秋冬といえばさまざまなフルーツがおいしい季節。なかでも、ビタミンCを多く含むたくさんの果物が旬を迎えると、野菜ソムリエプロの福島玲子さんは話す。そこで、ビタミンCが体にもたらす効果や、特にビタミンCが豊富な秋冬の果物を教えてもらった。
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美肌にも効果的なビタミンC、不足するとイライラも
風邪予防効果のイメージがあるビタミンCには、ほかにもさまざまな効果があります。どんな効果を体にもたらすのか、詳しくお話します。
ビタミンCはなぜ野菜や果物に多いのか?
野菜や果物は、光合成によって活性酸素種が発生した細胞成分の酸化を防ぐために、ビタミンCをたくさん合成し、蓄積する能力ができたといわれています。
ビタミンCは、キウイ、柿、いちご、柑橘類など、秋冬シーズンに旬を迎える果物にとくに多く含まれています。ビタミンCは熱に弱い性質があるため、生食できるフルーツで摂るのが効率的です。
ビタミンCの効果と、不足したときに起こる症状
ビタミンCはアスコルビン酸ともいわれ、骨や腱などの結合たんぱく質であるコラーゲンの生成に必須の栄養素です。ビタミンCは人間の体内で作ることができず、成人では1日の摂取推奨量が100mg(2020年版食事摂取基準)と設定されています。
ビタミンCがコラーゲンを生成することで、肌にハリがでたり、血管や粘膜、骨、筋肉などを丈夫にしたり、傷を修復したりといった効果が期待できるので、皮膚や骨の健康維持には欠かせない栄養素といえます。また、免疫系をより効果的に働かせる役割も担っていることから、風邪予防の効果もあると言われています。
逆にビタミンCが不足すると、血管がもろくなって出血が起こりやすくなるほか、イライラや貧血、筋肉の減少、呼吸困難なども起こりえます。生きていくうえで欠かせない栄養素です。
ビタミンCを多く含む旬のフルーツ
今のシーズンに旬を迎える、ビタミンCが豊富な果物を紹介します。旬のフルーツは味がよく、栄養もたっぷりなのでぜひ食卓に取り入れてみてください。
旬が秋冬の果物にはビタミンCがたっぷり
「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」によれば、柿(100gあたり70mg)、キウイ(緑肉腫/100gあたり71mg、黄色肉腫/100gあたり140mg)、いちご(100gあたり62mg)に多くのビタミンCが含まれています。
柿1/2個、キウイ1個、いちご10粒ほどで一日あたりの必要量が摂取できます。ちなみに、干し柿は生柿よりビタミンCの量が減り、代わりにビタミンAの量が増えています。ビタミンCを摂りたいときは、生柿を選ぶことをおすすめします。
冬においしい柑橘類にも豊富なビタミンC
ビタミンCといえば思い浮かべるレモンも、国産は冬が旬。「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に記載のレモン果汁 (全果に対する果汁分30%)は、100g当たり50mgとされています。飲み物に入れたり、料理のアクセントにしたりと上手に取り入れてみるといいでしょう。
みかん、ポンカン、文旦、ゆず、きんかんなど、冬が旬の柑橘類もビタミンCがたっぷり。特にゆずは、果汁(100gあたり50mg)よりも果皮(100gあたり160mg)にビタミンCが多く含まれるので、皮まで調理していただくことをおすすめします。栄養豊富な旬の果物を、ぜひ召し上がってみてください。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ