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部下の「やらされた感」を蓄積させないために…上司が「ネガティブフィードバック」を成功させるカギ

話をする人たち
ネガティブフィードバックを成功させるコツとは(Ph/photoAC)
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ネガティブフィードバックとは、怒ることや叱ることとは別のアプローチで厳しいことを伝えながら部下の行動変容を促す方法。それを成功させるポイントは「ギャップ」に焦点をあてることだと『ネガティブフィードバック 「言いにくいこと」を相手にきちんと伝える技術』(アスコム)の著者で、人事コンサルタントの難波猛さんは話します。そこで、「ネガティブフィードバック」を成功させるコツについて教えてもらいました。

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ネガティブフィードバックのポイントはギャップに焦点を当てること

「会社や上司の期待」と「部下の現状や志向」とのギャップをお互いに確認し、ギャップを埋める方法を共に考えていくコミュニケーション法である「ネガティブフィードバック」。特にこのギャップが現れるのが、多くの会社で年に1~2回行われる人事評価です。しかし、成果が出なかった結果を指摘するだけの評価フィードバックでは、部下の意識や行動が変わることは期待できません。

「なぜなら、成果が出なかった理由が不明瞭なまま評価を伝えても、部下に気づきを与えることも、成長につながる改善策を考えさせることもできないからです。部下は、内心では不満を抱えながら黙って聞いているだけになります」(難波さん・以下同)

ギャップを知るための「WILL」「MUST」「CAN」

そこで活用したいのが、「WILL」「MUST」「CAN」のフレームワークです。WILLは本人の意思・欲求・価値観などに基づく本人のやりたいこと、MUSTは求められている期待・役割などのやるべきこと、CANは本人の能力やスキル、強みなどによるできることを指します。この3つを、「どの位大きいか」「どの位重なっているか」の観点で円を描いてみると、現状のコンディションが確認できます。

「成果が出ない場合、このWILL、MUST、CANのどこかにギャップが生じています」

理解不足になりやすいWILL

この3つのうち、最も理解が不足しやすいのがWILLです。普段仕事をするうえでは、「何をしてほしいのか」「それができたのか」というMUSTとCANの確認だけで事足りるため、時間がない上司はWILLを把握せずにマネジメントをするケースがあります。

しかし、「WILLの確認は、行動変容を促すうえでは重要なことです」と難波さん。部下のWILLを把握せずに一方的に「してほしいこと」を伝えても、部下には「やらされ感」だけが蓄積されていきます。

話を聞く女性
まずは相手のWILLをきちんと把握することが大切(Ph/photoAC)
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「部下のWILLを純粋な関心をもって引き出すコミュニケーションは、フィードバックの起点になります」

MUSTは認識がズレやすい

一方、MUSTに関しては、会社・上司と部下とで認識のズレが起こりやすい点が問題です。経験や能力には不足がないにもかかわらず、期待通りの成果が出ないのは、会社や上司が求めているMUSTを部下本人が正しく認識していなかったり、都合よく解釈したりしているためと考えられます。

特に、経験を重ねた中堅・ベテラン社員では、本人が培ってきた自分のスタイルと、外部環境に適応して社員に求める内容が変わった会社側とでMUSTのズレが生じやすくなります。

伝える女性
MUSTはきちんと伝えることですり合わせていく必要がある(Ph/photoAC)
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「『中堅・ベテラン社員だから、細かいことまで言わなくてもわかるよね』という阿吽の呼吸に期待せず、キャリア豊富な人たちだからこそ、会社が求める役割や仕事を丁寧に伝えてすり合わせる必要があります」

不足しがちなCAN

CANのギャップは、未経験で入社した若手社員や配属直後の社員が抱えるケースが多いですが、その場合はOJTやメンター制度、研修などの機会も比較的多く、お互いに「わからないことやできないことがある」という前提のため、軌道修正もしやすくなっています。

一方で、過去の経験から能力や知識はあるものの、変化に抵抗があったり、自分のやり方に自信があったりする、中堅・ベテラン社員は環境変化に伴うCANの不足を認識しにくい場合があります。しかし、本人が能力開発の必要性に気づいていないなかで、勉強やスキル習得を指示しても前向きに取り組むことはできません。

「CANのズレを埋めるために大切なことは、自発的な能力開発です。自分から、『この能力は絶対に必要』『この能力を高めることが、自分にもメリットがある』と思えば、最終的には上司の指示がなくても業務時間外でも自発的に勉強を続けていきます。だからこそ、重要になるのが、WILLとMUSTの整理と結合です」

部下のWILLをきちんと引き出し、会社が求めるMUSTを丁寧に伝え、不足しているCANについて上司と部下が共に考えていくことができれば、自発的にCANのギャップを埋めるように行動するようになります。

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