マルチビタミンには“ほとんど効果がない”との海外の研究
2024年は紅麹問題でサプリメントに対する不安が急激に広がったが、効果に疑問符がつくのはDHAやEPAばかりではない。
「マルチビタミンは海外の研究で“ほとんど効果がない”と否定されています。2024年6月にはアメリカ医師会が発行する医学誌で『アメリカの健康な成人約40万人を20年以上追跡した大規模解析の結果、マルチビタミンと死亡リスク低下との間に関連は見られなかった』との研究結果が発表されました」(室井さん)
岡田さんが続ける。
「足腰や関節の痛みを改善したいとグルコサミンやコンドロイチンといった成分を含むサプリメントを習慣にするシニアのかたは多いですが、それらが痛みに効果があるというエビデンスは示されていません。また、コラーゲンやヒアルロン酸についても経口摂取による有用性を示した充分なデータがないのが実情です。ブルーベリーに含まれるアントシアニンが視力回復に効果があるというのも、たしかなエビデンスはありません」
加齢とともに薬の量も増え、近年は多剤併用による害も指摘されているが、注意すべきは「のみすぎ」だけではない。2024年10月から、先発品を選んだ場合は自己負担が増えることとなった。
その一方、11月には日本製薬団体連合会が「ジェネリック医薬品を取り扱う全172社の対象品目の4割で、製造や品質検査について定めた書類との相違が見つかった」と公表し、大きな話題となった。薬価を下げればそれだけ製造費にはコストがかけられなくなり、ずさんな管理体制のもとでつくられる薬が増える可能性がある。
1日1杯の牛乳で卵巣がんリスク増
健康にいいとされている食べ物でも、摂り方次第では、なんの意味をなさないばかりか体にダメージを与えることがある。ナビタスクリニック理事長で内科医の谷本哲也さんは、大豆や牛乳に注意してほしいと話す。
「骨を強くしようと牛乳を日常的に飲む人は多いと思いますが、乳糖不耐症など体質に合わないと、お腹を下してしまうこともあります。また、大豆についても、イソフラボンの過剰摂取はホルモンバランスを乱すため適量がいい」
2006年にスウェーデン・カロリンスカ研究所が発表した研究では、1日コップ1杯の牛乳を摂取する人は、卵巣がんのリスクが13%高まる可能性があると指摘された。腸活食材の代表格であるヨーグルトも、糖分が入っているものを選んでしまうと糖質過多となり、腸内環境改善どころか生活習慣病リスクを上げかねない。消化器内科が専門で内臓脂肪に詳しい栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅さんは、“果物の罠”について言及する。
「果糖は糖類の中でいちばん小さい単位のため、ほとんど分解されることなく吸収されます。すると、血糖値を急速に上げ、中性脂肪となって蓄積され、ひいては脂肪肝になる恐れがある。
朝の果物や、スムージーなどフレッシュジュースが健康のカギと思う人は少なくありませんが、生の果物に比べてジュースは咀嚼する必要もなくごくごく飲めてしまうので、知らないうちに糖質の過剰摂取に陥ってしまうことがある。固形物に比べ、吸収率も高いため、血糖値も上昇しやすくなり糖尿病リスクが高まります」
野菜不足を補うために野菜ジュースを飲んでいるという場合も、気づかぬうちに大量の糖質や人工甘味料を摂取しているかもしれない。
※女性セブン2025年1月16・23日号