寝たきりリスクを上げるのが骨密度の問題だ。まだ先と思いがちだが、骨量が減少し始めるのは女性ホルモンの分泌が低下する40代というから、今すぐ、骨の健康を保つケア必要だ。そこで、骨密度を上げる「食」に注目。
“骨代謝を改善する”と注目の「MBP」とは?
骨密度を高める働きがあるという成分「MBP」。これを含んだ特定保健用食品の飲料が中高年を中心に支持されている。いったいどんな成分なのか?
「『MBP』は牛乳に含まれる『ホエイ(乳清)たんぱく質』の中にあり、牛乳中わずか0.005%しかない希少なたんぱく質の一種です。破骨細胞と骨芽細胞の両方に働きかけ、骨代謝を改善する成分でもあります」(雪印メグミルク・マーケティング部の新井亮祐さん・以下同)
発見のきっかけは、「赤ちゃん」だった。
「赤ちゃんは、生まれてから1才になるまでに体重が約3倍、身長が約1.5倍になります。『こんな驚異の成長の裏には、赤ちゃんの飲む乳の中にカルシウム以外の何かがあるのでは?』 という仮説から、1989年より研究が始まりました」
翌1990年、ついにMBPを発見。商品化には10年の歳月を要したという。そして、ヒトを対象とした「MBP」の試験では、大学生から高齢者まで、あらゆる世代で骨代謝や骨密度の改善が見られたという。
「たとえば、健康な成人女性を対象に『MBP』を1日40mg、6か月摂取した結果、平均3%の骨密度の増加が確認されました。また、12か月摂取した高齢女性では、かかとの骨の骨量増加が認められています」
骨のケアは、育ち盛りの子供や骨が弱った高齢者だけでなく、すべての世代で取り組むべきだという。
「現役アスリートの中にも、疲労骨折などのケガを防ぎ、パフォーマンスを維持する手段として骨のケアに取り組むかたも多くいます」
減ってから補うのではなく、元気なうちからコツコツ貯めていきましょう。
“1日5粒前後”のプルーンが中高年女性を救う!
今年2月、米国ペンシルバニア州立大学で実施された研究結果が専門誌に発表された。内容は、「閉経後の女性がプルーンを毎日4~6粒(約50g)、1年間食べ続けた場合、食べなかった女性と比較して股関節の骨密度と骨強度(骨の表面にある硬い外層)が維持された」(*4)というものだ。
「股関節の骨折は身体機能を低下させ、早期死亡のリスクを高めるといわれていますが、プルーンは、そうした加齢に伴う骨の健康をサポートする貴重な食品となる可能性があるのです」
そう語るのは、「カリフォルニアプルーン協会」のアンドレア・ジャンコリさん。毎日無理なく食べられてなおかつ効果の出る適量が4~6粒ということだそうだ。
プルーンとは西洋すももの総称。ドライフルーツや濃縮ピューレなどでおなじみだろう。日本に輸入されている商品の多くはカリフォルニア産だが、30年ほど前から日本の長野県や北海道でも栽培されている。
「食物繊維やミネラル、ビタミン類、ポリフェノールが豊富で、腸内環境の改善や抗酸化作用が期待できる健康食品として愛されています」(アンドレアさん・以下同)
ダイエットにも活用されるというプルーン、アメリカではどんな料理に使われるのか。
「朝食のヨーグルトに入れたり、パンやケーキ作りに使うのが一般的です。私はクッキーを焼くときに砂糖や卵、油の分量の一部をプルーンのピューレに置き換えています。自然な甘さがありながらもヘルシーで、焼き上がりもしっとりするんです。
多様な人々が暮らすアメリカでは、プルーンを使った料理が本当に豊富。たとえば、チョコレートやコニャックを使ったヨーロッパのデザート、中東の米料理やアフリカ北部の煮込み料理…。チキンのぶつ切りをワインとプルーンで煮た「チキン・マルベーリャ」はイタリアとユダヤをルーツとするアメリカでも人気の一皿なんですよ」
おいしくて骨にもいいなら、朝食だけではもったいない!
カリフォルニアプルーン協会公式サイト https://www.prune.jp/※プルーンの多彩なレシピコーナーも必見。
「MBP」とは… https://honemirai.meg-snow.com/mbp/(骨太な未来プロジェクトサイト)
*4 …「Osteoporosis International」 Koltun KJ, Strock NCA, Weaver C., Hang L, Williams NI, Rogers CJ, Damani J, Ferruzzi MG, Nakatsu CH & De Souza MJ. Prunes preserve cortical density and estimated strength of the tibia in a 12-month randomized controlled trial in postmenopausal women: The Prune Study. Osteoporos Int (2024).
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2024年10月17日号