不調改善

股関節の痛み改善は原因を知ることから!ストレッチや食事による対策をヨガインストラクターが指南

股関節を押さえる女性
股関節の痛みは主に2タイプの原因がある
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日常生活にも支障をきたす股関節の痛み。股関節が痛む原因に対して、「ストレッチで対策ができる」と話すヨガインストラクターの高橋かなこさんに、痛みの原因や対策を教えてもらった。

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股関節が痛む原因

股関節が痛む原因には、軟骨がすり減り骨同士が直接擦れ合ってしまうことだけでなく、実は骨ではなく筋肉を使いすぎていることで痛みが発生している場合もあります。

股関節を図解
股関節が痛む原因を解説
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股関節の軟骨のすり減り

股関節の軟骨がすり減っていることで痛みがでている場合、原因のひとつとして考えられるのは「変形性股関節症」です。軟骨がすり減って骨同士が直接擦れ合い、炎症や痛みが起こる症状が、変形性股関節症にあたります。はじめのうちは立ち上がったときや歩き始めなどに痛みやすいですが、症状が進行すると長時間歩くのがつらくなったり正座ができなくなったりする場合があります。

女性ホルモンには骨の形成をサポートするとともに、腱や関節を柔軟に保つ作用があります。そのため、骨の形成に関わる女性ホルモンの分泌量の減少が関係する、更年期世代以降の女性が発症しやすい傾向があります。

筋肉の使いすぎ

股関節まわりの筋肉に疲労がたまると、炎症が生じ、痛みが発生します。

これは、スポーツなどで激しく筋力を使ったときだけでなく、姿勢の悪さによって股関節まわりの筋肉に大きな負荷がかかっていることが原因になっている場合があります。股関節まわりの筋肉は体全体を支える役割を担っており、猫背や反り腰などの不良姿勢を続けていると、ダメージが蓄積し、炎症がおこることがあります。

股関節の痛みの改善に役立つストレッチ

筋肉の使いすぎによる股関節の痛みを解消するには、ストレッチで股関節まわりの筋肉をほぐすことが有効です。

いすに座って行う股関節のストレッチ

いすに座り、右足首を左のももにのせている
いすに座って行う股関節のストレッチのやり方
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【1】背筋を伸ばしていすに浅く腰掛ける。
【2】左のくるぶしを右のもも(ひざ上あたり)に置く。
【3】脚のつけ根から体を折り曲げるように、上半身を前に倒す。
【4】股関節が伸びていることを感じながら、痛気持ちいい程度の角度で30秒キープする。
【5】左右の脚を入れ替えて同様に行う。

なお、上半身を前に倒す際に左右の脚で差が出るかもしれません。その場合は、やりづらい(硬く感じる)方を長めに行い、入念に伸ばしましょう。いすに座ってできるので、テレビを見ているときや仕事の合間などに行うのがおすすめです。

寝ながら行う股関節のストレッチ

仰向けになり、両足の裏をつけている
寝ながら行う股関節のストレッチのやり方
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【1】仰向けになり、左右の足裏同士をくっつける。
【2】両手はお腹の上や体の横など、自分が落ち着く場所に置く。
【3】かかとをお尻側に引き寄せる。腰が浮く場合は、太ももの下にタオルなどをはさむ。

不安でなければそっと目を閉じて自然な呼吸を繰り返します。余裕がある場合は、かかとをお尻側に引き寄せる際に両手を体の横に置いて床を押し、お尻を少し浮かせてみましょう。お尻の穴をキュッと締めるようなイメージで床からお尻を持ち上げ、10秒ほどキープしてゆっくりお尻を下ろします。起床時や入眠前にベッドの上で行ってもよいでしょう。

軟骨のすり減りによる股関節の痛み改善に有効な食材

股関節の痛みの原因である軟骨のすり減りを改善するには鶏手羽や鶏皮、フカヒレ、牛すじなどコラーゲンを多く含む食材を食べるとよいです。

手羽先の煮物
コラーゲンを多く含む食材がおすすめ
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コラーゲンは関節や軟骨の健康を支える重要な成分であり、関節の柔軟性やクッション性を維持することにつながります。コラーゲンを分解するとできるコラーゲンペプチドという物質が、皮膚や軟骨などの元となる細胞に働きかけ、すり減った軟骨の修復に役立ちます。

なお、コラーゲンはそのまま摂取しても消化酵素によって分解されるため体内で合成する必要がありますが、その際にはビタミンCが必要です。

ビタミンCや柑橘類などの果物や、パプリカやブロッコリーなどの野菜類などに多く含まれています。副菜にビタミンCを多く含む野菜のサラダを合わせたり、食後のデザートに柑橘類を食べたりして、ビタミンCも摂取しましょう。

股関節の痛み改善には漢方薬も役立つ

股関節の痛みを改善するには「水分の循環をよくして股関節への負担となる水太りやむくみを解消する」「血流をよくして痛みを改善する」といった作用がある漢方薬を選びます。

さまざまな生薬
股関節の痛み改善に役立つ漢方薬を紹介
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おすすめの漢方薬

股関節の痛み解消におすすめの漢方薬は下記の通りです。

・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

関節症に使用されることもある漢方薬です。胃腸の働きを高めて水分代謝を上げ、肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、水太りに効果が期待できます。

→防已黄耆湯について詳しく知る

・桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

血流をよくして体を温めるとともに、表面の気(エネルギー)の流れをよくすることで、重だるい痛みに働きかけます。関節痛、神経痛などに用いられ、冷えのある人におすすめです。

漢方薬を始める際の注意点

漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれたのは:ヨガインストラクター・高橋かなこさん

白いスポーツウェアを着た女性
ヨガインストラクターの高橋かなこさん
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たかはし・かなこ。RYT200(全米ヨガアライアンス認定)修了インストラクター。企業での事務経験から、デスクワークで疲れた部位や崩れた姿勢のためのレッスンを得意とする。自身のダイエット成功経験から、美しい体を作るためには食と思考が大切だと痛感し、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp)などで精力的に情報発信を行っている。

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