野菜ソムリエプロの福島玲子さんは、「とうがらし、ししとうの旬は夏から秋。抗酸化作用のある栄養素が豊富で、アンチエイジングに役立ちます」と語る。そこで、詳しい栄養素に加えて、調理のポイントや、辛いししとうを避けるための豆知識を教えてもらった。
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アンチエイジングにぴったりな栄養素がたっぷり
見た目が似ているとうがらしとししとう。実は、含まれる栄養も似ています。共通する栄養素と、特にとうがらしに多く含まれるカプサイシンについて解説します。
体が喜ぶ“ビタミンACE”が豊富
とうがらしやししとうは、抗酸化3大ビタミンと呼ばれる、β−カロテン(ビタミンA)、ビタミンC、ビタミンEをすべて多く含んでいます。
β−カロテンは摂取すると体の中で必要な分だけビタミンAに変換される栄養素で、皮膚や粘膜を正常に保ち、免疫を活発にする効果があります。β−カロテンそのものにも、抗酸化作用が含まれます。
風邪予防効果がよく知られるビタミンCは、抗酸化作用も豊富で、肌の弾力を保つコラーゲンの生成に欠かせない栄養素です。体の内側からのアンチエイジング効果が期待できます。
ビタミンEには毛細血管を広げて血流を促進する効果があり、体の隅々まで栄養を運ぶ働きがあります。血流が促進されると肌の新陳代謝を活発にしたり、疲労物質を取り除いたりする効果も期待できます。
肌や髪の健康、むくみ解消にも!
ほかにも、たんぱく質の代謝に関わるビタミンB6も多く含まれています。たんぱく質の分解や再生が促進され、肌や髪を美しく保つことにつながります。
さらに、体内の余分な塩分を排出するカリウムもあり、高血圧予防やむくみの解消に役立ちます。
とうがらしに多いカプサイシンは女性の悩み解決に
とうがらしのピリッとした辛味は、カプサイシンによるものです。胎座(わたの部分)や、種に多く含まれています。
カプサイシンは、女性が悩みがちな冷え性、むくみ、便通の改善のほか、アンチエイジングやダイエット効果をもたらすと言われています。とうがらしに多く含まれていますが、ししとうにはほとんど含まれていません。
調理のポイント&辛いししとうを避けるコツは?
最後に知っておくと便利な、とうがらしやししとうに関する豆知識をお話しします。
触ったあとに肌の痛みが発生したときの対処法
とうがらしやししとうを調理する際、揚げ物など油を多く使うときは、爪楊枝などで数か所穴を開けておきましょう。穴がないと、加熱中に中の空気が膨張して破裂し、油が飛び散る可能性があります。ちなみに、ビタミンAやビタミンEは脂溶性の栄養なので、油で調理することで、体に吸収しやすくなります。
また、とうがらしやししとうを触った手でそのまま顔を触ると、カプサイシンによって痛みが発生することも。その場合、水で洗うと痛みが広がってしまいます。水ではなく、サラダオイルやクレンジングオイルなどを使って洗い流せば、肌についたカプサイシンを取ることができます。目が痛くなったときは、オイルで目のふちをなでるように流しましょう。
辛いししとうを避ける方法
ししとうはナス科トウガラシ属の中でも甘味種で、カプサイシンがほとんど含まれないことから辛味が少なく食べやすい野菜です。しかし、ししとうを食べているときに、びっくりするほど辛いものにあたったことはないでしょうか。
辛いししとうは10本に1本程度といわれています。これは、暑さなどのストレスによって働く防衛本能によって、青とうがらし本来の辛味成分が活性化することが原因です。
辛いししとうを避けたいときは、全体的に茶色や黒っぽいもの、皮にツヤがなくシワっぽいもの、よじれているものに気をつけましょう。さらに、切ったときに種の整列がいびつだと受粉がうまくいっておらず、辛い可能性が高いです。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ