年齢とともに腸内環境は悪化し、筋力の低下に伴って便を押し出す力も弱まり、便秘が深刻化しやすい。管理栄養士でフードコーディネーターの中村美穂さんは「それぞれの働きを強化した副菜ですが、便秘改善に最も必要とされる食物繊維はすべてに含まれています」と話す。中村さんに、快便をサポートする弁当レシピを月曜から金曜まで教えてもらった。今回は月曜日版。まずは2週間挑戦してみよう。
快便のためのベスト3
スムーズな排便には食物繊維、発酵食品、オリゴ糖がマスト。
「便秘は免疫細胞の約70%が存在する腸の環境を悪化させるため、免疫力、自律神経、肌にも支障をきたします。解消には、食物繊維、発酵食品、オリゴ糖を意識して毎日摂ることや、適量の良質なオイルや水分の摂取も大切です」(中村さん・以下同)
便をやわらかくし腸の動きを促進「食物繊維」
「海藻、きのこ類、果物に多い水溶性食物繊維は便をやわらかくし、善玉菌のエサとなって腸内環境を整えてくれます。穀類や根菜に豊富な不溶性食物繊維は、水分を吸収して便量を増やし、腸のぜん動運動を活発にしてくれます」
善玉菌を増やし腸内環境を整える「発酵食品」
みそ、ヨーグルト、納豆、麹、漬物などの発酵食品に含まれる乳酸菌やビフィズス菌などの植物性乳酸菌は、生きたまま腸に届きやすい。
「善玉菌を増やすだけでなく、悪玉菌の増殖を防いで腸内環境を整えてくれます」
善玉菌の素となる乳酸菌のエサに「オリゴ糖」
「オリゴ糖は、果物、野菜、はちみつ、てんさい糖に含まれまる自然の甘味料。乳酸菌やビフィズス菌のエサとなって善玉菌を増やします。市販のオリゴ糖を使うのもおすすめ。摂りすぎると便がゆるくなることもあるので注意」
1日に必要な食物繊維の分量の半分以上を1食で摂れる弁当
発酵食品やオリゴ糖の食材をちりばめ、1日に必要な食物繊維の分量の半分(※9g)以上を1食で摂れるパーフェクト弁当のレシピをチェック!
「適量の良質なオイルや汁物などの水分も毎日のお通じには大切です」
※成人女性の1日当たりの食物繊維目標摂取量は18g以上(厚生労働省『日本人の食事摂取基準』2020年版による)に対し、平均的には4g足りていないのが現状。
※食物繊維などの栄養価は1人分です。特記以外、副菜の分量は2回分です。
※ゆでもち麦、蒸しミックスビーンズ、ツナ水煮、水煮ひじきはパウチ(袋タイプ)を使用しています。
※電子レンジ(600W)を使用する際は、耐熱容器を使用しています。
※主食、主菜の分量は特記以外1人分です。
※お弁当作りは衛生面に特に注意し、しっかりと加熱する、汁気は切る、素手で触らない、冷めてから蓋をするなどの工夫をしてください。保冷剤もお忘れなく。
【1週目】食物繊維豊富なオートミールはつなぎや、かさ増しにも重宝
【主菜】オートミール入りミートボール
【食物繊維の副菜】れんこんときのこのカレーきんぴら
【発酵食品の副菜】ブロッコリーと塩昆布入り塩麹マッシュポテト
【主食】黒ごまふりかけ雑穀ご飯
(食物繊維10.9g、598kcal)
【主菜】「オートミール入りミートボール」のレシピ
《作り方》
【1】ボウルに豚ひき肉70g、オートミール(クイックオーツ)大さじ1強(7g)、玉ねぎのみじん切り大さじ2(20g)、豆乳小さじ2、しょうゆ小さじ1/3、塩・こしょう各少量を入れて混ぜ、5等分にして丸める。
フライパンにオリーブオイル小さじ1を熱し、【1】を入れて中火で数回返しながら肉に火が通るまで約5分焼く。
【2】に、ケチャップ大さじ1、しょうゆ・片栗粉各小さじ1/3、水大さじ2を入れて混ぜ、つやよくからめる。
【食物繊維の副菜】「れんこんときのこのカレーきんぴら」のレシピ
旬の食材同士で頑固な便をやわらかく。食物繊維2.5g。冷蔵保存で3日間、冷凍保存では3週間。
《作り方》
【1】れんこん1/2節(100g)は薄くいちょう切り、生きくらげ4枚(20g)は食べやすく切る。えのきたけ1/4パック(40g)は根元を切りほぐして3等分に切る。
【2】フライパンにオリーブオイル小さじ2を熱し【1】を入れ、中火でれんこんが透き通るまで炒める。火を止め、みりん小さじ2、しょうゆ小さじ1、カレー粉小さじ1/2を入れて混ぜ合わせる。
【食物繊維の副菜】「ブロッコリーと塩昆布入り塩麹マッシュポテト」のレシピ
塩麹のビタミンB群で代謝促進効果も。食物繊維3.0g。冷蔵保存で2日間。
《作り方》
【1】ブロッコリー小房2個(40g)は、ラップをかけて電子レンジで約40秒加熱する。粗熱がとれたら1.5~2cm角に切る。
【2】じゃがいも2/3個(80g)は1cm厚さのいちょう切りにして水洗いし、ラップをかけて電子レンジで約1分半加熱する。つぶして豆乳小さじ4を入れて混ぜ、さらにラップをかけて約30秒加熱し塩麹小さじ1、コンソメスープの素(顆粒)・こしょう各少量を加えて混ぜる。
【3】【2】に【1】と塩昆布小さじ2(4g)を入れて混ぜる。
【主食】「黒ごまふりかけ雑穀ご飯」のレシピ
《作り方》(4人分)
【1】炊飯器に米2合、雑穀ミックス20gを入れ、2合の目盛りよりやや多めの水を加えて炊く。
【2】【1】の雑穀ご飯1杯分(160g)を弁当箱に盛り、黒ごま小さじ1/3(1g)を振る。
【2週目】酒粕漬けの赤魚には発酵パワーもあり
【主菜】赤魚の粕漬け
【オリゴ糖の副菜】しらたきと玉ねぎのひじき煮
【オリゴ糖の副菜】さつまいもとプルーンのレモン煮
【主食】枝豆おにぎり
(食物繊維9.5g、627kcal)
【主菜】「赤魚の粕漬け」のレシピ
《作り方》
市販の赤魚の粕漬け80gは食べやすく切り、グリルで焼き色がつくまで約10分焼く。弁当箱に盛り、貝割れ大根1/10パック(4g)を添える。
【オリゴ糖の副菜】「しらたきと玉ねぎのひじき煮」のレシピ
玉ねぎは野菜の中でオリゴ糖トップクラス。食物繊維1.4g。冷蔵保存で2日間、冷凍保存では3週間。
《作り方》(4回分)
【1】しらたき1/3袋(60g)は1~2cm長さに切る。にんじん1/4本(45g)、玉ねぎ1/4個(40g)、油揚げ1/2枚(20g)は2cm長さの細切りにする。
【2】鍋に【1】、だし汁1カップを入れ、強火にかけて煮立ったら弱火にし、蓋をして約10分煮る。水煮ひじき1袋(50g)、麺つゆ(3倍濃縮)小さじ4を加えて煮汁が少なくなるまで約2分煮る。
【オリゴ糖の副菜】「さつまいもとプルーンのレモン煮」のレシピ
甘味料には砂糖の代わりにてんさい糖を。食物繊維2.3g。冷蔵保存で3日間、冷凍保存では3週間。
《作り方》
【1】細めのさつまいも1本(120g)は皮付きのまま1cm厚さの輪切りにして鍋に入れ、水1カップを入れ、蓋をして中火で約10分煮る。
【2】半分に切った種抜きドライプルーン2個分(30g)、てんさい糖小さじ2、レモン汁小さじ1を加えて約3分煮る。
【主食】「枝豆おにぎり」のレシピ
《作り方》
ボウルにもち麦ご飯1杯分(160g)、ゆで枝豆大さじ2(20g)、短く切った塩昆布3gを入れて混ぜ、3等分し3個のおにぎりを作る。
◆教えてくれたのは:管理栄養士、フードコーディネーター・中村美穂さん
栄養学を意識した体が喜ぶおいしい料理が好評。料理監修に『運動しなくても生活習慣病が改善する食物繊維の賢い食べ方』(ガイドワークス)ほか。syokujikan.com
撮影/田中宏幸 スタイリング/宮沢史絵 取材・文/佐々木めぐみ
※女性セブン2024年10月24日・31日号