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《災害レベルの酷暑日に必須》進化するハンディファン&ネッククーラーと使う際の注意点「気温が体温より低いときまで」

ハンディファン
「災害級」と言われる酷暑に欠かせない冷感グッズ(Ph/イメージマート)
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「災害級」と言われる酷暑が続く今夏、外出時はハンディファンやネッククーラーなどの冷感グッズが手放せない人も多いだろう。今年はどのような冷感グッズが出てきているのか、機能はどう進化しているのか、家電ライターの田中真紀子さんに最新情報を教えてもらった。

今年の冷感グッズの傾向は

今年出ている冷感グッズで注目すべきは、次の通り。

冷感や使い勝手が年々進化している小型ハンディファン

エレス『アイファンクールネック』を首にかけた人の首もと
エレス『アイファンクールネック』は、首にかける部分に、28℃以下で自然凍結する『PCM』という素材を採用
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「まずは、夏の定番となりつつある、手で持つタイプの小型ハンディファン。人気になり始めたのが2018年ごろからですが、近年は大風量、長時間運転、充電機能付き、誤作動防止、冷却プレート付きなど、機能が少しずつ進化しています。

またファンを手でもたなくてもいいように、ヘッドホンのように首掛けできるようにしたネックファンや、クリップで襟元や傘の内側に留めたりできるタイプも登場しています」(田中さん・以下同)

冷却プレートつきでひんやり感UP

また冷感グッズの中には、冷却プレートをメインとしたものも登場。

カルテック『アイスハンディファン』の側面
カルテック『アイスハンディファン』は、送風のみのモードと、送風と冷却が同時に体感できるモードも備えている
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「冷却プレートとは小型冷蔵庫でも使われるペルチェ素子という半導体を利用したもので、熱を吸収することで表面温度を一気に10℃以上下げることができます。これを首周りにつけたり、背中につけたりすることで、ひんやりした体感を得ることができます」

着ながら涼めるウェアラブルタイプ

服そのものにファンがついた空調服は以前からあるが、今年はさらにバージョンアップ。

「服にファンが2つついた空調服は、ふだん使いができるカジュアルタイプが出ていますし、ウエストポーチのように腰につけるタイプもあります。また、這わせたホース内に冷たい水を流す水冷服などもありますが、これはファッションの観点から、主にアウトドアや仕事で使う人が多いようです」

目的別に使い分けるなら

歩行中に、卓上で、両手がふさがったときに――冷感グッズは、目的に応じて賢く使い分けたい。シーン別のおすすめは?

ハンディファンはいろんなシーンで活躍

「手軽に使いたいなら、やはりハンディファンが便利です。外出時にバッグに入れておけば、使いたい時に扇子感覚でサッと使えますね。おでこや背中、脇の下など、涼みたい場所に当てられるのもハンディならでは。中には、ハンディ部分がスタンド式で卓上ファンとして使えるファンもあるので、外出先で汗がひくまで使うのもいいと思います」

両手がふさがっているときはネックファンや空調服を

エレス『アイファンクールネック』と時計と植物と本が置いてあるテーブル
エレス『アイファンクールネック』は、ファン部分は取り外すことができ、2つの小型ファンとして使うことができる
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「一方、ハンディファンは手を使うため、作業中に使うならハンズフリーで使えるものがいいですね。ネックファンは顔に当てたい時、空調服やウェストポーチタイプは背中などの汗を冷やしたい時に便利です。

襟元につけるクリップタイプや冷却プレートタイプのネッククーラーも、両手がふさがっている作業中や満員電車で手が動かせないとき、首回りをひんやりさせてくれ、重宝するでしょう」

使うとき・選ぶとき・処分するときに注意したいこと

ただし、こうした冷感グッズは、使い方、選び方、処分時に注意が必要だという。

ファンの使用は気温が体温より低いときに

「ファンや扇風機で涼めるのは、気温が体温より低いときまでです。人は暑くなると汗を出し、蒸発するときの気化熱によって体温を下げますが、気温が体温より高く湿度も高いと蒸発できなくなり、涼しく感じることができません。かえって温風を体に吹き付けることになりますので、使用はやめましょう。

どうしても使いたい場合は、汗に見立てて水スプレーなどを吹きつけ、そこにファンの風を当てると涼しく感じるかもしれません」

最近では、37℃を超える日も多いので、覚えておきたい。

ペルチェ式は排熱構造をチェック

一方、ペルチェ式に関しては、何を選ぶかによって効果が変わってくるという。

「ペルチェ式は、プレートの片面から熱を吸収し、その熱をもう片面から排出する仕組みのため、片面が冷えればもう片面は熱くなります。ゆえにペルチェ式を使用した製品の中には、首まわりや背中で使うとそこに熱がこもり、冷たさと同時に暑さを感じてしまうものもあります」

ただし、熱を上手に逃す構造になっているものであれば、暑さを感じにくい。

「例えばある冷感グッズは、背中にペルチェを当てて冷やしますが、上部からファンで排熱する空冷式を採用して、暑くならない工夫をしています。このように、熱を遠くに飛ばせるようなファンが搭載されているかどうかは、重要なチェックポイントです」

家庭ごみとして出すのは厳禁

また、冷感グッズ全般的に、取り扱いは慎重に。

「よく言われていることですが、こうした冷感グッズはすべてモバイルバッテリーを搭載しています。モバイルバッテリーは、落としたりすると爆発、発火の危険性があるほか、そのまま家庭ごみとして捨ててゴミ収集車で発火した事例も多数報告されています。処分時は必ず自治体のルールに従いましょう」

最後に、田中さんイチオシの出先で使える冷感グッズを。

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