扱うことをおすすめします。
長期間じゃがいもを保存するコツ
じゃがいもは1か月ほど保存ができる野菜ですが、新じゃがいもは保存期間が1〜2週間程度と短くなります。芽が出ることは少ないですが、りんごと一緒に保存すると、りんごが出すエチレンガスによって芽が出にくくなりますので、覚えておくといいでしょう。
どうしても保存期間内に食べられないときは、冷凍がおすすめ。ただし、じゃがいもを生のまま冷凍すると解凍した際に食感が失われてしまいます。茹でてマッシュ状につぶしてから、保存袋に平らに入れて冷凍しましょう。マッシュした冷凍じゃがいもは1か月ほど持ち、ポテトサラダやコロッケなどを作る際に使えて便利ですよ。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ