金髪ロングにギラッギラのピンクカラーのホットパンツと厚底ブーツ、脳裏に焼き付くビジュアルの芸人ZAZY(36才)。見た目のインパクトはもちろん、観る人を独特の世界に引きずり込む「紙芝居芸」にもハマる人が急増中。そんなZAZY、実は芸能界随一の鍋好きともいわれ、20才の頃からほぼ毎日、鍋をつついているのだそう。15年以上経った今も、いまだ尽きない"鍋愛"と、ZAZY流鍋の楽しみ方を語ってもらった。
鍋は実験感覚で楽しむ派。無限の可能性を感じますね
──鍋好きになったきっかけは?
ZAZY:ズバリ、ビンボーだったからです。大学時代、一人暮らしで飲み会代を捻出するのがすごくきつくて。あるとき居酒屋で出された鍋を見て、〝これなら、家で安く作れるんちゃう?″って仲間に声をかけたのが始まりでした。それで「家飲み・うち鍋」を始めたら、酒代も食費もかなり抑えられたんで、毎日鍋生活に突入したという…。そのうちに、鍋の可能性みたいなものにも取りつかれてしまい、現在に至ります。朝から鍋で始める日も多いし、真夏も欠かさず鍋いっちゃってます。
──「鍋の可能性」とはなんでしょう?
ZAZY:最初はレパートリーがほぼなかったんでレシピ本買ってあれこれ試していたんですが、しばらくするうちに、野菜の切りかたひとつで味が変わってくることに気づいたんですよ。たとえば、ねぎは斜めに切ると断面積が大きくなるのでだしを吸いやすくなり、だしの味が効いた味わいになるけれど、まっすぐスパっと切ると、だしはあまり吸わない。代わりに、ねぎの甘みがしっかり出る…みたいな。以来、具材の組み合わせや下ごしらえ、だしの作り方や、鍋に入れるタイミングまで、いろいろなパターンで試しているんですが、鍋料理は、伸びしろしかありません。
──そういえば、大学は東京理科大※でしたよね。中高も私立の進学校で理系コースだったとか。実験くん魂を感じます。※2年生で中退。
ZAZY:確かに、「これを入れてみたらどうだろう」とか、野菜も半分は大きく切って、半分は薄切りにして煮え具合や味の違いを比べてみたりっていう実験・検証はしょっちゅうやっていますね。
でも、ひとつ決めていることがあって、市販の鍋の素やつゆを使うときは、最初はメーカーさんのおすすめどおりのノーマルな作り方に徹しています。まずはリスペクトしたいので。実験に移るのは、2回目3回目からですね。
──なんとも義理堅い! ちなみに、最近のおすすめの〝意外な具材″は?
ZAZY:アボカドいいですよ! まろやかで濃厚な味の鍋になります。あと、豆腐を厚揚げに替えると、コクが出て満足感もアップします。ほかにもおすすめの食べ方として、肉類、とくに鶏肉は一度フライパンで焼いてしっかり焦げ目をつけてから入れると、香ばしくてよりおいしくなります。メイラード反応的な…。
鍋好きだけれど、「鍋将軍にはならない」が信条
──最近は〝鍋好き芸人“としての知名度も高まっていますが、ご自身ではどう感じていますか?
ZAZY:自分でも知らないところで、そう呼ばれるようになって驚いています(笑い)。家に遊びに来た芸人仲間が〝ZAZYの鍋うまいぜ″って話していたのが広まったんですよね。鍋について聞いてもらえるのはうれしいので、ありがたいと思っています。
ただ、僕は、「自分のおいしい」を追求するのみで、人に自分のルールを強いたり、あれこれうんちくを語る気はないんです。だって鍋って、楽しく囲むのが一番じゃないですか。だから鍋将軍にはならないと決めています。黙って火の調整をして、自分のベストなタイミングで食べるのみ。他の人がうまいタイミングを逃しても、放っておきます。
──いい人なんだか悪い人なんだか(笑い)。ZAZYさんにとって、鍋はどんな存在なんですか?
ZAZY :日常でありながら、クリエイティビティを刺激してくれるものですね。「今日はどんな鍋にしよう」と考えるだけでワクワクしてくるし、買い物にも熱が入ります。だから僕、スーパーの滞在時間めちゃくちゃ長いんですよ。それだけ情熱を注げる存在なんです、鍋は。