
晴れの日が多く、気温も湿度も低い冬は天日干しにぴったりの季節。干した食材には生とは違うおいしさがあり、栄養面の効果も期待できる。野菜はもちろん、肉や魚などさまざまな食材を干して、毎日の料理に取り入れてみよう!
いいことずくめの“天日干し”はこの季節ならではのお楽しみ
「干すことで水分が抜け、素材が持つ甘みや旨みが凝縮されます。冬は夏に比べて腐敗のリスクは低いですが、肉や魚は塩やしょうゆをつけてから干すようにしましょう」と料理研究家の重信初江さん。
また、管理栄養士の加藤彩子さんは、栄養も効率よく摂れると話す。
「ビタミンやミネラル、食物繊維など、栄養価が凝縮されます。特にきのこのビタミンD量は日光に当てることで増えるため、天日干しにもってこいです」
干すときのポイント
《食材は大きさを揃えて切る》

乾きにムラが出ないよう、切るときは大きさや厚みを揃える。
《干し具合はセミドライがおすすめ》

完全に乾燥させるよりも短時間でOK。触ってみて表面が乾いているくらいが目安。
《干すときは重ならないように》

まんべんなく日光が当たるように、食材は重ねずに並べる。
《晴れた日の朝〜夕方に干す》
朝干して夕方に取り込む程度で◎。野菜の場合は、日当たりと風通しのよい場所で。
《専用の干し網があると便利》

虫や鳥から守ることもできるので、特に肉や魚を干すときは専用の干し網を使うのがおすすめ。通気性がよく、網目の細かい吊り下げ式で、100均などでも購入できる。
《干したものが余ったら……》
余ったらペーパータオルを敷いた保存容器に入れ、冷蔵庫へ。保存の目安は2〜3日。
肉や魚介を干すときのポイント
《下味をしっかりつける》

「傷み対策が重要。しょうゆや塩などで下味をつけたら汁気を拭いて干します。調理の際はしっかり火を通して」(重信さん)
《風通しのよい日陰に干す》

食材が傷まないよう、気温10℃以上の日は避け、風通しのよい日陰で干す。触ってみて、表面が乾いていれば干し上がり。
干し肉の活用レシピ
凝縮された旨みや歯応えを強く感じられる。「肉が薄いと乾燥後に破れやすいため、焼き肉用の肉がベスト。また、脂が多いと傷みやすいので赤身肉がおすすめ」(重信さん)。
「干し肉のスパイシー炙り焼き」のレシピ
噛めば噛むほど味わい深い! お酒のおともに。
《作り方》(作りやすい分量)
【1】ボウルにしょうゆ・みりん各大さじ1/2、韓国唐辛子小さじ1(または一味唐辛子か七味唐辛子少量)、おろしにんにく小さじ1/2、粗びき黒こしょう少量を入れて混ぜ、牛焼き肉用赤身肉200gを加えてよくもみ込む。汁気をよく拭き、広げて干す。
【2】グリルなどで、【1】を焦げないよう注意しながら焼き色がつくまで中火で2〜3分焼く。
干し魚介の活用レシピ
自家製なら干物とはひと味違う、セミドライ特有の味と食感が楽しめる。
「下処理済みのものを購入すれば手軽。肉と同様に下味をしっかりつけて」(重信さん)。

「干しあじと長ねぎのアヒージョ風」のレシピ
干したあじの風味が溶け出たオイルが絶品。
《作り方》(作りやすい分量)
【1】ボウルに水2と1/2カップ、酒・塩各大さじ2を入れてよく溶かし、あじの3枚おろし3〜4尾分を加えて1時間つける。水気をよく拭き、広げて干す。 途中で一度上下を返す。

【2】【1】のうち2尾分を半分に切る(※残りの干しあじは冷蔵で保存)。にんにく1片は薄切りにし、長ねぎ1本は3cm長さに切り、赤唐辛子1本は種を除いてちぎる。
【3】小さめのフライパンにオリーブオイル1/2カップを中火で熱し、【2】、塩・粗びき黒こしょう各少量を入れ、ときどき上下を返しながら3〜4分揚げ焼きにする。器に盛り、パセリの粗みじん切り1枝分(10g)を散らす。
「干しいかとセロリのマヨ和え」のレシピ
いかの濃厚な旨みとセロリの爽やかさが好相性。
《作り方》(作りやすい分量)
【1】ボウルにしょうゆ・酒各大さじ1/2、おろししょうが・砂糖各小さじ1を入れて混ぜる。するめいか(開いてわたと目、口を除いたもの)1杯を加え、ときどき上下を返しながら20分おく。汁気をよく拭き、広げて干す。
【2】グリルなどで【1】を火が通るまで焼いたら、焼き色がつくまでさらに3〜4分焼く。取り出して粗熱を取り、胴ははさみなどで粗く裂き、足は適当な長さに分ける。
【3】セロリの茎1/2本は斜め薄切り、セロリの葉3〜4枚はざく切りにし、【2】とともにマヨネーズ大さじ1で和える。
◆教えてくれたのは:料理研究家・重信初江さん

身近な食材を使った、素材の味が楽しめるレシピが好評。『干し野菜の作り方&レシピ104』(主婦と生活社)など著書多数。
撮影/澤木央子 スタイリング/久保百合子 取材・文/平井薫子
※女性セブン2025年1月30号