睡眠を愛し、オフの日は一日中寝ている日もあるという平野紫耀(27才)。過去に雑誌のインタビューでこう語ったほど。
「寝るのがとにかく大好きで、理想は四度寝です。二度寝じゃ足りない」
不眠に悩まされる人も多いなか、こんなに眠れるのはうらやましいかぎり。そんな彼には「強い味方」が重い寝具。果たして重い布団は快眠に関係しているのか。
「重い布団を使うと安眠できる」に科学的根拠はあるのか
「平野さんは、10月2日に放送された『THE TIME,』(TBS系)に出演。7㎏の布団と9㎏のブランケットをかけて就寝していることを明かしたんです」(テレビ局関係者)
合わせて16㎏。通常の布団は3㎏前後なので、実に5倍以上の重さだ。この重い布団は「ウェイトブランケット」という名で販売されており、芸能界にも愛用者が多い。
広瀬すず(26才)も7㎏の布団を2枚かけて寝ているそうで、「14㎏を抱えながら寝ています。重いと安心するんですよね」とテレビで明かしたことがある。「重い布団を使うと安眠できる」に科学的根拠はあるのか。
久留米大学学長で日本睡眠学会の理事長を務める内村直尚さんが語る。
「重い布団を使うことで感じる圧迫感は、“誰かにハグされたとき”と同じような効果を生み出します。その結果、抱擁ホルモンと呼ばれる『オキシトシン』の分泌量が増え、安心感をもたらし、眠りやすくなるのではないでしょうか」
圧迫されることでストレスホルモン減、幸せホルモン増
また、圧迫されることで、別のホルモンも分泌されるという研究もある。
米マイアミ大学が2005年に発表した研究データによれば、マッサージによって体に圧迫感を与えるとストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が31%減少し、幸せホルモンと称される「セロトニン」が28%増加するという。2013年に台湾大学が発表した研究で、ウェイトブランケットとマッサージには同様の圧迫効果があると示されているので、このホルモンバランスの変化は重い布団を使うことでも期待できる。
これは特に不眠に悩まされがちな高齢者にとって、大きな朗報だ。
「セロトニンは、脳から分泌される睡眠ホルモンである『メラトニン』の原料で、高齢になるほどメラトニンの分泌量は減少します。これが年を取ると眠りが浅くなる原因のひとつです。重い布団による適度な圧迫感でしっかりとセロトニンが生成されれば、メラトニンの分泌も促され、よりよい睡眠につながる可能性があります」(内村さん)
コルチゾールの減少にも、大きな意味がある。
「コルチゾールが増えると脳の神経細胞が破壊され、認知機能の低下を招きます。つまり、重い布団を使用することは、認知症予防にもつながるんです」(内村さん)
とはいえ、いきなり平野を真似して16㎏の布団から始めるというのは避けた方がよさそうだ。
「米カリフォルニア大学の研究チームが2022年に発表した論文によれば、人をリラックスさせる副交感神経が最も活性化される重みは『体重の10%』だそうです。つまり、体重の10%前後の重さの布団をかければ、リラックスして眠りやすいといえます」(上級睡眠健康指導士の加賀照虎さん)
「ニトリ」などの家具・インテリアメーカーでは6000円ほどでウェイトブランケットが販売されているが、すでに使用している布団があるなか、わざわざ買い替えるのは躊躇してしまう人もいるだろう。前出の加賀さんは次のようにアドバイスする。
「重さには、人それぞれの好みもあります。まずは家にある布団を重ねがけしてみたり、いつもの布団を折って体にのせ、重さを実感してみるといいでしょう」
重すぎは寝疲れ、蒸れの原因に
重すぎる布団にはデメリットもあるので要注意だ。
「重すぎると寝返りがしづらくなり、寝疲れや蒸れの原因にもなる。特に高齢で筋肉量が減っている人は重さを感じやすいので、徐々に重量を増やしていくとよいでしょう」(加賀さん)
重い布団以外にも注目アイテムがあるという。
「重いアイマスクです。ほどよい圧迫感が眠気を誘ってくれます。1日に10時間ほど睡眠を取るといわれているドジャースの大谷翔平選手(30才)も愛用しているそうですよ」(加賀さん)
「眠れないのは年のせい」と諦めず、「重い」睡眠アイテムを試してみては。
※女性セブン2024年10月24・31日号