食卓が華やかになる、カラフルなパプリカ。国産品は6〜9月と今が旬で、最もおいしい季節だ。「パプリカは甘みが強く野菜が苦手な人にも食べやすいことに加え、たくさんの栄養素が含まれています」と話すのは、野菜ソムリエプロの福島玲子さん。そこで福島さんから、パプリカの詳しい栄養や色味によって異なる栄養効果、ピーマンとの違いを教えてもらった。
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抗酸化作用のあるさまざまなビタミンが豊富
成熟してから収穫されるパプリカは、未熟な状態で収穫されるピーマンよりも栄養価が高いことが特徴です。特にたっぷりと含まれるビタミン類や、ワタや種にも含まれている栄養素についてご紹介します。
ビタミンACEが体をより健康に導く
パプリカにはビタミンCが多く含まれています。風邪の予防や疲労回復に働きかけるだけでなく、抗酸化作用や美肌効果もあります。
また、豊富なβ-カロテンは体内でビタミンAに変換され、強い抗酸化作用で活性酸素を除去し、粘膜を丈夫にして免疫力を高めます。
ビタミンEもたっぷり摂ることができるので、アンチエイジング効果が期待できるほか、不飽和脂肪酸の酸化を防いでシミやシワの防止、毛細血管を広げる血行改善効果、悪玉コレステロールの酸化を防止して動脈硬化を予防するといった働きもあります。
捨てがちなワタや種まで栄養がたっぷり
ピーマンと同じくビタミンPも含まれます。ポリフェノールの一種で、ビタミンCが熱によって壊れるのを防ぎ、吸収を促進させる効果があります。この効果によって、パプリカは加熱料理でもビタミンCを効率的に摂取できる野菜といえます。
苦みのあるワタや種も、実は栄養が豊富です。食物繊維やカルシウム・カリウムなどのミネラルが可食部よりも多いので、丸ごと焼いて余すことなく食べてみるのもおすすめです。
パプリカの豆知識|ピーマンとの違いを解説
最後に、パプリカに関する豆知識をお話しします。見た目が似ているパプリカとピーマンの違いや、色味によって異なるパプリカの栄養を知ってみましょう。
パプリカとピーマンの違いとは?
見た目が似ているパプリカとピーマン。この2つの違いをご存知ですか?
さきほどのとおり、ピーマンは実が熟す前に収穫されるもの。ちなみに完熟したピーマンは赤くなり、カラーピーマンとして市場に出回ります。いくつもあるカラーピーマンの品種のひとつがパプリカで、大型で果肉が厚く、甘みが強いのが特徴。パプリカは100g以上のものを指します。
ちなみに、パプリカ以外のカラーピーマンは小ぶりのトマトピーマンや、サイズがさらに小さいミニパプリカなどが栽培されています。
赤・黄・オレンジで栄養が変わる!
さまざまな色味があるパプリカは、カラーによって含まれる栄養素も異なります。
「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によれば、100gあたりのビタミンCの量はピーマンの76mgに比べて、黄色・オレンジ色のパプリカ(黄色・オレンジピーマン)は150mg、赤色のパプリカ(赤ピーマン)は170mg含まれます。日本人の食事摂取基準ではビタミンCの1日あたりの推奨摂取量の目安が100mgとされていることを考えると、パプリカ1個でかなりのビタミンCを摂ることができるといえるでしょう。
100gあたりのビタミンEの量も、ピーマンの0.8mgに対して黄パプリカは2.4mg、オレンジパプリカは3.1mg、赤パプリカは4.3mgとこちらもパプリカのほうが豊富です。
さらにそれぞれ、赤パプリカはβ-カロテンの量が他の色味に比べて豊富で、脂肪燃焼効果のあるカプサイシンも含まれます。また、黄パプリカにはルテインという抗酸化作用を持つ色素成分も。オレンジパプリカは、赤パプリカと黄パプリカの栄養素をバランスよく含んでいるといった特徴があります。食卓に取り入れる際に、彩りだけでなく栄養価も意識してみてはいかがでしょうか。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ