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マネーのプロが伝授する“相続税の節税術” 「財産総額を下げる」「教育資金の一括贈与」「“孫養子”で相続人を増やす」

教育資金の一括贈与は1500万円まで贈与税が非課税に

評価額を減らすために生前贈与をするのはいまや“王道”となった。

「1500万円まで贈与税が非課税になる『教育資金の一括贈与』は、法定相続人ではない孫に非課税でお金を渡せます。ただし、孫の信託銀行口座を開設して振り込む必要があるほか、教育費がかかるたびに、その領収書を持ってお金をおろしに行かなければならない手間もあります」

使い勝手がいいのは「住宅取得資金の一括贈与」の非課税枠だ。

「省エネ住宅なら1000万円、その他の住宅でも500万円まで、贈与税が非課税になります。ほかにも、1000万円まで非課税の『結婚・子育て資金の一括贈与』が’25年度末まで使えます」(友利さん)

実は、不動産を引き継ぐなら、贈与よりも相続の方がお得。不動産の相続時に使えるお得な「特例」があるからだ。

家の模型を手のひらに乗せている
不動産を引き継ぐなら、贈与よりも相続の方がお得(写真/PIXTA)
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「自宅の相続なら、同居している家族が引き継ぐと評価額が8割引になる『小規模宅地等の特例』が有効で、場合によっては税金が数千万円変わる人もいます。また同居していなくても、二次相続時に3年以上賃貸暮らしをしている子供が引き継げば評価額を下げられる通称〝家なき子特例〟も覚えておいてほしい」(大田さん・以下同)

「養子縁組」で相続人を増やす手も

相続財産を減らす以上に簡単かつ効果的に大きな金額を節税できる方法が「養子縁組」だ。相続人を1人から2人に増やすだけで、相続税を数百万円単位で減らすことができる。

「例えば、前出の財産1億円、子供1人で相続税1220万円のケースでは、養子縁組をして相続人を2人に増やすことで相続税を770万円に減らすことができます。同様の家族構成で財産が3億円の場合、9180万円の相続税を6920万円に減らすことができ、2000万円以上もの節税になります」

養子縁組の手続きは、婚姻届のように役所に書類を提出するだけと、極めてシンプルだ。

「解消したくなった場合も、双方の同意は必要ですが、手続き自体は書類の提出だけで済みます。

ちなみに、養子縁組とは逆にもともとの法定相続人を廃除することも可能です。家庭裁判所に申し出て認められる必要があるので、養子縁組よりハードルは高くなります」(友利さん)

ただし、法定相続人になれる養子は2人までと決められており、孫が養子になった場合の相続税は2割増しとなる。

養子縁組で相続税が減る仕組み
養子縁組で相続税を節税
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「さらに、養子縁組した孫が未成年の場合は相続時に特別代理人を立てる必要がある。また祖父母の養子になると親権も祖父母に移るため、その間に祖父母が認知症になると孫のための金融機関への各種手続きができなくなるリスクや、一方的に養子縁組をしたことでもともとの法定相続人との関係が悪化する恐れもあるので、決断は慎重に行いましょう」(大田さん)

やり方次第で得もあれば、大損もあるのが相続。準備を万全にしたうえで、後悔のない選択をしよう。

※女性セブン2024年8月22・29日号

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